閑話 慰労旅行という名の避難
翌日俺は一週間ぶりにベッドからでた。トイレに行くためだ。力をいれて立ち上がるといまだにフラフラしているけど辛うじて立ち上がって歩くことができた。
魔力切れが回復した時の感覚はインフルエンザに罹った時みたいな倦怠感がありますが、体は熱くなく逆にすっごく寒い感じです。まるで自分が何も入っていない紙袋にでもなったかのような感じだ。
俺が病室に戻ってくると、社長が伊澄さんに会いに来ていた。
そういえばずいぶん前に聞いたことがあるんだけど二人は昔付き合っていたとかなんとか。
「やあ聖君元気そうで何よりだ。ついでに君にも話があるんだ。聞いてくれるかな?」
「はい?どうしたんでしょうか?一社員の俺に?」
「いやいや君が何を言う。筆頭審査官の癖に」
「え?そうなのですか?聖勇者さん?あなたがわたくしの後釜を?それはそれは苦労を掛けましたね」
「ちょっと!社長!伊澄先輩の前でそれはやめてくださいよ!」
「どうしてだ?誇らしい事だろう?自分が手塩にかけた後輩が自分の跡を継いだと聞いたら」
「ええ、本当ですわね。強くなりましたね」
「もう!やめてくださいよ」
「まあ、後輩をいじるのはこのくらいにして、聖君。君に頼みがある」
「はい?何でしょうか?」
「伊澄君と藤井君、それと歌海君と一緒に異世界に旅行に行ってくれないか?伊澄君のリハビリもかねて」
「へ?そんなことですか?なんでまた」
「実はね、今回の事件のことなんだけどマスコミにバレそうでさぁ、それでいま歌海君と藤井君には現在ここに泊まって貰ってるんだ。ここに出入りしていることが分かったら彼らにもマスコミが流れていきそうだからね。一旦避難という形で。それと伊澄君のリハビリもそろそろしたいと考えていたから丁度いいんだよ。だからお願いね」
「まあそういう事ならいいですが、ただ、あと二日待ってもらえますか。俺もようやく魔力切れから回復したばっかでフラフラ何で」
「もちろんそれは考慮するよ。じゃあ二日後ね」
「はい。お願いしますね聖勇者さん」
といってから社長が部屋から出ていって数分してから俺は伊澄先輩といろいろ話をした。
「さっき言っていた藤井君って昨日来た女の子かしら?」
「あ、はい。そうです。あの子が藤井月姫です。俺の後輩で」
「それで、もう一人が歌海君ね?」
「はい!そうです。」
「ふむ。じゃあ一回彼らの実力を試さないとですわね。ついでにあなたも揉んであげましょうか?」
「はっはっはっはお手柔らかにお願いしますよ」
〈二日後〉
俺は病室の廊下で軽くジャンプをして自分のからどぉ久しぶりの思い通りに動かした。腕を曲げたり屈伸したりとしていると、
「あらあら元気そうですわね。もうすっかり大丈夫そうですわね」
と頬に手を当てて慈愛を込めたような笑みを浮かべていた。
「伊澄先輩は大丈夫そうですか?お体は」
「ええ、大丈夫そうですわ。魔力もある程度回復いたしましたし。あとは実際に動かしながら勘を取り戻すだけですわね」
「やあやあ体の調子はどうだい?お二人さん」
と社長が月姫ちゃんと歌君を連れてやってきた。
「ええ、おかげさまですっかりですわ。あとは魔力の使い心地を確かめるだけですわね」
「そうか。じゃあこれ。君の装備は見つからなかったからすまないが新しい装備だ。受け取ってくれ」
といって社長はホテルで荷物をたくさん載せている印象があるカートを押した社員の方に眼を向けるとそこには聖職者が来てそうな白を基調とした法衣?っといえばいいんだろうかが置かれ、その横にはたくさんのハンドベルが置かれていた。
「あら?ありがとうございます」
といってさっそく法衣に手をかける。
「この布は見たことがありませんわね。一体どのような生地なのでしょうか?」
「実はな。この生地や武器は前に聖君が連れて帰ってくれた人たちに作ってもらったんだ。彼らのスキルは非常に優秀でね。さっそく仕立ててもらったんだぜひ感想を聞かせてくれ」
