第五章 世界の終焉 第一話 壊れゆく世界
天界の門へ向かう途中
天界の裂け目から魔界が見えた。
それは、まさに地獄絵図だった。
空へと吸い上げられた魔物達
山は崩れ、魔物の森の木々はなぎ倒され、
亀裂の入った地表は剥ぎ取られてゆく…
「魔界は…破壊された」
ヘカテーが呟く
魔界は、既に限界だった。
巨大な地下世界が、光に溶けて崩れ落ちていく。
刈り取り装置が暴走し、魔界全土を吸い上げ、
魔素へと変換してゆく。
光は止まらない。
魔界の森が、岩山が、洞窟が、街が――
まるで巨大な掃除機に吸われるように、次々と飲み込まれていく…
森が消え、
洞窟が砕け、
岩山が崩れ、
魔物たちが光に飲まれて消えてゆく。
「……魔界が……死んでいく……」
モモ・ルーは震える声で呟いた。
エンプーサが刀を握りしめた。
「くそ……こんな……!」
ヘカテーは静かに言った。
「魔界は、もともと“天界の燃料庫”として造られた世界だ。
創造主が消えれば、維持できるはずがない。」
魔界の大地が崩れ、
巨大な空洞が生まれ、
地上界から地表が落ちて消えてゆく。
その落ちた地表は、
やがて海となる。
王都は既に海の底へ沈んでいた。
「……世界が……あぁ…地上界も壊れていく……」
モモ・ルーは胸を押さえた。
胸が痛い…。
ヘカテーがモモ・ルーの肩に手を置いた。
「黒き聖女よ。
お前は、この世界の終わりを、自分の罪だと思っているな。」
モモ・ルーは唇を噛んだ。
「私が……神を殺したから……」
「違う。
世界を壊したのは、創造主だ。
お前はただ、嘘を正しただけだ。」
ヘカテーの声は優しく、
モモ・ルーの辛い気持ちを
幾らか軽くしてくれた。
第一話 壊れゆく世界 終わり




