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SOUL BREAKER (ソウルブレイカー) 〜転移した漫画家の最強異世界冒険譚〜  作者: 百屋敷レイ


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第68話 カイエン、アハとの試合を決める

確かにこの若者は肖像画のアハ・イシュケーンに瓜二つだ。

だが少し若い。

肖像画でよく見るアハ・イシュケーンは30代前半で美形ではあったが戦士らしい無骨なイメージが強かったが、この男は女性と見間違える程の美男子だ。

確かに、あのアハ・イシュケーンを若くしたら、この様な感じではあるが、その容姿の為一見すると優男に見える程、身体の線も細い。

この見た目では強者だと思う人間の方が少ないだろう。

だが俺達のパーティメンバーの誰一人警戒を解いていない、いや、解けるはずが無い。

この男から感じる魔力は桁違いだ。

恐らくこれでも抑えている様に思える。

本気になったら、どの位強いのか見当がつかない。

魔法使い級の魔力量だ。

しかも王宮最強と言われるマーリンに今の時点で匹敵する。

いや超えている。

剣士も魔法使いと同じく己の魔力を剣技に乗せて技を使う。

それは魔法使いと同じに、その者の魔力が高ければ高い程、強者だと言う事だ。

この男の魔力量は今まで会ったどの誰よりも多い。

しかも桁違いにだ。


「あ、ありえん、こ…この魔力量は本当に人なのか!?」


オーガのエニグマでさえ驚愕している。


「久しいな叔父貴!そう身構えるなアハ様は味方だ!道中、俺に稽古をつけていただいたよ信じられるお方よ。安心して良いぞ!」


すると、すぐ横に居たカイル王子が俺達の対応に笑顔を見せて


「まあ無理も無いアハ様は抑えていて、この魔力だ。警戒するのもうなずけるよ叔父貴!」


カイルが、そう言って俺達にアハ・イシュケーンと言われる若者を紹介した」


「インフィニティの探索で剣の守護者としてネクロマンサーに、その魂を操られておったアハ様だ!炎壊のパーティのお陰で正気を取り戻され、こうして今では人間に戻られたんだ!間違い無いよ叔父貴、王家の秘匿事項まで知ってたし、アハ・イシュケーン様本人だ安心してくれ!」


そう言うと笑顔でカイルは俺の肩を叩いた


「く、詳しく聞かせてくれカイル一体何があったのか…」

「まぁ、それもそうだがよ叔父貴アハ様と試合してみないか?そうすれば叔父貴もアハ様だって、きっと納得するだろ?」


そう言ってカイルは子供じみた顔でニヤニヤしながら俺に言った。

こいつ楽しんでおるな?

俺と、こ奴の試合が見たくてワクワクしておる様だ。

フフ、いつも俺と会えば俺に試合を、いの一番に頼んで来るカイルが他人と戦う俺が見たいなど初めての事だ。

きっと俺が来た時点で企んでいたと見えるな。


「フフ、それもそうだ。本物か偽物かなど剣士は剣を交えれば全て分かる物よな。ぜひお願いしたい。どうかな?アハ…殿は?」

「うむ子孫に、お主の様な強者がおって俺は嬉しいよ。ぜひその強さを味あわせて、もらおうか」

「おお!真か!カイエン!?これは凄い!伝説のアハ・イシュケーン様と現代最強の剣士で英雄の兄者が試合をすると言うか!?良し!すぐ王城の闘技部屋へ移動するぞ!こんな見物、二度と無いやも知れぬしな!!」


弟は王と言う立場も忘れて俺とアハらしい若者との試合に興味津々と言った所だ。

弟も王になっているとは言え、かなりの剣の腕前ではある。

剣を持つ者にとって強者同士の戦いは何よりも優先して見たい物だ。

俺だってそうだ。

だが戦うのは俺だ。

仮にも国王が、ちとはしゃぎすぎだろ…


「イグルス…お前、立場を忘れて楽しんで無いか?」

「フフ、分かっておるよ兄者。だがなこれ程の好カードに胸が、ときめかぬ剣士がおるかよ?善戦を祈るぞ!兄者よ!」

「いや、お前は国王だろ?全く子供みたいな表情しおって…フフ、お前と剣の修行をした頃を思い出したぞ?そんな顔わな…全く分かったよ、この若者が本当に、あのアハ・イシュケーンか、このカイエン全力を持って確かめて見せるよ」

