最強決闘者のドローはリストバンドから 1
前回のあらすじ。
惑星USJにて爆発落ち無限ループって怖くね?状態に陥った俺たちキャプテン·コンドル一行は、爆発を利用し0.123456789の確率世界線を爆発運動エネルギーでディメンションキルに成功。何とかして爆発オチ無限ループって怖くね?状態から抜け出したが、この世界線ではメロンパンが宇宙チュパカブラの右心室より高額で取り引きされている事を知り、メロンパン市場を独占する為に元の世界線に戻りメロンパンを違法輸入することを計画する。もう一度惑星を爆破し確率世界線を越えるために惑星USJのテロリストたちと手を組み、確率世界線を超えるための十分な人口を保有する惑星を爆破する爆弾を製造するための資金集めのために、違法な賭博場をハシゴしていた。
「行くぞ!行けコスモクイーン!攻撃表示!バトル!コズミック·ノヴァ!!」
「ぐわぁぁぁぁぁ!ぼくのディスクマジシャンがぁ!ティロリロリロリロリロリロリロテレレン」
『ガッチャ!これでキャプテンの賭け金が更に倍に!』
「サスガ キャプテン!倍プッシュ ダ!」
「ふぅん。このマネーパワーで作りあげた俺のバニラデッキは強靭!無敵!牙城のガーディアン!」
違法地下決闘リングで瞬く間に金をかき集めるこの俺、キャプテン·コンドル。マイフェイバリットカードはエルディーン。
この世界線での初めての賭博場だったが、世界線が変わっても賭博場は変わらない。この世界線でも決闘の作法に乗っ取り、鋭利なカツラの着用が義務付けられている。
「おいOBF、金の集まりはどれくらいだ」
OBFは蒸れたカツラの中を掻きながら電卓を叩き、金額を算出……つーかお前ロボットなのに何で計算機能ついてないんだよ。
『いやー全然ですねー。いまのところ目標金額の1割ってところですね』
「ヤハリ 新顔ガ 入レル エリア ノ 決闘 デハ 賭ケレル額モ 少ナイナ」
「常連になるのはいちいち面倒だしな。もっと高額な賭博場を探すしかねぇか」
「――なぁ、あんちゃん。どうやらここの決闘に満足出来てねぇみたいだな」
不意に俺たちに声をかけてきたその男は、ここでは珍しく鋭利なカツラではなく銀色の長髪のカツラを着用し、顔には特徴的なイレズミを彫っている。
「なんだおっさん、アンタいい賭博場でも知ってるのかい?」
「ああ、聞こえちまったからには教えてやらんでもない。こんな電流金網デスマッチ決闘、電流決闘ディスク決闘。それが全部チンケに感じちまう最高の賭博場をな」
長髪のカツラのおっさんはポケットから紙切れを差し出し、
「惑星エジプトナスカに行け。その紙に書いた座標にある違法地下賭博場に、お前たちを満足させる決闘が待っている」
言い終えるとおっさんは決闘ディスクからアンカーを天井に発射し、さっそうと出口に向かっていった。
「惑星エジプトナスカ……確カ古代決闘ノ聖地デモアリ、スベテノ決闘ガ始マッタ惑星……行クノカキャプテン?」
いぶかしげに紙を覗き込むガゴさんの言葉に俺は頷く。
なぜなら俺はキャプテン·コンドル。デッキに入れてるアイドルカードはバーストレディ。
そこに高額の決闘が転がってるなら拾うのみ。
「すべての決闘の始まりの惑星……面白そうじゃねぇか。決闘するしかねぇ!」
「なぁにこれぇ」
惑星エジプトナスカの違法地下賭博場で俺たちは今、新時代の決闘を観戦している。
しかしその決闘はカツラもねぇ、ディスクもねぇ、しまいにはデッキもねぇのトリプルコンボ。
さらに決闘者たちはカードの代わりにフィギュアで戦っていた。
「いくぞ!俺のターン!ドローはない!俺は二代目サンタを召喚!攻撃表示!いくぞ!バトルだ!優雅に歌え!かの聖誕を!」
「甘い!罠発動!コードフォーカス!」
決闘者たちが使っているフィギュアも見たことがないモンスターばかり。大口開けてポカーンと見てると英国紳士の様な出で立ちの年寄りが声をかけてきた。
「やあ君たち見たところここは初めて……いやそれどころか決闘自体見るのが初めて……といったところかな」
「アッハイそうです」
