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ヴォーパルバニーと要塞おじさん  作者: ベニサンゴ
第42章

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第2248話「楽しいデート」

『おおおおっ! こ、これが全部、砂糖なの!?』

「ここだけで毎分2トンの砂糖が精製されて、出荷されてるらしいな。まったく、いつの間にこんな工場を作ったんだ……」


 レアティーズにせがまれてやって来たのは、工業区画に並び立つ巨大砂糖精製プラントのひとつ。巨大な釜でサトウキビが煮込まれている壮大な光景と、コンベアの上を流れる純白の塊に、彼女は上擦った声をあげていた。


『こんなにたくさんの砂糖、何に使ってるんだろ……』

「対外輸出品のうち7割くらいは〈アマツマラ〉での工業用途みたいだな。精密金属部品の製造に、砂糖が使われてるらしい」

『へええっ。そっちの工場も見に行きたいなぁ』


 レアティーズは今まで見たことがないくらいにテンションが上がっている。どうやら彼女は、ずいぶんな工場好きのようだ。今回も〈ウェイド〉に行くとなって、その一大産業となっている砂糖精製の現場を一目見たいと熱望された。

 ここにウェイドがいれば、そんな彼女に喜んで解説していたことだろう。


「しかしこの工場、いろいろとんでもないな。搬入されてるサトウキビと、重量比で102%の砂糖が搬出されてるぞ」


 俺もウェイドの砂糖精製プラントへやって来たのは初めてだ。そもそも生産系スキルを持つものでなければ、そうそう町の工業区画には訪れない。少し前から開発が進んでいるとは風の噂で聞いていたが、まさかここまでのものとは。

 〈ウェイド〉はその立地上、大瀑布か豊富に水を得られる。その豊かな水源を有効活用して、超高効率の砂糖精製を実現しているのだと、工場の案内板に書かれていた。その結果、重量比ではサトウキビより砂糖の方が多いというパラドクスさえ起きているのだから、ウェイドの狂気も極まっている。


『てかさ、この砂糖ってあーしたちのところから運ばれてるんだよね?』

「そうだな。正確には〈エミシ〉の惑星農場からだが」


 いろいろとあった惑星農場も、現在は(ウェイドの全面的なバックアップもあって)かなり復旧が進んでいる。サトウキビの品種改良も(ウェイドの全面的なバックアップのおかげで)活発に進んでおり、そこで生産された大量のサトウキビや甜菜といったものが、(ウェイドが多額の資金提供を行って完成した)大規模な輸送ラインを通じて運び込まれてくるのである。

 レアティーズは塔の第六階層しか知らないが、その上に別の世界があることはなんとなく把握しているようだった。そこの小さめの宇宙が広がっていて、星丸ごと開墾した巨大な畑でサトウキビが育てられている、という事実にはイメージができていない様子だったが。それはそちらの方が正常だろう。

 ともあれ、自分と故郷をほぼ同じとするサトウキビたちが、はるばるこの町まで運び込まれて砂糖になっていることに、彼女もなにか思うところがあるのだろう。巨大なガラス窓に額を付けて、猛烈な勢いで作られる砂糖インゴットをじっと見つめていた。


『そういえば、レッジもいくつか工場持ってるんだよね?』

「詳しいな……。まあ、俺はほとんど関与してないんだけどな」


 〈ウェイド〉の郊外にはエナドリ工場がある。あれは現在も順調に稼働していて、地味に心強い収入源となってくれている。

 レアティーズはエナドリ工場にも興味があるようだったが、さすがに街の外に出るわけにはいかない。また機会があれば、正当な手順を踏んだ上で招待しよう。

 そういえばあの工場、フィールドにある以上普通は防衛維持費にかなりコストがかかるはずなんだが、何故か全然防壁に損傷がないんだよな。誰か、あの辺りを活動の中心にしている調査開拓員が周囲のエネミーを狩ってくれているのかもしれない。


『ふぅ。こんなにたくさんの砂糖を見てたら、甘いものが食べたくなって来ちゃった』

「すごいな。俺はもう胸焼けしそうだ」


 若々しい発言に思わず瞠目する。外見が若返っても、精神はおっさんのままな俺にとっては羨ましい。


『ちなみに試食とかってあるのかな?』

「ウェイド直轄のプラントはそういうのやってないな。ついでに盗もうとした奴は反省室に一週間閉じ込められたらしい」


 あまりにも刑罰が重すぎるということで指揮官の介入があり、最高裁まで争った結果、7時間程度まで減刑されたらしいが。とにかく警備も厳重だし、見学コースも頑丈な隔壁で仕切られている。盗人や侵入者に異常なほど厳しいのだ。細かく分割された完全独立型のイントラネットでシステムを管理しているせいで、内部に忍びこむのも地味に面倒だしな。

 このプラントから砂糖の1グラムでも持ち出せる奴がいたら、稀代の怪盗として名を馳せることができるだろう。


「ずいぶん歩き回ったし、少し休憩するか?」


 物足りなさそうにしているレアティーズを見て提案する。

 工業区画の隣には商業区画もあり、そこには馴染みの店もある。甘味を出すところもいろいろと。ぱぁっと表情を明るくする少女を連れて、俺は巨大な工場を後にした。

Tips

◇A型高効率砂糖精製プラント

 地上前衛拠点シード02-スサノオ工業区画に建設された巨大な砂糖精製プラント。管理者ウェイドによって考案された画期的な精製手法が採用され、超高効率な精製を実現させた。

"ゆくゆくは旧式のプラントも全てこちらのA型に移行していきたいところですね"――管理者ウェイド


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