彼女の過去 中学三年、夏(前)
お医者さんが言ってくれた、頑張りましたね、と。
ギプスは予定よりも二週間早く外れた。リハビリに専念した結果、松葉杖なしで歩けるようになった。
そのおかげで夏休みまでの最後の一週間を——自分の足で通えるようになった。
空のおかげなんだと思った。あたしに勉強を教えなくても、毎日病室に来てくれた。来なくていいのに、なんて心にもないことを言ったら、自習室としてちょうどいいなんて言ったけ。
事故を恨まなかった日はない。けれど、得るものはあったと思う。佐伯監督が、あたしの将来性を買ってくれていた。両親も前より仲良くなったと思う。そして何よりも——空がどれだけあたしを大事にしているかわかった。
だけど、心残りはあった。
あたしが出なかったせい、なんて言わないけれど。事実としてあたし達の中体連は——たったの一回戦で敗北した。
「……よし」
あたしは今、ここにいる。二年間過ごした部室の前で。授業を終えて、一週間して、ようやく決心がついた。
謝らないと。
あたしの不注意で、みんなの努力を無駄にしたから。一緒に優勝目指そうって頑張ってた本人が、その場所にいなかったから。
許してくれるかな。部室に来てくれたみんなが、ギプスにメッセージを書いてくれたっけ。早く治して、一緒にまたバスケしましょう。夏美先輩の代わりに優勝してみせますって。
あたしが顔を出す資格はないけど。けじめはつけなきゃ。そう。
思い上がって、いたんだ。




