街を探索するぞ!
「ひとつ聞きたいことがあるんだけど・・・」
「うん?なんだ」
「街外れに家を建てていい?宿を借りると高くなるでしょ?」
「一年に金貨1枚の人頭税が払えるなら構わんぞ?でも、その体で家を建てると言われてもな」
マルクは私の身体を見て不思議そうな顔をする。
「私、収納スキル持ってます。で、家が入ってます」
私が何もない空間から森を歩いているときに見つけた、リンゴを取り出してみせる。それをみた、マルクが髭をなでる。
「収納は、商人からの指名依頼がくるスキル。しかも話を聞く限り容量もかなりある。多分、数回も仕事をこなせば税金を納める力もある。その情報は冒険者ギルドでも把握しておきたい」
個人情報・・・と言いたいけど、冒険者ギルドって人材斡旋も仕事の内だと思えば仕方ないか・・・
「仕事を斡旋するために情報として共有するのは構わないけど・・・積極的に話を広げるつもりはないよ?」
荷物輸送はリストの共有で雇い主との間に信頼関係が結べるけど、ポーターだとドロップ品の数とかの問題が発生して色々と厄介だから。
「頭の隅に留めておこう」
お願いします。
取りあえず冒険者ギルドでの要件は終えたので、街の北の外れに向かう。
よほど事がない限り街の北側は人口密度が低い。
場合によってはスラム街が形成される。日が当たらないというのはどこも人気がないものだ。
「城壁ないけど、そこそこ高い柵はあるな・・・」
2m近い丸太で組まれた柵を見上げる。
ゴブリンや狼などの小型のモンスターならこれで十分だろう。
「開け。マイハウス」
収納スキルから家を出す。構造は2階建てで5LDK。1階は部屋が1つで棚とか揃えれば簡単な店になる。
2階は4つの個室とリビングダイニングキッチンだ。
「取りあえず家の備品を1階で売るか?いや、塩は専売の可能性もあるな」
その辺はお約束だよね。都市には大事な税収だもの・・・
となると売るモノに関しては情報を仕入れる必要があるな。
取りあえず街の中心部にある商店に行く。
「おや?お遣いかい?」
店員らしき青年が声をかけてくる。
「この店は買取もしてくれるの?」
店先の店員らしき青年に聞く。
「塩以外なら買うよ」
「塩以外?」
「塩は専売免許の店でしか取り扱えないんだ。だから仕入れない」
なるほど・・・
「そこなら塩を買取してくれるの?」
「店も塩が取れる地元からしか買えないよ」
青年は苦笑いする。
「ありがとう。そうだ。油はある?」
「菜種油が一壺で銀貨5枚だよ」
そう言って店の奥に引っこみ、1リットルくらいの壺を持ってくる。
「壺が銀貨1枚。油が銀貨4枚。次に壺を持参してくれると油代だけで済むよ」
そういうシステムか・・・
「はい。これ」
大銀貨1枚を渡してお釣りと壺を受け取る。
次の店に顔を出す。どうやら酒屋らしい。
「お嬢ちゃんお遣いかい?」
店の奥から恰幅のいいマダムが出てくる。
「お酢はありますか?」
「あるよ。穀物酢と果実酢があるけど?」
「穀物酢?」
「麦をエールにエールを酢にするのさ。ちなみに果実酢はブドウね。だから果実酢の方が少し高いよ」
へぇ・・・
「穀物酢をください」
「あいよ。銀貨7枚。壺が銀貨1枚で酢が銀貨6枚。壺を用意してくれれば銀貨6杖でいいよ」
マダムは先ほどと同じような壺をでんと店の奥から出してくる。
「壺単位制?」
「はっはっ。壺単位制ね。確かに植物以外は量を共通にして壺売りが主流さ」
売る時は1リットルが単位ね。
「壺に細工したりとかしないの?」
「一度だけならそれも可能さ。でも二度は出来ない。商人は信頼が第一さ」
マダムはからからと笑う。まぁ、量をごまかして販売すればたちまち噂に上って店としてやっていけないか・・・
「何か足りないものってある?」
「砂糖と蜂蜜。まぁ、とにかく甘いモノが欲しいね。この辺じゃ貴重品さ」
地域的にテンサイを作るには南過ぎてサトウキビを作るには北過ぎるってところか。