「良し!両人合意したな!では皆よパーティは一次中断だ!闘技場へ移動するぞ!!」


国王の、その一声で会場に居た100名程のギャラリーは移動を始めた。


「これは面白い事になって来ましたなカイエン様!」

「ゼルフィン…お前も子供みたいにワクワクした顔になっておるぞ?年を考えろよな…」

「これは失礼。しかし王の言う通り老いたとは言え我らの誰もまだカイエン様からは一本取れないのです。そのカイエン様から、あのアハと言われる若者が一本でも取れればまず間違い無く本物のアハ・イシュケーンでしょう。世界広しと言えどカイエン様と互角に戦える存在など今では守護者位ですしな。はっきりと彼の力が分かると言う物です」

「ああ俺も楽しみだ。アハかどうかは知らんが、あいつは間違い無く強者だ。それもとびきりのな。俺が奴の魔力を感じただけでまだ震えが止まってくれぬしな…」


そう言うとエニグマが小刻みに震えた手を見せた。


「な、情けないぞ!エニグマ!お主はオーガだろ!?人間に怯えるなど、あ、ありはせんだろぉ!!それでも戦士か、お前は!」

「フ、そう言った、セリュードも内心では勝てぬ事を悟ってるのでは無いか?声が少しうわずっておるぞ?」

「ち、違う!た…確かに人間では感じたことの無い魔力量だ。だが、カイエン様が負ける訳が無いだろう?大陸の五大英雄の、お一人と言われているこのカイエン様がだ!た、たとえ奴が本物だとしてもカイエン様が負ける物か!!」

「確かに、セリュードの言う事に同意はしますよ。たとえ、あの若者がアハ様だとしても、あの魔力量だとしても、それをうまく使えなければカイエン様から一本取るなど、それはかなりの難儀な事ですしね。何しろここのパーティメンバーは、英雄と謳われる5名ですが誰一人としてカイエン様から一本など、ここ20年誰も取れては、ないのですからな」


そうは言ってもゼルフィンも俺と彼の試合を楽しみにしてるのは明白だ。

こいつとは子供の頃からの付き合いなので冷静に装っていても動揺すると、こ奴は自分の右耳の耳たぶを無意識に、つまむ癖がある。

アハと言われる若者を、見てからずっと耳たぶをつまみ手を離そうとしてない。


「しかし、あの若者がアハ様だとしても国の英雄であらせられるカイエン様が負けてしまうと国として立場が無くなるんじゃけど?」

「フ、俺が負けるとマーリンは思っているのだな?フフフ、なめられた物だな。守護者以外で、しかも人間相手にはここ30年俺は一度も負けた事など無いぞ?そしてそれは一生続くと俺は思ってはいる。カイルには、その俺の奢りをいつか打ち崩して欲しいと思ってはいるんだがな…しかしカイルめアハと言われてる若者に付きっきりだな、フフ、甥っ子を取られた気分だな」

「いやいや、システィリア王女まであやつに付きっきりですぞ?見てみなさい、あの表情を!あんな優しい顔をした王女わし、ここ10年見た事無いんだけど!?くぅ〜やっぱり男は顔か!?顔なんかっ!?」

「いえ、マーリン師匠、男は魔力ですよ!私結婚するなら私より絶対魔力の高い御仁と結婚するって決めてるんですよ!」

「ええい!トゥーリィ!馬鹿弟子め!今はお主の結婚願望など、どうでも良いわい!…でも、その基準だとわし、候補に入ってない?」

「いえ、師匠はタイプじゃありませんから!」

「魔力高ければ良いって言ってたじゃん!?それ矛盾してない!?」


マーリンと、トゥーリィの、やり取りを見てパーティメンバーが和やかな雰囲気になった。

さすがはマーリンだ。

気を使わせてしまって申し訳無いが助かるとカイエンは感謝した。


「まぁ何にしても俺自身も実はワクワクしているんだ。こんな気持ちは久しぶりだ。本気で試合が出来そうな相手なんて成人してから一度も無かった気がするのでな。俺の全力を守護者以外の、しかも人間種に出せるのかも知れん。期待してしまうよ」

「カイエン様に及ばぬとしても奴と炎壊のパーティが遠征に加わってくれれば次こそはあの守護者共に一泡吹かせられるかも知れませんな!カイエン様!殺さぬ様に、お願いします!!」

「分かってるよセリュード。俺もそれを考えていた。まぁ試合で重傷を負ってもトゥーリィもエリスも、ここには居るのだ。大丈夫だろ」

「た、確かにトゥーリィの治癒には助けられましたし王宮には治癒士の魔法師団も控えて居ますしな。奴がボロボロになっても大丈夫ですね!実力を見せてやって下さいよ!カイエン様!!」

「ああ、そのつもりだ。手を抜く気は無い。奴の実力を確かめて見せるさ」


そう言って俺は自分を鼓舞しつつ闘技場へ向かった

次回は10月31日(土曜日)の更新です!(^^)

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