森へ行こう
閲覧・感想・ポイント評価・ブックマーク・誤字報告・いいねありがとうございます。
検査は意外とすんなり進んだ。季節労働者も犯罪歴もなければ隠蔽の腕輪もない。単なる取り越し苦労?
いや、荒事をするヤツが次の行動に移ってこの地を離れたと考えられないか?
森の奥にジャイアントマッドボアを探しに行った可能性がある。
「マッカランさまにご注進だね」
街人全員を巻き込んでの検査は一騒動あった。隠蔽の腕輪こそなかったが、強盗の罪状持ちの男がいたのだ。
「アララーの神は偉大なり!」
男はそう叫ぶと懐からククリナイフを取り出し自分の喉をかっ斬った。
ブシュー
鮮血が宙を舞う。大騒ぎ。
なにより犯罪歴が突破されて街に犯罪者が潜伏していたのが改めて確認されたのだ。
「狂信者ですね」
「狂信者?」
事件を聞き駆けつけマッカランさまが首を捻る。
「アララーの神がどの地域に根ざした宗教かは知りませが、正体がバレた途端自害する。普通じゃあありません」
「アララーの神・・・北では聞かない神だな」
「東も聞いたことがないですな」
「西はアメーン教会ですね」
ということは南の地方宗教か・・・
「南って生活するの過酷なんです?」
「ん?あぁ南は砂漠地帯だ」
察した。
「私のいた地方でも似た宗教がありましたね。自分たちの行為を正当化するために自分たちの都合のいい宗教をでっち上げてこれは神の意志だ!って暴れる輩が・・・」
私の言葉にマッカランさまを含めその場にいた全員が呆気に取られる。
「狂信者とはよく言ったものだな・・・」
マッカランさまが唸る。
ま、信仰は自由であるべきだ。他人に強制されるものではない・・・が、アララー教は広がって欲しくないな。
「教義が解らないが、混乱に乗じてこの街を乗っ取る輩が信仰する宗教を遇することもないな」
ごもっとも・・・
「問題は、隠蔽の腕輪と犯罪者の数が一致しないことです」
私の指摘にマッカランさまは顔色を変える。
つまり、隠蔽の腕輪は数揃える必要がないということに気がついたのだ。
「危ない所だったな」
寸前の所で阻止したことになるからね。
「ヒローネ嬢への報奨金を上げねばならないな」
それはちょっと嬉しい。
「ひとつ懸念があります」
「どんな?」
「敵・・・と仮称しますが、敵は森のジャイアントマッドボアを捕捉するために森に入っているんじゃないですか?」
ジャイアントマッドボアがどれだけ森の深くにいるかどうか?というのは解らないからね。
「腕利きを森の奥地に派遣して探る必要があるな・・・」
ジャイアントマッドボアを見つけると言うよりジャイアントマッドボアを探しているアララー教徒を発見し始末した方が楽ではある。
「自分も森に入ります」
取りあえず提案。
「F級だろ?」
「偵察するだけですよ。戦うことが目的ではありません。それに、エルフにとって森は主戦場ですよ?」
エルフにとって主戦場。それでマッカランさまは納得したようだ。
成果にも若干色をつけてくれることを請け負ってくれた。
「では行ってきます」
そういって商業ギルドを出る。
一旦家に帰り、食糧を詰め込み街に出てテントと陶器詰め?を買う。
陶器詰めは簡単な煮込み料理を陶器に入れて、蝋で封をしたもの。一週間は保つらしい。
あとはボアの干し肉と堅いパン。魔力でお湯を沸かす鍋とかあったので買い込む。意外にアウトドアグッズが充実している。森がすぐそばにあるからかな?
「さて、と」
門兵と挨拶して、森に入る。無論、氷崋も一緒だ。
万一を考え、道中で遭遇する兎や雉は狩っておく。収納便利。超便利。
てくてくと、通称F級エリアもE級エリアも踏破する。D級エリアС級エリアも慎重に踏破。
石矢便利。ちょ・・・天丼はいいか。
空中浮遊で氷崋と共に木の上に登る。今宵はここまで。
しかし、氷崋。大きくなったね・・・もう成狼ぐらいに成長したよ。




