恋はオイルの味 3
その後一攫千金を狙い、星全体がカジノであるテーマパークスター、惑星ラストベガスに向かった俺は、散財した挙げ句身ぐるみを剥がされ、パンイチでスロットを回していた。
「落ち着け、落ち着くんだ。当たる、絶対当たる。だって俺はキャプテン・コンドル。触手愛好家のラッキーボーイ。どんなピンチも乗り越え……んはぁん!」
思わず変な声が出てしまった。ゲームとかしてる時につい出ちゃうよねあんな声。つーかダメだ。かすりもしねぇ。当たる気配を感じない。そして今のは最後の一回転だった。
俺はパンツを脱ぎ、横につっ立って手を出している支配人に渡す。
これで俺は無一文になってしまった。
だが俺はキャプテン・コンドル。負けを認めぬ限り負けではない。
だが残された道は少ない。あと残ってるのといえば……VIPのホモセが大好きなオジサマたちに体を売るくらいだ。
背に腹は代えられない。俺は覚悟を決めおしりの処女に別れを告げる。
アディオスマイヴァージン。お前と共に戦えたことを俺は誇りに思う。
いざ出陣。したちょうどその時、周りの雑音に混じって隣のOBFが座っているスロットから軽快な音楽が流れだした。
『わー見てくださいよキャプテン!7!7が揃ってます!ジャックポッドでやつですよねこれ!?これだけあればきっとKRG114514号さんの借金も返せますよ!あとなんで全裸?』
スロットから溢れでる大量のコインを目の前にし、俺は涙を流した。
待つべきものは、友。
『いやアンタ産業廃棄物とかスクラップとか言ってたじゃん。忘れてませんからね?あとこれで早くパンツ買ってきて』
KRG114514号の借金を返済し、再びキャバクラに訪れた俺たちは、感謝の言葉を述べられていた。
『本当にありがとうございますOBFさん。でもいいんですか?昨日今日知り合ったばかりの仲なのですよ?』
『いやー気にしないで下さいよ。ぼくなんかこんな大金持ってても使い道がありませんし、キャプテンに使われるのがオチなので。あ、だからこれからはKRG114514号さんに会うために使います!』
OBFは頬(頬っていうか顔のパーツ?)を赤く染め、照れながらそう言った。キモ。
だがKRG114514号は悲しそうな顔(そんな感じに顔のパーツが変形した)をした。コワ。
『ゴメンなさい……私もうこのお店やめてしまうの。元々借金を返すために始めたのだし』
『ど、どうしてですか……?』
OBFの問いに、KRG114514号はためらいながらも、意を決して告白した。
『じつは私、本当はロボットじゃないの!超機械生命体で、惑星セイバーボロンの戦士なの!』
KRG114514号の思いがけない告白に、OBFは絶句した。
「おっとぉ、これ長くなるやつだ」
以下、キャプテン・コンドルの提供で、ダイジェストでお送りします。
『よく戻ってきたKRG114514号。早速で悪いのだが任務だ。まずはこのまったく怪しくない書類にサインを』
「そういやOBF。キャバクラで聞いた話なんだけど、KRG114514号ってこのイボンコ総司令の借金肩代わりさせられてあげく、夜逃げされたんだと。あ、こんなところに超破壊光線銃が!」
『イボンコ総司令ぃ!』
『総司令が死んだ!』
『やったぜ!』
『かなりペッタンコだよコレ!』
「……イボンコペッタンコ」
『イボンコペッタンコ!イェイ!━━はっ!俺たちはなぜこんなことを口に……俺たちの知らない何かを俺たちは知っているのか?……うっ頭が』
『ということで新しい総司令官のオプション・アナゾン・プラインムだ。早速だがセイバーボロン軍とかいう名前ダセェからオートボロン軍に改名する』
『何か新しい総司令怖いね……』
「ハリウッド版基準なんじゃない?」
『なぜなんですか……なんで裏切ったんですか、キャプテン!』
「だって話長いんだもん。ということでこの戦争をとっとと終わらせるために、この後俺はディセプボロン軍の参謀長官になりました。まる。」
『何を言うか貴様!参謀長官はこの俺、スタスク様だ!生意気な新入りめ!』
「メガボロン様。このスタスク後で裏切りますよ。具体的にいうと後3話。今のうちにクビ切ったほうがいいです。あとメガボロン様のプリン食ったのもコイツです」
『スタスクゥ!テメェ!ワシのプリンを!』
『お許し下さいメガボロン様ぁ!』
「これで席が空いたな」
『行けぇキャプテン・コンドル!ボタンを押して装置を止めるんだぁ!』
「すいませーん。ボタンが2つあるんですけど、どっち押せばいいんですか?」
『青だぁ!キャプテン・コンドル!青を押せぇ!』
「あ……ゴメン、赤押しちゃった」
「……滅んじゃったね、惑星セイバーボロン」
『キャプテンがボタン押し間違えたからでしょうがぁ!』
『イカンみんな逃げろ!タカラホモーの残党狩りだ!性玩具にされるぞ!』
『ウワァァァァァア!待って助け、はぁぁぁん!ぎもぢいい!』
『ジェットファイヤーの初めてがやられた!』
『いえまだよ。まだ私の中に最後のスパークが残っているわ……これも破壊しなければ宇宙は終わりよ……』
『KRG114514号さぁん!』
「溶鉱炉に沈むのってトラン◯フォーマーじゃなくてターミ◯ーターじゃね?」
KRG114514号がスクラッ……の死と引き換えに、惑星セイバーボロンの戦争は幕を閉じた。
そして俺たちはまた新たな惑星を目指し、宇宙を進んでいく。
「そう落ち込むなOBF。宇宙は広い。きっとまたお前好みのスクラッ……かわいいロボ娘が見つかる」
『━━KRG114514号さん……』
OBFはため息をつきながら窓の外の宇宙を眺めている。俺はOBFの好感度を上げ、大金を奪っ……OBFを元気づけるため励ましの言葉をかける。
「気持ちを切り替えろOBF。そういや新しいロボットのキャバ嬢が入ったらしいけど、お前この娘はどうだ?」
俺はOBFのほうにホログラムの画面を向けた。
『キャプテン……ぼくはもうKRG114514号さん以外の女性とは……』
そこまで言いかけ、振り返りながら画面を見た瞬間、OBFの動きが止まった。
そしてしばらくの沈黙の後、OBFは口を開いた。
『━━素直に、射精です……』




