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ビーフストロガノフの客

160話 ビーフストロガノフの客


「女、ここまでだ。そのジジィを素直に渡してくれねえか」


「無理ね。こっちも仕事だからね。あんたらだってそうだろ」


「そんな事は、どうでもいい。おとなしくジジィを渡せば、あんたも無事に帰れるんだ。まあ俺たちにとっては、ちょっとばかし抵抗してくれた方が楽しんだが」


「よく言うわ。あんたたち、いくらで傭われたか知らないけど、その報酬が治療費で消えちまうよ。それじゃ商売にならないだろ。治療で仕事に復帰出来ればいいけど再起不能になり、障害者生活で老後をおくることになったら、悲しいよ。あ〜なんであんな仕事受けちまったんだろ〜て、悔やむコトになるよ」


「よくま〜ベラベラと」


「あら、私の学生時代のあだ名『妖怪人間ベラ』っていうの」


「よく、しゃべる女だ。痛い目を見せてやれ!」


「博士、少しばかし私から離れてて。危険だから……」

「大丈夫かね……」 

「向こうの連中は、大丈夫じゃないだろうね」


「……」




 博士を約束の研究所へ無事おくって行き。

 今回のボディガードの仕事は、終わった。


 呑んで帰ろう。


 店は行きつけのBAR


「いらっしゃい。今日はお疲れの様子で」

「わかる? ちょっとばかし運動したからね」 


「運動……娘さんの運動会にでも?」

「マスター、私独身よ……。それに、なんで娘なの?」

「すみません。コチラの勝手な思い込みです。気になさらず……」


 カウンターの端にいた中年男が。


「マスター、何か食べ物作れる?」


「はい。洋食なら、なんでも」


「そうなのか、ビーフストロガノフでも」


「はい、少々お待ちいただくことになりますけど」


「いいよ」


「じゃ牛肉買ってきます」

「なんだい、アレ? やっかいな客ねぇ。常連?」

「さあ。はじめてのお客さんです。じゃちょっと行ってきます! お客さん、待てます?」


「いくらでも待つよ」


 やっかいな客と二人きりになってしまった。


 なに? 男が私の隣に。


「いや、驚きました。ウチの連中をあなた、お一人で……」

「あなた、あのバカたちの……」


「バカな子ほどカワイイんですよ。仇とか、とらしていただいて良いですか」


 隣の男は懐から銃をぬこうとしたが、私は男より先に銃を奪った。


「物騒なもの持ってるね。コレ、手入れがなってないね」


 私は銃から弾丸(たま)をぬいて、男の股間に銃口を当てた。


「仇を討つつもりなら相手をちゃんと調べなきゃ。おっさん。銃の弾丸(たま)、全部抜いたと思う?」

「さて……たしか、全部」

「どうかな……入ってたらどうなるかなぁ。こんな物を持って復讐のつもりだったの。あんた二流だね……。私が引き金を引く前に店から出て行きなよ」


 男はゆっくりイスから立ち上がり後ろを向くと、回転してひじ鉄を、私の顔へ。

 避けた。

 男はもう一挺銃を。

 そのときに私が手にした銃を取り上げ、自分の手に持った。

 それをわたしに向けて。


「コレで逆転ですね……。弾丸(たま)は、入ってるのかな?」

「カラだよ」




「すみません、肉屋休みでスーパーまで行っちゃて遅くなりました。あれ……ビーフストロガノフのお客さんは?」


「なんだか、急用が出来たと帰ったよ。ビーフストロガノフはわたしに奢るって、お金置いてったよ」


「そうですか。あ、でも一万円は多すぎる」

「ツリはとっとけってさ。リッチな人だね」


 BARのドアが開き。


「開いてます?」


「ええ、どうぞ」


「やっぱり、ココだ。青沼さん、大丈夫でしたか?」


「ナニが?」


「社長が、今回の仕事に物騒な連中が傭われたから気をつけろって……。青沼さん捜してたんだけど」

「電話すればよかったのに」

「しましたよ。でも通じなくて電源きってありません?」


「いや、アレ」


 コートから取りだしたスマホの画面に大きなヒビが。いつ? 暴れたからなぁ今日は。


「仕事はすんだからいいけど……スマホ壊れてた。経費で落ちるかな」

「壊れたんですか。どうりで。なんか、バーらしからぬ臭いがしますね。お腹にくる臭い……コレは」

「ビーフストロガノフ作ってるから、獄門島さんも食べて行きなさいよ。気前の良い客の奢りよ」


               つづく

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