「あ、先輩!あとこれ私からです!普段使いのお洋服に普段着です!使ってください!」
と清水さんが大きいバッグを手につめよってきた。後ろに全力で振れる尻尾が見える。そういえばこいつ伊澄先輩をお姉さまとか言ってたな。もうその癖は治ったみたいだけど。
「ありがとうございます。清水彩さんもお変わりなく」
さすが先輩動じないな。
「あ、聖君これ、例のコードみんなを連れて行ってくれないかな?大体向こう時間で一か月くらいいてくれいていいからね」
めっちゃ行っていいのね。というかなっが。
「わかりました。じゃあ使わせてもらいます野菜もまだまだあるし、お肉とかは現地でいいかな?あ、歌君あとで紹介したい人がいるから」
「ん?どういうことだい?」
「歌海君精霊獣に好かれるんなら精霊に好かれるかと思いまして。それなら連れていこうかなーっと」
「なるほどそういう事か。じゃあ許可しようかな彼らには手加減するように言っておけよ」
「もちろんわかってますよ。歌君覚悟しててね」
と俺等は合流した後で、扉の部屋に移動して、コードを入力して二人のほうを振り向き、
「すみませんが先に行ってもらえますか?俺たちは後で合流しますので」
といって二人を先に行かせる。
「じゃあ歌君着いてきて」
といって別の扉に移動してピュアランドに移動する。
〈ピュアランド〉
到着する相変わらず平和な世界です。少し薄暗く、霧が立っている世界で涼しいです。このの世界ならしばらくいてもいいと思うほどに。
「歌君。こっちこっち」
といってからぽかんと口を開けて周りをきょろきょろと見まわす歌君の手を引いて、案内をする。
途中で俺たちに丑モードを使い、継続回復を付ける。
丘に着くと、妖精女王セフィーと精霊王ユグドが周りの妖精たちと戯れていた。そして俺たちは近づくと、二人や周囲の妖精精霊たちがざわざわと俺を歓迎するように挨拶を始めた。
「ゆうしゃ、ゆーしゃ、きた、きた♪」
「ゆうしゃ、まってた。おひさし、おひさし♪」
「おお勇者よ待っておったぞ?ん?そのものは?何やら少し懐かしい気配がするのぉ」
「ん?この気配は精霊獣か?おぬし珍しいものを持っておるのぉ。して勇者よ用事いうのはその者のことか?」
「久しぶりだね。セフィー、ユグド。そうだねこいつを紹介したいのが目的の一つで、もう一個がまた野菜に果物を分けてほしいんだ。それでこいつは歌海綺星というやつで、グウィネスと会ったから一度挨拶をっと思ってね」
「初めまして。歌海と申します。グウィネスに頼まれてこの子たち精霊獣たちを育てています」
「ほう。そうか貴様がねぇ。私は妖精女王セフィーという。全ての妖精の母じゃ。そんでこっちは精霊王ユグドじゃ。ワシの伴侶で全ての精霊の親じゃな」
「あの素朴な疑問なんですが、精霊女王と、妖精王はいないんですか?」
「んーなぜかおらん!なんでかは知らん!それよりちょいとこっちへ寄れ」
といっていた歌君を手招く。そしてどうやら歌君の魔力を食べて味見をしたようで。しばらく口をもにょもにょさせた後で、そっと目を開き、
「うむ。なかなかに美味な魔力じゃ。これなら妖精の作物を取ることを許可しようかの」
となんか勝手に決まった。よくわかったな。
「まあそういう事だ。歌君これで、君一人でピュアベジットにピュアフルーツを持てるよ」
「え?え?え?どういう事だ?」
「解説するとね、俺のピュアフルーツとピュアベジットはここの精霊と妖精が作ってるんだよ。其れで俺の魔力は精霊と妖精たちにとってかなりおいしいらしい。だから俺はこの子たちに魔力を吸わせる代わりにピュアベジットとピュアフルーツを貰ってるんだ」
「ということは俺は?魔力をあげることで作物を貰えるってこと?」
「そういう事!よかった?な」
「じゃあ、早速するかの?」
と急かそうとしていた。俺は歌君のほうを見ると少し考えた後で覚悟を決めたような目をして、
「やります!どうすればいいですか?」
「いや君は何もしなくても楽にしてくれればいい。あとは私たちが自由にするからの」