「まあ無理もない。メジャーかマイナーかで言ったら、ドマイナーだからねぇ!」
大爆笑し、一人で勝手に盛り上がるじいさんに置いてけぼりにされる。
『それで、結局これなんなんですか?なんでカードじゃなくてフィギュア?』
OBFの質問に笑いを必死に鎮めたじいさんは涙を拭きながら、
「何ってドマイナーな決闘と言ったらアレしかないだろう?何?ホントに知らない?この決闘はその名も」
新時代の決闘、最先端の決闘、時代を先取りする決闘。それこそ、
「FG○決闘さ」
「ってことらしいんだけどさオカP。なんか知ってる?あと電話越しにシャカチキシャカチキうるせぇ!」
『シャカシャカチキン、音量こんぐらい?オケ?聞こえない?オケ?オッケー。あ〜らキャプちんアタシを頼るなんて恐悦至極の限りのリンリンよ〰。あ、ちょい待ちsiriが……オケ。決闘のことなら任せて頂戴。アタシはその道のプロ中のプロ。アタシも賭博場で得意の決闘で稼ごうと思ってたのにどこもやってなくて困っていたとこなのよ〜』
「そいつはちょうどいい。座標を送るからお前もコッチ来て稼いでくれ、その間俺たちも小銭を稼いでおくからこの決闘のルール教えてくれ」
ちなみにさっきのじいさんに聞いたら「見てろ」って言って秒でパンイチになるまでふんだくられて賭博場から追い出された。
『ブラッマジッ。まず決闘に必要な物はダイスとモンスターよ。まずは好きなダイスを15個選んでそこからランダムに3つ選択するの、それが手札よ。そしたら次はダイスロールフェイズ。3つのダイスを同時に振って星型のマークを揃えることにまずは集中して、星型のマークが召喚クレスト、これを揃えないと召喚が成功しないわ』
「ん?オカPそれって」
『でも注意してちょうだい。ただ召喚クレストを揃えるだけではダメよ。召喚クレストには数字が書かれているわ。その数字も同じ数字を揃えないと召喚は成立しないの。そしてその数字はレベルでもあり、レベルが高いほどダイスの召喚クレストの面は少なく、召喚難易度が上がるわ』
「おいオカP」
『召喚に成功するとフィールドにダイスを展開できるわ。このダイス分、つまり六面のフィールドを自分の陣地に出来るわ。これがダンジョンよ。このダンジョンを展開して相手の陣地まで伸ばして行かないと決闘は始まらないわ。でも注意してちょうだい、このダンジョンを形成する時に』
「オカP。それFG○決闘じゃなくてダンジョン&ダイスモンスター」
『パーデュエル?……えっなに?FG……なに?ドマイナーな決闘って言ったわよね』
「いやダンジョン&ダイスモンスターはドマイナーじゃなくて商品展開がうまくいかなかっただけで、とにかくそれじゃない決闘」
『んだよクソが!!ダンジョン&ダイスモンスターの時代が来たと思ったのによぉ!!アァァァシャカシャカシャカシャカチキン』
ブチギレて大音量でシャカチキを流し始めたので即電話を切った。
「あのオカマはダメだ。闇のゲームに心を囚われている」
『やっぱりぼくたちでどうにかするしかなさそうですねキャプテン』
どうするか考えていると賭博場に急に音楽が流れ始めた。
「お待たせしました決闘者諸君!この後ついに最高ランクの賭けが行なわれるプロ決闘者による地獄のデスマッチ決闘の始まりだぁ!もちろん我らが破壊王、ぐだだリオ子も会場のナスビちゃんにセクハラしてウォーミングアップ中だぁ!」
現れた司会者にスポットライトが当たる、どうやらこの賭博場のメイン決闘が始まるらしい。
「決闘の前にお知らせです。今度開催される決闘特異点·ンクウォフルケヅツリシハ大会では何と優勝商品にメロンパン1個を用意しています。決闘者の皆さま、大会のエントリー締め切りまで十分ありますので、慌てず騒がずに、決闘者の参加をお待ちしております。それでは10分後に決闘スタンバイ!」
『……確かこの世界線だとメロンパン1個で爆弾の制作費いくら分でしたっけ』
「ブラックホール1個分買ッテモ、オツリ ガ クルナ」
「……とりあえず決闘用のフィギュア買いに行くか」




