走れゴクモントー!
159話 走れゴクモントー!
イグアナかぁ。居れば目立つよね。この都内に。
とりあえず、来たのが依頼人の住所から近い街中。
歩いてみた。
都内とはいえ、街田。緑もあってそのへんの垣根にイグアナが潜んでいてもわからないかも。
!
垣根から大きな爬虫類が。オオトカゲ!
そいつが、トカゲ独特の走りで向こうへ。
そのすぐあとから飛び出したのはトラジマの灰色の猫だ。
間違いなく、前を逃げるトカゲを追っている。
トカゲは、緑色。
って、アレはグリーンイグアナ!
わたしは、追った!
久しぶりの全力疾走。足には自信がある。
天気がいいので、傘は背中に刀のように背負ってるから、邪魔にならない。
猫をぬいても、イグアナを捕まえなきゃ。
猫が、あきらめたのか前方で、走るのをやめた。
わたしは、そいつをひとっ飛びした。
学生の頃のハードルを思い出す。
それほど高くはないけど。
飛んだ瞬間猫と目があった。
スカートの中、見られたかな。
猫だからいいけど。
わぁあ! 前のイグアナが、道路の横のドブに。
細い溝なので、しかも水がなく泥と落ち葉でイグアナのヤツうまく走れない。
追いついたわたしは、イグアナのシッポを掴んだ。
やった、捕まえた。
1メートルくらいある。そいつは、どう見ても日本にいそうなトカゲではない。
そして緑色。
間違いなくグリーンイグアナだ。
まさかこんなに早く捕まえられるとは。
わたしは用意していた布の細長い巾着袋にイグアナの首を掴んで素早く入れた。
やった。
このコトを社長に電話すると。
「依頼人の住所と電話番号わかるよね。渡して」
近くだから、いいか。
「あ、ママだ。じゃなくてゴクモンーオバさん!」
え、その声は。カラオケを一緒にした。等々力和泉の友だちの妹。
この辺の子だったの。
「ああ、獄門島オバさんは、ちょっと……」
相手は小6。大人げないか。
「ねぇ家近く?」
「そうだよ」
「そうなんだ。この辺に小栗さんてウチある?」
「あるよ。ウチそこだから」
「あなたのウチじゃ……。あのもしかして小栗愛美って」
「小栗愛美は、あたしだけど、忘れた?」
いや、小学生が探偵社に依頼をするわけない。
「他に小栗って家はある?」
「ないよ。この辺じゃウチだけ。そのでっかい布袋ナニ?」
わたしは、バッグからファイルを取り出し見直した。目の前の家の住所が書かれた表札と見比べた。
ここだ。間違いない。まさか、この子が依頼人?
「あ、袋が動いた。ナニが入ってるの?」
「これね……オオトカゲなんだけど。おねいさんそこで捕まえたの」
「え、見せて!」
袋を渡すと小栗愛美は、中をのぞきイグアナをひっぱり出した。
そして抱き。
「オードリー、なんで逃げたの。オバさん、この子ウチのオードリーだよ。捕まえてくれてありがとう」
間違いないようだ。依頼人のようだ。イグアナの名前も知っていた。
同じ頃。イグアナ捕獲の詳細は社長が電話で依頼人に。
実は社長、電話で以来を受けたときに。依頼人の名前、小栗あいみを漢字で書いていた。
正しくはひらがなで、あいみ。
ソレを聞いたばかりの名を憶えてて、わたしが勝手に愛美をマナミと読んでしまっていた。
依頼人は母親だった。
まあ、捕まえられたのでどうでもいい話だけど。
『依頼人は小学生?』の巻 おわり
つづく