といって俺たちは樹の下で横になる。
二人は精霊と妖精たちに吸っていいと合図を始めると二人に群がり俺たちの魔力を吸い始めました
俺は暇で、眠たかったので眠ることにしましたが、歌君をふと見ると緊張でがちがちに固まっていた。その間も精霊や妖精たちの楽しそうな笑い声が聞こえてきた。
しばらくして俺がふと目を覚ますと、精霊と妖精たちが満腹そうに顔を緩ませて幸せそうにしています。
ふと横に歌君を見ると、精霊獣となんと聖獣がそこにいて、歌君を囲んでくつろいでいました。俺が疑問を上げたような表情を上げいると、
「いつの間にかやってきておったわ、まあ別に害はなかったから無視してたんじゃ」
といっていたので俺は軽くゆすって歌君を起こす。
歌君はゆっくりと目を開けて寝ぼけていたが、体を起こして伸びをして周囲をきょろきょろとみて、聖獣に抱き着き出した。
「うわぁどうしたぁお前らぁ大きくなったなぁ」
と戯れだす歌君。その姿をほほえましく見ている精霊王たち。
しばらく待っていると、歌君が覚醒したようで、顔をリンゴのように真っ赤にさせてうつむいていた。こういう姿はよく見ていたから赤面する必要はないのにと思ったが口には出さなかった。
「じゃあそろそろお願いできる?」
「うむ!わかったぞおや?これはもしかして。ほうほう分かった。どうやら聖獣たちもお礼をしたいそうじゃな受け取ってくれい」
、セフィーの合図で妖精たちがむくりと起きだした。そのまま近くの低木の森がある方に飛んでいき、光るカラフルな粉を撒くと、森全体が光って、その場の森に実がなりました。
リンゴに桃にぶどう、イチジクにサクランボにイチゴなど様々なフルーツが生りましたもちろんクリやクルミもあります。
次にユグドは指笛を吹くと精霊たちが近くの草原に向かい魔法を唱え光の粉を土に混ぜ込むとあっという間に目の前に畝ができて、芽が出て生長し花が咲いたので、近くにいた普通の精霊よりさらに小さい微精霊が、花々に受粉をしました。そうすると、花が散り、野菜が生りました。トマトやナス菜の花に、ダイコンやニンジン、ゴボウ。キャベツやレタスなどがたくさんありました。
そしてその畑の跡地には聖獣たちが颯爽と降り立ち、カムプアが畑の中心で方向を上げて足を鳴らすと地面がもこもこと動き出してふかふかと柔らかい肥沃な土地になり、そこにキジムナーが走り回ることで芽が出てきてある程度大きくなり、そこにディアマトが水を散布して大地を湿らせて水田と畑を作り上げ
そしてアルカとケリュンの力を帯びたフリューの熱のおかげですくすくと育ち、あっという間に小麦畑と田ができた。それをフェンリルが風を起こして収穫し、サンダーバードの力を使い精米し、粉砕して小麦粉と白米。それに玄米が出来上がった。
俺らがポカンと見ていると不満を持ったのかフリューとアポピスが何かを相談するような感じでいた。そしてキジムナーを囲み相談をしていると、キジムナーがきゅいッと鳴き声をあげて、再び走り出しました。
キジムナーが走った後をよく見ると腰くらいの低木に細い樹々が生えてきました。そこを再びフェンリルが刈り取り、新芽と葉を分ける。葉の部分をアポビスに持っていくと、アポピスがブレスを吐き葉を包み込んでしまいました。
ブレスが散るとそこには青々としていた葉っぱが茶色く変色していて、いい香りがしました。なんと紅茶の茶葉を用意してくれたのです。
そして細い樹々からは赤い実が実ります。フェンリルが収穫して、実を剥き皮をむいてからバムルの前に差し出すとすぐさまブレスを吐き、焙煎してしまった。そしてフリューがすぐさま冷やして、あっという間にコーヒー豆が出来上がった。
どうせならお茶とかお米とかも異世界仕様にしてしまえと思いましてね。ちなみに百パーセント異世界仕様にして歌海君が本気でお菓子を作ると百メートルくらいから漂う匂いで並の人間なら気絶します。いつかこういう描写でも書こうと思います




