プロローグ 二つの銃声
大幅に加筆修正を行いました。
1960年 ビルマ連邦 首都ラングーン近郊
ジャングルの中、砂煙をあげながら一つの車列が前進していた。
全てが暗い緑色をした軍事車両だ。すべての車両の壁面には旭日旗が施されいる。
なんとも物々しいこの車列は悪路をスピードを上げながら進んでいた。
そしてジャングルの木々が一層深くなってきた時、突如としてジャングルに男たちの怒号と激しい銃声が響いた。
車列の周囲に土煙が上がり、車体に弾丸が食い込んでいく。
激しい怒号が飛んでいる。
そして、一台の車両から炎が上がった
爆発音。
悲鳴。
銃声。
兵士たちが理解する余裕もなく、車列はあっという間に炎と硝煙に包まれていった。
それからどれほどの時間が経ったか。
襲撃者たちが消え、恐ろしいほど静かになったジャングルにその声が響いた。
「大佐は・・・。大佐は無事か・・・!」
炎上していない車両から数名の兵士たちが這い出してくると彼らは互いに支えあいながら、中央に向かった。
辺りに血と硝煙とガソリンの臭いが織りなす非常に不快で危険な臭いが立ち込めていた。
中央に行けば行くほど炎の熱気は強くなる。
彼らは大佐と呼ばれた人物の乗った車両に辿りついた。
しかし―――。
そこにあったのは、黒煙を吐き出す焼け焦げた車両があるだけだった。
兵士たちは呆然と立ち尽くしていた。
辺りには不気味なほどの静寂とジャングルを吹き抜ける生温かい風。
そして、炎上する車両から聞こえる小さな爆ぜる音。
現場に残されていたのはそれだけだった。
同年同日 ビルマ連邦 パガン
夜の帳が降りた草原の中、煌々と光るテント群があった。周囲には大型のトラックやジープ、さらに重機が並んでいた。
テントの中では数名の男たちがそれぞれに思い思いの時間を過ごしていた。ある者は今日の発掘の成果を喜びある者はそのことについて論文をどうまとめるかを悩み、またある者は今日の仕事でいくらの賃金が貰えるかの換算をしていた。
とても静かな夜だ。
時たま聞こえる虫の鳴き声が響く。
皆が明日の仕事に備え、それぞれの夜を過ごしていた。
その夜の静寂を切り裂く銃声が聞こえたのは月がちょうど真上に来た頃だった。きっかけはその前に轟音をあげながらやって来るトラックの音だった。
トラックはスキール音をあげながらテント群の近くに止まった。
そこからはあっという間の出来事だった。
トラックから降りてきた男たちはテントを切り裂くと中にいる者たちに銃を乱射し始めた。
草原にはしばらく銃声と悲鳴、そして襲撃者たちの怒号が響いた。
しかし、それも長くは続かなかった。
銃声も悲鳴も止み再び静寂に包まれた。
月が雲に隠れ星の淡い光だけが照らす草原にはもう誰も立っていなかった。いるのは先ほどまでまだ明日が来ることを信じて活気に満ちていた男たちの亡骸が転がっているだけだった。
夜風がテントを静かに揺らしている。
まだ主人公たちはできません。




