M5K0 アフロディア 24
部屋の中に静寂と俺たちの笑い声が響くという変な空気を破ったのは、衛兵の中の少し豪華な服を着た人だった。
「君たち、状況を教えてくれないか?」
という声が聞こえたので、俺はそちらを向くと、隊長さんらしき人がいた。
「俺たちは渡航ギルドで入港手続きしようとしてたんだけど、受付に難癖付けられてこっちに連れてこられて、乗ってきた船を押収されそうになったところ、反撃してこの状況。安心して、これは正当防衛だから。それにこいつらは生きてるから」
というと俺は魔導銃を未モードに変えて、威力を最小限に抑えて氷漬けのおっさんたちに向けて放つと、パリンとガラスが割れるような音がして氷漬けされていたおっさんたちが倒れ伏しました。
「ね?生きていたでしょう?」
というと、隊長は少し後ずさりした後兵士たちに命令して、手早くおっさんたちを拘束しました。
「君たち。事情を聞かせ欲しい。一度詰め所まで来てもらえるか?」
「行ってもいいですがさっきの受付も一緒でお願いします」
「安心してくれ。そいつには今詰め所で事情を聴いている最中だ。だけど君たちから聞いた話とずいぶん食い違っていたから、一度来て説明をしてほしい」
というのでおとなしくついて行くことにしました。
衛兵の詰め所は小さな砦みたいな見た目で会議室のような場所に通され、中には衛兵数人とあの時の受付、それにごついゴリラみたいなおっさんで、受付は衛兵に向かってキーキー喚いている。
俺たちが入ってきたのを見た受付は俺たちを指さして、
「あいつらだ!あいつらが急に暴れだして!それに盗みも!っそそうだあいつこそ大犯罪者だ!逮捕しろ!」
とヒートアップしましたので、俺は衛兵に許可を取りたくて、
「あのすみません。一旦この受付黙らせてもいいか?うるさくて集中できない」
と懐に手をかけながら言うと、ゴリラみたいなおっさんは腕を組んでちらっとこちらを見た後、
「おい兄ちゃん、めんどくせえからこいつ黙らせてくれ」
と許可も得ましたので、魔導銃ETOを取り出して巳モードに変えて雷属性の魔力を込めて受付の肩に向けて撃つと、受付はビクンッとはねた後痙攣して動かなくなりました。
「これでしばらく動かないから大丈夫。それじゃあ話をしようかな」
と俺たちは会議室の近くの席に着き、渡航ギルドで起こったことを一から丁寧に説明しました。
その話の節々でゴリラみたいなおっさんがうん?と何か引っかかると首をかしげながら話を聞いていた。すると
「待て待て!ってことは何か?お前らは何もしていなくて、こいつが勝手に言い出して、お前の船が見たことがなかったから、押収しようとしたってことか?」
と纏めましたので、俺たちは頷くと受付は目を見開き必死で弁明をしようと喚きますが、麻痺しているため動けません。
「兄ちゃんすまんがこいつの麻痺を解いてやってくれねえか?こいつからもう一回話を聞きたい」
というので俺は解いてやります。すると受付は
「嘘です!こいつが嘘をついてるんです!ギルドマスター!信じてください!」
と全力で自分の無実を訴えて俺たちに罪をかぶせようとまくしたてました。
ギルドマスターは腕組をしながら話を静かに聞いていますが、よく見ると腕や首筋、額に太い血管が浮き出ていました。
受付はそれに気づくことなく話し終わるとこちらを勝ち誇ったような眼で見てきました。
「おい。それは本当か?」
とギルマスが静かに聞くと、受付は顔を変えて笑顔でギルマスに向き直り
「本当ですぅ」
と言っていたので、俺は聞くに堪えないと考え、ある提案をしました。
「じゃあさ、俺の武器の一つに自白剤みたいな効果の魔法があるんだけど使っていいか?もしそれで同じことが言えたら俺たちはおとなしく捕縛されるし、お前らに俺の持っている船をやろう」
というとギルドマスターはこちらをじっと見つめて、顎でクイッと受付を指したので、俺は魔導銃ETOを丑モードにDWTを巳モードに変えて合わせると、注射器の持ち手が銃の武器に変化しました。側面には口を大きく開けた蛇が彫られています。
俺はその銃を受付に向かって撃ち込み、歌君はもう一つ、アイテムバッグから一本の木の枝を取り出して受付の鼻に向けて、
