マッカラン攻防戦その3
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森のスタンピードはしばしの落ち着きを取り戻した。森からモンスターが出なくなったのだ。
もっともそれで警戒状態が解除されるか?というとそうではない。
ジャイアントマッドボアという本命が残っている。私の報告を信用するならね。
「ヒローネ嬢。ジャイアントマッドボアの情報を共有したい」
マッカランさまが近寄って来る。
「体高3メートル体長6メートル。牙は鼻の横に2本。体当りをして来るかは不明ですが、まず間違いなく体当りしてくるでしょう」
「根拠は?」
「牙があることです。そもそも必要なければ生えてません」
「そうだな・・・」
マッカランさまは考えこむ。
「問題は、ジャイアントマッドボアに壁に突撃されたらひとたまりもないことです」
取りあえず指摘しておく。
「良い案はないか?」
「土魔法で空掘りを、森の前にでも造りますか?」
「空掘り?」
「極端な話。ジャイアントマッドボアの突撃を防げるなら穴ぼこでもいいんですよ」
最悪は壁を破られ街中で暴れられることだ。
「それで行こう。土魔法が使える者を召集して穴を掘るように。急げ」
「私も穴掘りを手伝いますよ」
そそくさとマッカランさまの側から離れる。
これ以上目立つのもなんなんだからね。
魔法使いたちに混ざって門の前に集まる。
「「「ピットホール」」」
穴掘りの呪文は土魔法では初期呪文のひとつなので地面上にポコポコと穴が開く。
ボコ
私の開ける穴は一回り大きい。
「穴、大きいですね」
「庭いじりが趣味で、畑とかやってますから」
私は笑って答える。まぁ、それ以外にガラスとか陶器とかを土魔法で作っているのでレベルが上がってるんだけどもね。
「何かコツでも?」
隣に並んだ冒険者らしい魔法使いが聞いて来る。
「魔法は理屈ですよ。岩が砕けて石になり石が砕けて砂に、逆に砂が固まって岩になる・・・そのことを知っていたら、漠然と岩をイメージするより簡単に土は魔法になじんでくれます。まぁ、適性も大事ですが・・・」
砂を圧縮する。ただ漠然と砂を集めると認識するより遥かに使用魔力が少なくなり、規模も大きくなります。
「お?本当だ」
魔法使いはその説明で理解したらしく土魔法を明確にイメージして穴ぼこを大きくしていた。
「魔法使いだから地頭はいいのよね・・・」
頭がいいからこそ、そこから先に進めていない。そんな感じがする。
「ま、いいか」
今は穴ぼこを開けることに全力を尽くそう。
「なんとか間に合った?」
非常に駆け足だが、門の前に堀もどきが出来た。
少なくともジャイアントマッドボアが突撃して門を壊すなんて事態にはならないはず。
「来た・・・」
ガサガサと草の倒れる音が響く。
ぬっ
ジャイアントマッドボアが姿を表す。
「でかい・・・」
誰かが呟く。
「穴は正解だな」
マッカランはジャイアントマッドボアがすぐには襲いかかって来ないことに安堵した。
「ふご~」
凄い鼻息と共にこちらにやってくるジャイアントマッドボア。
「総員・・・戦闘準備!」
マッカランさまの命令が下る。
まずは門の上部に設置されたバリスタ。第一波のときには活躍しなかった武器だ。まぁ、槍より大きな矢を放つから、ジャイアントマッドボアクラスでないと効率が悪いのだろう。
ザシュ
矢がジャイアントマッドボアに命中する。
「ふご?」
ジャイアントマッドボアが声を上げる。どうやら無事、敵と認定したらしい。
穴ぼこのお陰で突進は出来ないので、ゆっくりと近づいてくる。
ゆっくり近づいてくる分バリスタの矢がジャイアントマッドボアに命中する。
「ふご!」
道半ば、ジャイアントマッドボアが叫ぶ。
おや?土が集まっている?
ガシ!
ジャイアントマッドボアの身体が一回り大きくなり、バリスタの矢を弾いた。
「土鎧?え?ジャイアントマッドボアって魔法を使うのか?」
どよめきの声が上がる。魔物が魔法を使う。それは想像の埒外なのだろうか?ゴブリンだって適性あって賢い個体は魔法使うやろ?




