実力行使を仕掛けてくるようです
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「ん?」
家で大量の矢を生産している最中、妙な気配を察知した。
気配を察知と言うか、夜の闇に紛れて複数のなにかが蠢いている。
「エレ・・・商業ギルドに走って」
紙に「壁の外。不審な影あり」と書いて手渡す。
「氷華。門兵に」
氷華にも同じモノを渡して門兵の詰め所に走らせる。
「さて・・・」
大量に生産した矢を収納にしまい、外に出る。
夜の訪問者はゴブリンかな?
「通報ありがとう」
やがて武装した門兵が数人現れる。速いな・・・
「スタンピードの余波に備えてるからな」
そう説明してくれる。なるほど。二つ足は壁の有用性を理解しているのね・・・
「可能性としては?」
「オークが壁を超えて侵入かな?」
門兵が首を捻りながら予想を立てる。
「どの時点で動きます?」
「影が壁を超える直前かね?」
まぁそれが苦労の対価としたら応えるだろね。
登ってきたらの話だけど・・・
「本当に登ってきたよ・・・」
影らしきものが壁を登っているのが見える。
背の高さからゴブリンではないのは確かだ。
「ライトをかまします。必要に応じて威嚇を」
門兵に耳打ちする。ラノトといっても火魔法だ。
熱ではなく光にエネルギーを注ぐ。
「ライト!」
詠唱ではなく、周囲に告知するための言葉。
「人?」
壁によじ登っていたのはモンスターではなかった。
「不審者だ!」
その叫び声で充分だった。
「放て!」
不審者に対し門兵たちが弓で矢を放つ。
「ライト!ライト!」
ところかまわずライトを乱射する。すると浮かぶのは髭面男と黒い照る照る坊主。
「逃がすな!」
街への不法侵入はどう言い繕っても重罪だ。
「出来れば一人は生かせ!」
出来れば・・・ねぇ。
「ストーンブリッツ!」
砂の塊を髭面男たちに容赦なく撃ち込む。照る照る坊主は多分女性なので狙わない。
が、門兵たちはどうかな?
「よし。何人かは壁の外に回れ息のある者を捕らえよ!」
門外にいた者がすべて地に伏せた状態になったので命令が下る。
「息のある者を確保するのでは?」
門兵に聞いてみる。
「生き残ってたらでいいだろ」
「じゃあ、ふたりほど助けますね」
私は空中浮遊で湿地帯にふよふよと降りる。
虫の息の髭面男を縄で縛りヒールポーションを垂らす。
「うっ・・・」
これで死にはしないでしょう。
次に黒い照る照る坊主。覆面を剥がすとやはり女性だった。
彼女も縄で縛ってヒールポーションを飲ませる。
さて、残りは・・・まぁいいから。運が良ければ命長らえるだろう。
「お?なんでここに?」
しばらくすると数人の門兵が現れる。
「生き証人が要ると思って壁を飛び降りた。縄で縛ってるのはヒールポーションを与えたから死なないと思う」
「協力感謝する」
「あと壁の内側・・・街にも仲間がいる。でも、そっちは見張りが付いていると思う」
一瞬顔が青くなったが、見張りがいると聞いて元に戻る。
「まぁそういうことでこの証人は重要です」
この街に潜む不穏分子あぶり出すのにね。
「この二人を丁重に詰め所に案内して差し上げろ」
隊長らしき人が青筋立てながら命令する。
「多分、犯罪隠蔽事件の真相も知っているので、その辺も捜査した方がいいですよ?」
ついでに吹き込んでおく。
「それはそれは・・・いや捜査協力に感謝するよ」
隊長さんニコニコだ・・・まぁ大手柄だもんね。
「そう言えば名前を聞いていなかったな」
「ヒローネといいます。小売りとしがない食事処をやってます」
「そうか。なら報奨金は商業ギルドを通すことにしよう。それでいいな?」
「え?報奨金・・・ですか?」
なんか間抜けな声が出た。
「街を救ったんだ。期待するがいい」
隊長さんが実にいい笑顔になる。
「あぁ、もしかすると侯爵さまから勲章が貰えるかもな!」
マッカランさまから?勲章?冗談ですよね?先のスタンピードで色々あってお偉いさんとの面識を深めるのはちょっとですね・・・




