絶望の果て、幸福を掴む。~私を傷つけた二人は呆気なくこの世を去りました~
今日、愛していた人、婚約者である彼から、関係の終わりを告げられた。
「どうしてこんなことになったんだろ……」
湖の畔で呟く。
誰もいないと分かっているからこそ心を言葉に変えられる。
この言葉は誰も聞いていない。だってここには誰もいないのだもの。湖の畔にいるのは私一人。でもそれでいい。発した言葉はきっと誰の耳にも届かないけれど、それで構わないのだ。だって、だからこそ言えることというのもあるものだから。
「酷い、酷すぎるよ……」
婚約者だった彼は私を捨て妹に乗り換えた。
それがなおさら辛かった。
妹を選ぶために私を捨てるのだと知った時の絶望は計り知れない。飽きたとかなんとなく嫌になったとかでの捨てられよりもずっと傷は大きく深い。
私の価値が低いと言われているようなものではないか……。
涙があふれてとまらない。
流れ続ける。
ただひたすらに。
「う、うっ……う、うう……」
◆
二日後の夜、妹が死んだ。
「嘘、でしょ……」
妹は自室で寝ていた。それはいつものことだ。しかしそのベッドの上で亡くなっていた。自死ではないようだったが、だからといって死因が分かるような要素が残っているわけでもなくて、何がどうなって死に至ったのかは謎のままであった。
「お前が殺したのか!?」
「いいえ絶対に違います」
元婚約者からは責められそうになったけれど、私は無実を証明することに成功した。
なぜなら私はその日昔からの友人と会っていたのだ。そして予定より帰りが遅くなってしまっていた。そのため私には妹が死んだ時刻にはそこにいなかったという証明があったのだ。
それから少しして、元婚約者の彼も死んだ。
ただ、それに関しては、愛していた人の死によって心を病んだことによる自死であった。
こうして、私を泣かせた者たちはこの世から消えた。
◆
あれから数年、色々あったけれど今はとても楽しく幸せに暮らしている。
婚約破棄で一度壊された心。それを取り戻させてくれたのは今では夫となっている彼だ。彼と出会ったから、彼と共に歩めたから、今日の私が存在しているのだ。彼との縁がなければきっとここまで回復はしなかっただろう。
◆終わり◆




