マッカランさま登場
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「鑑定ですか?持ってますけど?」
商業ギルドに立ち寄った際に受付嬢に聞かれたので答える。まぁ、隠蔽の腕輪なんてものを提出したんだから知られても当然だ。
「性能は?」
「名前と性能。価値はわかりませんね」
価値が解れば転売で大儲けだ。
「それだけ解るだけでも職員に欲しいわ・・・いや、どうも隠蔽の腕輪というものが出回ってる可能性があるのよ」
当事者だから知ってる。恐らく商業ギルドも私が関係者だと知っている。
「犯罪歴は罪を償えば消えるけど、残ってるということは罪を償ってないってこと。つまり犯罪者。それが平気な顔をして街を徘徊してるかもしれない訳でしょ?」
それは安心出来ないね。
「そこで鑑定持ちの出番ってわけ」
犯罪者識別水晶と鑑定持ちが組んで住民を鑑定するんだって。
「極端な話。全裸にして水晶じゃダメなんですか?」
「そんな人権無視が出来る訳ないでしょ」
下着だってダメでしょ?
「まぁ、下着なら下手な装飾品も見破れるでしょ?鑑定持ちは、持ち物を鑑定して隠蔽の道具がないかを調べるお仕事」
簡単そうではある。
「いつするのですか?」
「明日」
はや!
「人数は?」
「289人。子供は対象にしないけど私たちは対象です」
本格的だ。
「依頼ってことはお金出るの?」
「はい。領主さまからの依頼で金貨一枚です」
おぉ太っ腹。
「実は領主さま。今回のことに危機感を持っているらしく、まずはお貴族さま。次に軍人さん。それからギルド職員を調査します」
貴族が特権を振りかざさないだと?
「貴族さまが率先して検査を受けたら下の人間も検査を受けるでしょ?」
この街の支配者は判っているな。これをやられると下の人間は検査をしないという選択が取れない。
「貴族さまより先に鑑定持ちが検査しないと」
そう指摘すると、はっとした顔をして受付嬢が笑う。
「そうですね。すっかり抜け落ちてました。確認しておきます」
取り敢えず依頼を受けることにして、話は終わった。
次の日。
商業ギルドに朝一で出かける。
「ヒローネさん。こっちです」
受付嬢に呼ばれてその場に行く。すると、その後ろにちょび髭のくすんだ金髪の壮年男性が立っていた。うん。服からして高そうな逸品である。
「君がヒローネ嬢かね?」
「はい。閣下」
スカートを持ち上げて礼をする。自分が知っている淑女の礼だ。
「冒険者と聞いたが・・・」
男性はふうんと頷く。
「失礼。私はロシアン・ドラ・マッカラン。この街を預かる者だ」
うお~やっぱりお貴族さまだ。
「此度の事件の発見者だと聞いている」
「あぁ、はい」
「隠蔽の腕輪・・・実に厄介だ」
まぁ、犯罪者が識別出来ないというのは厄介だ。
「どうやら犯罪歴を隠すというのは、破壊工作員の身分詐称が目的らしい」
ふうん。って大変なことでは?
「隠蔽の腕輪の実物があるのは大きい。これのお陰で対策が出来る。お手柄だ報奨金は出す」
そういうことらしい。
「これを感知する魔導具を作成中だが、数が欲しい」
今回の調査は隠蔽の腕輪の数を確保すること・・・らしい。
「マッカランが狙われていると?」
「その可能性は高い」
意外に深刻らしい。
「目的は?」
「マッカランでの破壊工作は確定だろ。破壊したあと、だな」
「貴族さまを追い出し自分たちの勢力下に収める・・・でしょうか?」
「ありうる・・・話なのか?」
「混乱を起こし責任を貴族さまに転嫁。自分たちが収めたので今後も引き続き統治するって筋書きが考えられます」
混乱の種類は・・・なんだ?
「スタンピード?」
ふと、脳裏にそんな言葉が浮かぶ。
「スタンピード?」
マッカランさまが首を傾げる。
「近くに森があるじゃないですか?」
「あるな?」
「城壁が崩れてそこに森から溢れたモンスターをぶつける・・・」
「森からモンスターが溢れる?ゴブリンやオークがいくら溢れても・・・」
そこでマッカランさまは考え始めた。




