こっくり 1
「完・全・復・活、ですわ~~~~~~~~!!!!!!!!!!」
「うるせぇ~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!」
雨上がりの昼休み。怪我の治療で遅刻してきた奏が、校庭にいた霊禍と亘に合流した。
地面が湿った校庭の隅。誰も遊んでいない鉄棒エリアが、二人がいつも昼休みに集まる場所だった。
この辺りは静かで、騒音嫌いの亘にも、超感覚持ちの霊禍にも居心地の良い場所だったからだ。特に今日は、雨上がりであることもあって、普段よりも人が少なかった。
⋯⋯そこに一名、選挙カーのような自己アピール女子が現れたものだから、なんとなくぶち壊しな雰囲気になってしまったが。
「まぁ、この高貴なるワタクシの登場に、子犬風情が威嚇を繰り返さざるを得なくなるのは、理解して差し上げないこともないですけれど⋯⋯」
「鎌鼬家って人殺しの一族だったんでしょ? そんな自慢げでいいの?」
亘の質問は常軌を逸していた。
「なっ、なんでそれを⋯⋯!」
「お見舞いにいったとき、中から声が聞こえてきてさ。二人の会話を聞いてたんだよ。霊禍も一緒だったよ」
「いや確かに一緒に盗み聞きしたけどさ⋯⋯それ本人に言うか? ノンデリすぎるぞ」
「そう?」
その顔は嘘偽りなく純粋だったので、残りの二人は亘にデリカシーを教えることを諦めた。
「⋯⋯べつに、いいんですわ! 鎌鼬家が人殺しで金の亡者の一族だったとて、そんなのは過去のこと!
むしろ革命の手間が省けて助かりましたわ! 新生・鎌鼬家伝説がここから始まるのですから!!!」
二人は呆れた目で奏を見つつも、元気そうな様子だったので内心安堵するのだった。
「⋯⋯にしても、今日は先生が不在なのですね」
「あぁ。なんか用事とか」
「会いたかったのに、残念ですわ」
担任の梨里島唯先生は児童からの信頼の厚い教師であり、不在はなかなかに心細く感じられたが⋯⋯それについては今はどうでもよかった。
「そんなことより、ワタクシの霊能力? を見るのですわ!!」
奏が地面から手のひらサイズの石ころを持ち上げ、真上に軽く投げる。
カッカッと軽やかな音が鳴り、空中で石が三回ほどバウンドしたように見えた。最終的に、まるでみじん切りされたかのようになり、地面に落下した。
「フフフ⋯⋯秘儀・だいたい八等分切りですわ」
あまりにも正確な切断。奏が得意げになるのも無理はなかった。
「もうこんなに上達したのか!?」と霊禍。
「入院中はヒマでしたから、入院食の焼き鮭を切るなどして練習していましたの」
奏はそう言いながら、足元の石を軽々しく『再接合』させた。
「それにしたって⋯⋯亘ですら、グレイヴの制御に一カ月半かかったんだぞ!?」
「いや、あれは⋯⋯師匠の教え方が悪い。ほんとに」
「師匠? って誰ですの?」
「えっと⋯⋯二年前の春に、僕らに霊能力での戦い方とか、幽霊についてのことを教えてくれた人がいたんだ。その人が、僕らの師匠」
「ふ~ん、どうりでなんだか賢いと思いましたわ。
それなら私も、いろいろと教えてほしいことがありますから、ご教示してくださる?」
普通にものを頼むことができるようになったんだ、と亘は思った。
「まず、幽霊ってなんですの?」
亘が冷静に説明し始めたのを遮り、霊禍が答え始める。
「いい質問だ⋯⋯。霊能力の上達といい⋯⋯奏、お前は天才だ。マジに天才だ。
ゲホッゲホッ。
では答えよう。幽霊とは、『脳波』だ」
この喋り方は⋯⋯師匠のモノマネだった。




