酷いことを言われ、婚約破棄され、体調まで崩してしまい……どうしようもない状況にまで追い込まれていたのですが。
人格否定に近いような言葉を並べられ、ボロクソに言われた。しかもそれだけでは終わらず、婚約破棄まで宣言されてしまって。婚約者エーデルゴッツの行いによりこの心はズタズタにされてしまった。たった一日のことだったというのに、我が心は壊されてしまったのだ。
周囲の人たちは「気にしなくていい」と言ってくれるけれど、それで癒える傷ではなくて。
救いはなかった。
体調まで崩して。
どうしようもない状態に追い込まれてしまった。
だがそんなある夜、目の前に、光に包まれた謎の女性が現れる。
『色々災難でしたね』
青いドレスをまとったその女性は不思議な深みのある声で脳に語りかけてきた。
『ですが安心してください。ここからは良くなっていきますよ。間違いありません、確かに、です。きっと良いことがたくさん起こるでしょう。貴女は真っ当に生きてこられました、ですから大丈夫。今はただ休息し、そして、少しずつでも構いませんから前を向いていてください。そうすれば近く幸運に恵まれるはずです』
そこまで言うと女性は消えた。
一体何だったのだろう……? なんて思いながら、私はぼんやりしていた。
――その翌日、エーデルゴッツの死のしらせが届いた。
彼は夜の散歩中に賊に襲われたそう。
金になりそうな物を奪われたうえ、証拠隠滅にために誘拐され、連れていかれた先の小屋にて弄ばれた果てに殺められてしまったそうだ。
まぁ、気の毒に……。
でもそれ以上のことは何も思わない。いや、それすらも、正直なところを言うと思ってはいない。申し訳ないが、彼が痛い目に遭ったところで自業自得としか思えないのだ。
――それから数日が経って、父が趣味で買っていたくじが大当たりであることが判明。
「うっひょおおおぉぉぉぉぉぉ! うっしゃあああぁぁぁぁぁぁ! これで貯金が増えっるぅぅぅぅ!」
父は貯金が増やせそうだと大層喜んでいた。
――その後良家の子息より婚約希望の話がが舞い込んでくる。
「実は昔、貴方に救われたことがあったのです」
「え。あの……人違い、では?」
「違いますよ!」
「ええっ」
「あの時僕の相棒である風船を助けてくださったのは、間違いなく貴女でした! それから……ずっと、ずっと、好きでした!」
彼の熱量に圧倒され、私は彼と婚約した。
確かに良いことが起こっている……。
ここまで続くと不気味さも感じてしまう……。
ただ、あの女性が言っていた通りになっていることは確かだ。
浮かれ過ぎず、でも楽しんで。
これからもそうやって歩んでいこう。
そうすればきっと、幸せに生きてゆけるだろう。
◆終わり◆




