第18話 宇宙
「ここは……」
光を抜けた先に広がっていたのはどこかの施設のようであってコスモセンターとはまた違った光景。
窓? みたいな場所に向かって外に目を向けると真っ暗な空間が向こう一面に広がっていて、青くて大きな何かが見える。
「あれは……」
『あれはあなた方人類が暮らす惑星……名前はルプトです』
「その声、マックス!? アンタまだ何かするつもりなの?」
『いいえ。そのようなつもりはありません。あなたはマスターが用意した試練を乗り越えこの天外星ONEに登場することを許可された人間なのですから』
「天外星ONE……てことは……」
『はい、ここはあなた方が目指していた宇宙です』
ここが……。この暗くて広い空間が宇宙だって?
それにあの星がアタシ達の暮らしてる……まあ未来のだけど。
「すごい……」
窓に張り付いて惑星ルプトを眺めていたが……そういえばと思い出す。
「みんなは? みんなはどうなったの?」
決して忘れてたわけじゃないよ? ただ、目の前の光景に目を奪われてただけなの。そう、そうなんだから。
そんな言い訳を心の中で漏らしつつマックスに問うと、姿のない彼女は答えてくれた。
『各自、試練をクリアしたみたいなので時期にここに到達するかと』
「よかった……ならアタシが一番乗りってことね?」
ホッとしたアタシはこの施設――天外星ONEを見て回る事にした。なんせみんながここに到着するまで数十分かかるらしいからね。
それまでの間に少しでも個々の理解を深めておくのも良いでしょ。
「にしてもここにも訳のわからない装置ばっかり……」
『ここはメインロビー。大陸の各地に設置された天外星ワープゲートと結ばれた入口ですので、座標を固定する魔具装置が多いのですよ』
「各地って……海炎以外にもここに来る手段があったの?」
『はい、敵に気づかれないような場所にマスターと海炎の住民が設置してるのですよ。まあどこも見つからず、マスター以外にやって来たのは妹さんとあなた方だけなのですが』
妹っていうとイデア――天火大帝のことね。
「んで、ここは時空間転送装置の施設なんだよね? どうやって時空を渡るの?」
『説明するよりあなたは見てもらった方が早いかと……案内しましょうか?』
「いいの? ならお願いしよっかな」
見てみたいしね。大変な状況だってのに宇宙に来たワクワクが止められないのよ。時間はあるんだし少しぐらいいいよね?
そうしてアタシはマックスに案内されるまま天外星の中を進む。
扉の目の前に立つたびシュッと自動で開閉するのに少し驚きつつ、何度か体験するとアタシみたいな田舎者でも流石に慣れてきた。
ここはそういう場所で、目に入るものが全て未知で溢れていて忘れていた冒険心が湧き上がってくるみたいだ。
そんな通路を歩いて辿り着いたのは丸い変な乗り物が並んだ一際広くてまっすぐ続くトンネルみたいな場所。
『ここがこの施設で重要な区画。ハイジャンプです』
「ハイジャンプ?」
『この亜空間物質転送装置に乗り込み、亜光速で射出される事で時空の壁を突き破り設定された世界へと渡ることができるのです』
「へ〜。まるで方舟みたいね……時空の壁突き破るなんて出来ないけど」
『着想は教会の方舟から得たみたいですよ?』
あー。なるほどね。
とアタシは頷く、ここの説明をマックスから受けた内容はこうだ。
アタシ達はこれに乗り込む。
射出される。
元の世界に着陸して到着。
以上! 簡単だね?
『簡単に見えて、かなり苦労があったのですが……まああなたにはわかりませんよね』
「なによ……アタシが馬鹿だっての?」
失礼しちゃうじゃない。
ふん! と鼻を鳴らしていると『そういうつもりではないのですが』とマックスが困ったような反応を見せた。
「まあ見たいものも見れたし……そろそろ戻ろうかな。みんなもう着くでしょ?」
『はい。あなたがメインロビーに着く頃にはみなさん到着されていると思いますよ』
これ以上この施設で見るべき場所はなさそうだしね、戻るとしますか。
――――――――――――――――――――――
メインロビーに戻ると、マックスが言ってた通りみんなが辿り着いてこの場を見て回っていた。
「おーい」とアタシが駆け寄るとみんなもこっちに来てくれてお互いの無事を確認し合う。
どうやらみんなも迷宮に突っ込まれたり、敵と戦わされたみたいだけど……。
「マロン……アンタよく攻略できたわよね」
「攻略って……ウチの試練は簡単やったで? ただ話を聞くだけやったし……」
「は、はぁ!? ちょっとマックスどういうことよ!」
いや死ぬかもしれないから別に良いんだけど、良いんだけどさ! なんか試練の差が大きすぎて納得できないっていうか……それで許されるんだったらアタシ達の試練ももっと簡単にしてくれたら良かったのにって思うわけよ。
『マスターですから。生みの親に逆らえるはずがありませんよね?』
そう言われたらそうかもしれないけどさぁ……。
「この子はアンタを作ったマロンじゃないのよ?」
『分かっていますよ。ですが親に変わりはないのです……』
なんだか人間臭い機械ね。まあいいや……みんなここに着くことができたんだし。
アタシはマックスと一緒にこの施設について見たもの、聞いた話をみんなに説明した。
ノーラとエレオノーラ、モルトは理解に苦しむと険しい顔をしていたけど、技術系に強いマロン、サーシャ、イデアに関しては「なるほど」と首を縦に振っていた。
「今の話で分かったの?」
「まあな。帝国でも光速を超えた事で起こる現象については色々考察が重ねられていたからな。なるほど時空の壁を突き破るか……原理としてはあり得るか……」
とサーシャ。
マロンとイデアに顔を向けても――
「難しいこと考えたらあかんで姉ちゃん。こういうのはな? こういうもんやって認識でええねん。1+1が2って決まっとるようにそういうもんやってぐらい軽く理解すりゃええねん」
って言われても……。
「お姉ちゃんの説明はややこしいですが、そういうことなんです。理解できないものを理解するには行動の結果で起こる現象をありのままに受け止める理解が必要って事だけ、私たちは少なからずその理解が深いだけでティナさん達も知識が増えればこの話にも付いて来れますよ」
「あっそう?」
だとしてもやっぱ頭を動かすのは好きじゃない。もうすでに頭から湯気が出そうなほど熱くなってるもん……。
それに見て見なさいよモルトの顔。
ホゲ〜ってなっさけない顔してんじゃないの。
「な、なんだよ……」
「いや、別にいつも通りアホ面だと思って……」
「おいクソガキ、俺様のどこを見てそう思ったのか小一時間程じっくり聞かせてもらおうじゃねぇか」
はっ。そう脅したって無駄よ。アンタの顔なんて鼻の下を伸ばしてるか猿みたいな顔してるかぐらいだもん。怖くないよーだ。
とは言わず、鼻で笑って答えてやると、殴りかかろうとして来たモルト。
そんなコイツをみんなが抑えるのだった。
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