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ヴォーパルバニーと要塞おじさん  作者: ベニサンゴ
第42章

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第2228話「生類転生」

 桑名と花山に厳重監視されながらの全身精密検査が無事に終わった。三日間みっちりと入れ替わり立ち替わり大量の研究員が詰めかけて、流石に辟易とした。しかし下手に逃げ出すと一ヶ月コースに強制変更と言われては仕方がない。

 ついでにデータセンターの基幹システム群のキャリブレーションやら何やらまで手伝わされたのは納得がいっていないが、それを言い出したら三ヶ月コースになりそうな勢いだったから黙るしかなかった。言論封殺は悪であると表明することすら許されないこの世は間違っているのではないか。


「……さて、久々の我が家だな」

『やっと起きたわね、寝坊助』


 ログイン早々懐かしい罵倒が飛んでくる。振り向けば赤い瞳に強い意志を宿した少女が、俺と視線を合わせて立っている。


「よ、カミル。俺のこともちゃんと分かるんだな」

『今回はまだ人の形は保ってるほうでしょ』


 あまりにも簡単に言われてしまって笑うしかない。〈ワダツミ〉の海岸にある別荘のなかで、レティかエイミーが置いたらしい姿見に全身を写す。困り顔でこちらを見つめ返してくるのは、身長130cmほどの黒髪の少年だ。

 先日のイベントで成り行きでこの姿になった後、決着早々にログアウトして花山たちに詰められていたから、ここからの復帰になったのである。巷では"魔術"システム実装に沸き、現在も活発な検証が続けられているという。


「正式名はなんと言ったかね」

『親魔力有機外装ね。マジシャンとか、マジカロイドとか、生肉とかとも言われてるけど』


 俺が眠っている間にも、カミルは情報を色々と仕入れてくれていたらしい。〈ワダツミ〉の市場に商品を補充したり、〈ウェイド〉の喫茶店で働く姉に会いに行ったりしていた傍らに、やってくれていたのかもしれない。

 今の俺を形作るのは金属と人工筋繊維による機械人形ではない。タンパク質を始めとした有機的素材で構成された身体――第零期先行調査開拓団が利用していたものと基本を同じとする有機外装だ。

 魔力を扱うには、こちらの方が都合がいいのだろう。その代わり、スキルは使えず、インベントリも開けず、それどころかこれまで身に付けていた装備品さえ使用できなくなっている。視界に映るのも何の変哲もないカミルの顔で、その上に表示されるはずの逆三角形のマーカーや、俺のLPなどを表示するゲージなどもない。


「UIがないのは不便だな。ログアウトは……これか」


 流石にログアウトができないような事態にはなっていないらしい。

 簡素な麻服の袖を捲ると、近未来的なシルバーのリングが手首に巻きついている。繋ぎ目もなく、おそらく外すことはできないのだろう。それを軽く触れると立体投射の映像で見慣れたメニューが出てきた。


「TELLも使えず、ブラウザや掲示板は論外。当然ながらCDBにもアクセスできない、か」


 薄々予想していたが、なかなかにハードモードだ。

 いくら機体から生身に変わったからといって、ゲームシステムの根幹に関わるものすら自由に使えないとは。


『今、外付けの端末が色々売り出されてるわよ。どんな環境でも使えるタフガイブック? だったかしら』

「なるほど、そんな感じの装置で代用していくんだな」


 機械人形なら身ひとつで出来ていたことも、有機外装では難しい。その代わりに、機械人形の基本的な機能を扱えるパソコンのようなものが流行っているらしい。

 どんなものがあるのか分からないが、有機外装で活動するなら必須のアイテムになりそうだ。


『というかアンタ、もしかしてそのままでいるつもり?』


 気軽にブラウジングもできないのは微妙に不便だなぁと考えていると、カミルがこちらを覗き込んでくる。身長が同じ程度になったからか、違和感がすごい。というか迫力か?


「まあな。せっかく新しい身体を手に入れたんだ。しばらくは自由にさせてもらおうかと」

『言ってることが悪役っぽいわね』

「そうか……? まあ、今のままだとかなり不便だからな。色々試行錯誤してみるつもりだよ」


 新規コンテンツが実装されたのだ。しかもサービスもよく、俺はほぼノーコストでこの身体を手に入れることができた。それなら、存分に楽しませてもらおうじゃないか。

 とりあえず、目下のところは外部端末を手に入れて〈白鹿庵〉の誰かしらと連絡を取らないといけないのだろうが、


「ふぁあ。レッジ、今日もまだログインしてないのかなーって、うわーーーーーっ!? レッジ!? レッジ、いる!? どうして!?」


 ガチャリとドアが開いて、青髪の少女が油断しきった欠伸と共に入ってくる。目が合って、即座に絶叫。飛び跳ねんばかりに驚愕するラクトの姿に、俺もまた驚くのだった。

Tips

◇タフガイフォン

 極限環境対応高耐久ラップトップシリーズから派生した小型端末。片手サイズのコンパクトさで、通信監視衛星群ツクヨミへのアクセス機能を搭載し、更に掲示板、Wiki、ブラウザ各種アプリもプリインストール。

 これさえあれば親魔力有機外装でも快適な調査開拓活動を実施可能です!

"今なら専用アームバンドもセットでお!"


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