人にB級映画を勧めるときはサメより殺人トマトにしなさい 2
ここは宇宙最大のレンタルビデオチェーン店。その名もTATSUYA。最近地球の会社に名前をパクられたありとあらゆる作品が揃ってる、最強のレンタルビデオチェーン店。
その第810号店。
「あん? マジか、ハンドレッドヘッドシャーク借りられてんじゃん。あと見てないやつあったっけなー」
普段借りられてないやつに限って借りられている。レンタルビデオ店あるある。だが俺はキャプテン・コンドル、この程度でへこんだりしない。そしてオススメの映画はアタックオブザキラーナスビ。
さて。ハンドレッドヘッドシャークが借りられているとなると何を見るかだが……仕方ない、ここはまた以前見たものを借りるとしよう。
「んー……ミニシャークvsアリさん帝国でも見るかな……お、借りられてない」
無事ミニシャークvsアリさん帝国を見つけた俺は手を伸ばし取ろうとした瞬間、反対側から伸びて来た手と触れてしまった。
「あ、すいません」
こ、これは放課後の図書館で文学系女子と手が触れあってしまって恥ずかしがりながら「あ、あの……アナタもこの本好きなんですか?」ってなるシチュエーション!
落ち着け……落ち着くのだ……キャプテン・コンドル……こんなクソみてぇなB級映画を借りる女子だ……きっと顔面は知◯風ハットさんみたいなアイコンに違いない……いや、まあそれでも別に構わないけど……。
意を決し、俺は彼女の方を見た。
「コー、ホー。あ、すいません」
男かよ。
いや男かよ。
男かよ。
季語は無い。
つーかなんだこのコスプレイヤー。
一瞬黒くて仮面だからダース系列かと思ったら仮面の系統ガン◯ムだよ。どういうことだよ。宇宙ぐらいしか共通点ないよ?
「コー、ホー。あのー……もしかして、アナタもお好きなんですか?サメ映画」
「あっはい、まあ」
嘘だろ、この流れで聞いてきたよ。男同士なのに聞いてきましたよこの黒い彗星。
しかもすっごい嬉しそうだよ。もしかして同好の士に会うのが始めてとか?クラスにもう一人くらいいなかったの?あ、いなかったわ俺も。
「コー、ホー。もしよろしかったらなんですけど、ミニシャークvsアリさん帝国あと一枚だけなんで……俺の家で一緒に見ませんか?」
「え?」
それ、一気に行程飛ばし過ぎじゃない?恋人がすることですよそれ。
こうして俺は突如現れた黒い彗星と共に、B級映画を観賞することになった。
一方そのころ。
『ガゴさんどうしたんですか?GPS検索なんかして』
「イヤ、オレノ記憶ガ正シケレバ キャプテンガ向カッタTATSUYAッテ、帝国ノ領土内ダッタ気ガシテナ……」
『まあ、キャプテンなら大丈夫だと思いますよ』
「……ソウデモナイミタイダ」
ガーゴイルのガゴさんが指差したスクリーンには、キャプテン・コンドルの位置情報が表示されている。だがそこは何もない場所であった。
『あれ?これキャプテンどこにいるんですか?あの人のことだから宇宙遊泳中とかしてそうだけど』
「オレノ情報ガ正シケレバ、コノ場所ニハ今、移動式ノ帝国ノ人工惑星ガアルハズダ」
『え、それは……マズイですよ!』
「急イデ向カウゾ」
ガーゴイルのガゴさんとOBFは操縦席に座り、船のエンジン点火した。その瞬間、船内にアラートが響き渡る。
『ハイパージャンプ反応多数!いったい何が来るんですか!?』
「キャプテン……今日ハ厄日ダナ」
船の近くすれすれに、次から次へと戦艦がジャンプして来る。
巻き込まれないように急いでその場から離れる。
『あ、あの艦隊は……』
OBFはその艦隊に掲げられているシンボルを見て、驚愕の声を上げた。
ガーゴイルのガゴさんは頷いた。
「アア、反乱軍ノ オデマシダ」




