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『聖女モモ・ルーと冥界の女神』第三部 天界編   作者: Toru


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第四章 それぞれの戦い 第一話 神々の戦い

神殿の上空――

白い雲海の上に、冥界の女神ヘカテーは立っていた。

その背後には、黒い結界が巨大な壁のように広がり、宮殿へ続く道を完全に塞いでいる。


「ここは通さぬ。

黒き聖女には指一本触れさせない。」


静かに、しかし揺るぎない声でヘカテーが告げる。


その瞬間――

神族たちが一斉にヘカテーへと飛びかかる。


「冥界の女神を倒せ!神長の命だ!」


光の槍、雷の刃、風の斬撃。

数え切れないほどの攻撃がヘカテーへと殺到する。


ゴオォォッ!


冥界の黒炎が渦を巻き、襲い来る神族たちを飲み込む。

ヘカテーは強い。冥界の長としての力は、天界の神族を容易く焼き払う。


だが――


ザリュッ!

「くっ…!」


多勢に無勢。

避けきれない攻撃がヘカテーの身体を切り裂き、黒い血が滴り落ちる。


それでもヘカテーは結界から一歩も退かない。


「この結界を破らせるわけにはいかぬ…!」


神族たちが再び群がる。

その時――


ズシンッ……!


天界の地面が揺れた。

雲海が波打ち、空気が震える。


「来たか…ティターン。」


巨人族――天界最強の戦闘種族。

その巨体が雲を割り、ヘカテーの前に降り立った。


「冥界の女神よ。神長の命に従い、お前を排除する。」


ティターンの拳が振り下ろされる。


ドゴォォォンッ!!!


ヘカテーはその拳を真正面から受け止めた。

腕が軋み、骨が砕ける音がした。


「ぐっ…!」


ピシッ!

冥界の力が揺らぎ、結界に一筋亀裂が入る。


「今だ!ヘカテーを倒せ!」

「ウオオオォォォォォォォ………………」


攻撃できないヘカテーに、神族たちが群がる。


ギャリッ!ガゴオォン!シュキンッ!

光の刃が肩を裂き、雷が背を焼き、風が脚を切り裂く。


「ゔううぅぅっ!」


血まみれになりながらも、ヘカテーは結界を守り続けた。


「まただ…まだ倒れる訳には…」


その時――


ゴゴゴゴゴ……!


天界全体が揺れ始めた。

柱が倒れ、雲が裂け、空が震える。


「これは…!」


ヘカテーは悟った。

モモ・ルーが――神長…いや創造神エビルを倒したのだ。


「ふふっ……ここまでだな…

黒き聖女よ…エンプーサよ…どうか無事で…」


ヘカテーは最後を覚悟し、目を閉じた。


だが――


バサァァァッ!!!


純白の光が戦場を切り裂いた。


「ヘカテー様をお救いしろ!」


純白の天使たちが一斉に降り立ち、神族たちの攻撃を阻む。

その先頭に立つのは――大天使ミカエル。


「神長の命令は消滅した!今こそ本来の意思を取り戻す時だ!」


天使たちが次々とヘカテーの前に立ち、盾となる。


「ミカエル…!」


「ヘカテー様、急ぎ宮殿へ!黒き聖女が危険です!」


「…すまぬミカエル、ここを頼むぞ!」


ヘカテーは血まみれの身体を引きずりながら、宮殿へ向かって飛び立った。


「何としても結界を死守せよ!」


モモ・ルーの神殺しが成功し、神長の命令から逃れることができた天使達は、ヘカテーの味方になった。

しかし


「小賢しい…力を持たぬ天使共が、神長の命に逆らうか!」

バキッ「ぎゃっ!」

ゴキィッ「あぎっ!」


神族達の攻撃は止まない。

盾となった天使達を次々と打ち捨ててゆく


「お止め下さい!目を覚まして下さい!」


大天使ミカエルは、襲い来る神族達へ必死に訴える。

だが、エレメンタルの上位神、大地神デーメーテール、火の神ヘパイストス、風の神アネモイの四神、水の神ポセイドンはヴァルキリーの様にエビルの手足となるべく脳を造り変えられていた。


「神よ…あなたはもう、元に戻る事はないのですね」


敬愛する神々の姿に涙するミカエル


「裏切り者に死を!」


エレメンタルの上位神達がミカエルに迫ったその時だった。


ドゴゴゴォォォンッ!!!

……………

………


巨大な拳が振り下ろされ、狂った神々を押し潰したのだ。


「…巨人族、ティターン…」


「…神長の命令は消滅した、それだけのことだ」


それだけを言い残し、巨人は雲間へと消えていった。


その後、味方になる神族は徐々に増え、神々の戦いは、ヘカテー側が勝利した。



第一話 神々の戦い 終わり


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