「『鼻伸び嘘吐き』」
というと受付の鼻に木の枝のマークが浮き出てきました。
「さ、これであんたは嘘を付けないし、嘘をつくとすぐわかるよ。さ、さっきのことをもう一回言ってみて」
というと信じられるかとばかりにギルドマスターに向かってさっきの言葉を言おうとしたらしかったが、急に口をつぐみ、さっきと同じトーンで真逆のことを喚き、何かおかしいと気づきすぐに口を両手でふさぎましたが、時すでに遅く、全部言ってしまった。
「ほう、すると何か?お前は自分の功績を上げるためにわさとなんの罪もないこいつらを捕まえようとして?さらに船までか、欲をかいたな。お前はもうここに置いてやることはできない。衛兵さん。こいつらを牢につないでおいてもらえるか?」
と衛兵に言うと衛兵の行動は早かった。素早く受け杖を拘束してや部屋の外に連行していく。受付はずっと自分は無実だと心の底から叫んで、廊下に出ても受付の叫び声が非武器消えていくのを聞き、俺たちはギルドマスターに向き直ると、
「この度はうちの受付が本当にすまなかった。それと、襲ってきたやつらを生かしておいてくれたことに対して礼を言う」
と頭を下げてきました。
ギルドマスターの丁寧ぶりを聞いて俺たちは恐縮しながら頭を上げさせると、
「わかった。それで、一つ聞かせてほしい。君たちが乗ってきた船はどこで買ったものだ?差し支えなければ教えていただきたい」
「ん?あれは友達に作ってもらったものだ。先に言っておくけど構造教えろとか紹介しろとかなら断るぞ」
というと素直にあきらめて肩を落としました。
俺たちはようやく解放されて街を見て回ることができました。外はもう夕方でしたので、大急ぎで宿を探しました。衛兵からおすすめの宿を聞いていましたので走ってそこに向かうことにしました。
宿について、二人部屋がぎりぎり開いていましたので、滑り込み、部屋の中を見ると、石造りの武骨な必要最小限な部屋です。
晩御飯は魚を焼いたものと、パンにしなびた野菜のサラダと、前の大陸でのご飯では見たことがないものでした。
翌日、俺たちはようやくゆっくり街を見ることができました。町の印象は、イタリアの港町とでもいえばいいのか青くて丸い屋根に白い壁ときれいな街ですが、どことなく活気がなく、街を歩く人たちも顔に影が見えます。
店は屋台などは一切なく八百屋や肉屋などに並んでいる野菜は少なく質も悪い、肉も少ない。逆に大きい店はやたらときらびやかな店です。
俺たちは冒険者ギルドを探しましたが、ようやく見つけたのはボロボロの役場でした。看板は擦れて見えなかったですが辛うじて冒険者ギルドと読めます。
中の状況は掲示板や机、受付カウンターに床や壁などすべてがボロボロで、かなりひどいです。
俺たちは掲示板を見てみるとあまりいい依頼はありません。町のごみ拾いや、草むしり、大工の手伝いなどの手伝い系の依頼しかありません。
暇そうにしている受付のほうに向かい話を聞くと、どうやらこの町の領主が冒険者ギルドに払うはずの補助金をケチったらしくどんどん依頼が減っていき、今じゃ経営は火の車だけど、国の取り決めで一つの街には必ず冒険者ギルドを設置するという法律があるためつぶすわけにもいかないと言うことらしい。
それを聞いて俺は歌君をちらっと見ると、歌君はわなわなさせていて、今にも怒りそうになっていました。
「歌君落ち着いて、こんなこと長続きしないから」
といいなだめました。というか俺の目的はこの人たちを無事に元の世界に返すことであって、救世主になることじゃないから、こういう面倒ごとは御免です。ですが、もし魔物の暴走が起きて、この町に魔物が来るような気配があったとしても、それを無視するくらいしかないかな?
と考えながら、俺は受付にこっそり耳打ちをしました。
「たぶん一週間後にこの町に魔物の大群が押し寄せると思うよ」
とだけ言って町や周辺の情報を調べて、地図をもらいギルドを出る。
昨日はすみません。疲れていて意識がもうろうとして投稿できませんでした。もしかしたら、たびたびこういうことがあるかもしれません。




