地方都市マッカラン
翌朝、三人はマッカランを目指した。ルリカとアルはマッカランを根城にしている冒険者で、依頼をこなして帰る途中だという。典型的な異世界テンプレ。
「マッカランは大きな街なの?」
私は聞いた。
「3~400人が住む街だな。大きくはないな」
アルは顎をさすりながら答える。
「冒険者ギルドはあるよね」
「まずは冒険者ギルドが出来るってほうが正しいけどね」
ルリカが答える。どうやら開拓団は、まず集会所兼冒険者ギルド支部を村の中央に作り、そこから開発するらしい。
「ヒローネはマッカランは初めて?」
ルリカは尋ねる。
「はい。今まで山の奥地に住んでいましたので」
まぁ山の奥地に出現したのは本当なので素直に答える。
「じゃあ、お金とか持ってなかったりするんじゃ?」
「お金、ですか?」
確かにお金はない。
「初めて街に入る際には、お金が銀貨1枚必要なのよね・・・」
ルリカは考え込む。
「あの・・・これは銀貨の代わりになりませんか?」
私は神さまから換金し易いという理由で貰った魔石を腰のウエストポーチから取り出す。
透明で真っ赤な石です。
「お、火属性の魔石じゃん。これなら入場料払ってギルドにも入れるじゃん」
ルリカは差し出されたモノを見て太鼓判を押す。
冒険者ギルドは誰でも入れるが、信用を第一にしているのである程度の信用が必要らしい。
信用。それは受け負った依頼が失敗したときに支払う違約金があるかどうか?というモノらしい。
基本的には依頼金の半額が違約金になるらしい。
もっとも薬草の採集で違約金が発生することはないらしいが・・・
それから、たわいのない話をしながらマッカランに着くのであった。
「ここがマッカランよ」
石で出来た立派な壁と木の門が出迎える。
「石で出来た壁ですか」
「まぁ、ここ南門だけだけどね」
東と西は石と木で北は木の柵だそうな。
南側は街道沿いだから防御力を高めに北側は湿地帯だから手が回っていないという事らしい。東と西は壁は建設途中だから混在。
火属性の魔石は10個あって門の側にある冒険者ギルドの出張買取所で大銀貨1枚と銀貨3枚の値段になった。すげー。
ちなみ通貨は銅貨・大銅貨・銀貨・大銀貨・金貨・大金貨・白金貨があって銅貨100枚か大銅貨2枚で銀貨1枚。銀貨100枚か大銀貨2枚で金貨1枚。金貨100枚か大金貨2枚で白金貨1枚と単位が代わるそうだ。
で、パン1個が銅貨2枚でだいたい200円。冒険者ギルド直営の宿が夕食込み一泊で銀貨1枚で2000円といったところ。
早速入場料を払いその足で冒険者ギルドに向かう。
「ギルドに入会するのに年齢は関係ない。銀貨5枚あれば良い」
アルが受け付けに言って入会用紙を貰う。
「一応、冒険者たちを支援する体制が出来ていて、薬草を10束。冒険者ギルドに納めれば取りあえずはその日は眠れて翌朝、朝食付きで暮らして行ける。まぁ部屋は男女別の雑魚寝だけどね」
ルリカは説明する。ちなみ最低限の食事とは黒パンが2個とお代わり自由なスープ。スープは朝早いと具沢山で遅いと具の少ないモノになる。
兎や鹿を持ち込むと豪華な食事にありつけるらしい。
「時間が合えば狩りに行きましょぅ」
ルリカとアルはそう言って冒険者ギルドをあとにする。私は冒険者ギルドの常設依頼のボードを見る。
一般人でも受けられるのは常設と呼ばれる仕事だ。
例えば薬草は1束から買い取りをしてくれて銅貨10枚。
10束で銀貨1枚になりギルド併設の宿の1泊食事付きになる。
同じ報酬帯にスライムゼリーがある。もっともスライムの方は魔石も出てくるで実入りはスライムのほうがいいらしい。まぁ反撃する分、難易度はスライムのほうが高いのだが。
「すいません。周辺の地図と図鑑はどこで見られますか?」
ギルドの受付に尋ねる。
「エルフか・・・黒髪黒目は珍しいな。あぁ、事前調査とは偉いな。ほれ」
髭面の・・・胸にマルクという名札がついてる中年オヤジが笑いながら一冊の冊子を渡す。
「初心者用のガイドブックだ。ま、図鑑が有用ってだけのもんだが」
私は渡された冊子をペラペラと捲る。そこには薬草(毒草を含む)や街周辺に出没するモンスターの特徴や弱点。簡単な罠とその解除方法。簡単な治療方法が書いてある。
そしてこの街周辺の地図が別紙のように挟んであった。
駆け出し冒険者のハウツー本に周辺地図を差し込んだものだ。
「これは欲した奴にしか渡さない。なぜだか判るか?」
「必要な情報を事前に取りにいくのも冒険者には必須ですから」
「そういうことだ。出来てないと先輩冒険者にどやされるまでがセットだがな」
マルクは笑う。ギルドがあれこれお節介をするより失敗して学ぶ方が身につくということだろうか。




