何の取り柄もない女、などと言われ婚約破棄されましたが……その後意外な展開が待っていました!? ~おかげで幸せになれました~
「お前のような何の取り柄もない女、俺は愛さないし必要だとも思わない。よって! 婚約は破棄とする!」
婚約者アドレードはあるパーティーの最中そんなことを宣言した。
「え……」
「何を驚いているんだ、当然のことだろう。お前と一緒にいても良いことなんて一個もない。だからすべておしまいにする、ただそれだけのことだ」
アドレードは信じられないくらい冷ややかだった。
でも。
「それにな。俺、好きな女ができたんだ。お前より可愛くてお前より忠実で優秀、そんな女だよ」
その言葉を聞いた時、私はすべてを理解することができた。
「それが理由……なのですか?」
私は選ばれなかった。いや、そうじゃない。乗り換えのために捨てられてしまったのだ。他の女に乗り換えられてしまった、それが現実でそれがすべてなのだろう。
「ま、それもあるな。お前はあくまでキープだったからな」
じゃあな、ばいばい。
彼はそう言って私との関係を強制終了させたのだった。
「何あれ、ひど……」
「あり得ないわね、一方的に婚約破棄なんて。しかも公の場で、なんて……もうちょっと人の気持ちを考えられないものかしらね」
「周囲だって気を遣うし」
「せっかくのパーティーだってのに冷めるわ。あり得ない、意味不明。迷惑過ぎでしょ」
会場内にいた参加者の人たちはひそひそ話をしていた。
けれどもその多くがアドレードの身勝手な行動を批判するといった方向であった。
「あの娘可哀想ねぇ……」
「ほんと」
「迷惑よねああいう男」
「しかも乗り換えとかないわー。ほんと、サイテー過ぎだわー」
私を責める声はあまりなかったのは救いだった。
◆
アドレードとの婚約が破棄となった日から一週間ほどが経ったある日、私に聖女の力が舞い降りて宿った。
「貴女こそは! 真の聖女! 間違いありません!」
信じられないことだけれど、それは現実だった。
「奇跡だ! 奇跡が起きたぞ!」
「キタアアアァァァァ!!」
「ついにか!」
「これは来たんじゃねぇかぁ~!?」
「これで国は救われるうううぅぅぅ!!」
こうして一躍時の人となった私は聖女として祭り上げられ、国を護ってゆくために王子と結婚することになった。
その王子はとても善良な人。これまであまり女性との関わりはなくきていた人だと聞いているけれど、大人しくも包み込むような優しさのある素敵な人だった。
神に近い、そんな風に皆から扱われていてもなお誠実で。
勘違いして威張り散らすといったようなことは絶対にしない、謙虚だし温厚という素晴らしい人物であった。
「これから、どうぞよろしくお願いしますね」
「こっ……こちらこそっ。よろしくお願いします! どうか! お願いしますっ」
「落ち着いてくださいね」
「あ……す、すみません」
「緊張なさる必要はありませんよ。僕とてただの一人の人間ですから。それ以上でもそれ以下でもありませんから」
私はこうして王子と結ばれ幸せになれたのだが、それとは対照的にアドレードは残念な最期を迎えることとなった。
というのも、彼は、親しくなっていた女性にプロポーズした途端逃げられそれでも追い掛け回していたところ女性の父親が出てきて雷魔法を心臓に命中させられたそうで、それによって即死したのだそうだ。
どこまでも愚かな人。
そして呆れるほど残念な人。
◆終わり◆




