第61話 王子達の帰還
シグレ達と別れてから俺達は2日かけて王都に戻って来た。
「王子!王都が見えて来ましたぞ!!」
ケンプ隊長が嬉しそうに俺に報告した。
まあ任務の宝剣インフィニティも手に入れ全員無事に一人も欠ける事も無く帰還出来たのだ。
喜びもひとしおなのだろうな、それに…
「ではアハ様!この菓子などはいかがでしょう!こちらはとっておきの私の菓子でして、お気にめすかと!!」
「い、いやシスティリア王女よ、そんなに食べれないぞ?俺に気を使わなくて良い。俺は確かに、お前達の先祖の兄ではあるが身分からしたら只の冒険者なのだ気にかける事はないぞ?」
「な、何をおっしゃいます!伝説の戦士のあなたはアハ・イシュケーン様なんですよ!?私達の先祖ヨルグ様の兄君で、あらされ私達の直系であります!当然の対応ですよ!!」
「シス…アハ様が困っておるだろう?甘美は男は、あまり好かんのだ。程々にしておかないとな」
「こ、これは失礼しました!では何か他の食べ物を用意させますね!」
「い、いや、だから気を使わんでも…」
「誰か!他の食べ物を用意して!アハ様がご所望です!!」
「は、はい!すぐに!!」
王女の命令に同行していたメイド達が慌ただしく動いている。
「す、すみません妹がご迷惑を…」
「フ、まあ良いよ。子孫に歓迎されるのは悪い気がせんしな。それに王女は少し母に顔立ちが似ている。話すのも迷惑などないよ」
「母と言われますとエリザベス・デュラリオン様ですか?」
「ほう、ヨルグだけでなく、母の名まで子孫に伝わっておったか、では俺達の父の事も?」
「は、はい詳しくは知りませんが伝承ではアハ様とヨルグ様を立派に、お育てになられました父君は勇者と母君は魔術師と聞いておりますよ」
「フ、勇者か父が聞いたら喜ぶだろうな。父は強かったが冒険者としては、そこそこだったよ。なので俺達兄弟に素養があると喜んでな。何をするにも俺達兄弟を優先してくれた尊敬する父だったよ。母は一流の魔法使いでギルドでも指折りの使い手だったらしいな。父と結婚して俺達を産んでからは廃業して父のサポートをしていたがな。まあお前達王族から見たら俺達の両親は平凡な人間ではないかな?がっかりさせて悪いがな」
「いえ、けしてその様な事は!平凡だったとしても初代デュラリオン国王で賢王と呼ばれ人々の尊敬を集めたヨルグ様と、そして伝説の剣豪アハ様を産み育ててくれたのです!それにエリザベス様とフレディ様は我がデュラリオン王国の直系の先祖です!誇りでしかありませんよ!!」
「フ、父と母が生きていたら本当に喜んだだろうな。両親は人に褒められる程、有名では無かったのでな。なので俺達兄弟を勇者と呼ばれる様な冒険者にしたいと言うのが口ぐせだったのだ。本人が褒められるなら、さぞかし驚いて喜んだだろうな」
「私、お会い出来るなら、お会いしたかったですわ!」
システィリアが俺達も知らなかったアハ様のご両親の話が聞けて目を輝かしている。
本当にこいつは王族同士なら威張ったりせず普通の14才の女の子として接っしられるんだよな。
アハ様のご両親が俺達が思っていた程の方達では無かったと言うのにシスティリアは、そこに文句も言わない。
これが他の人間だったら、きっと気にせずボロクソに言ってしまうんだろうけど、こうやって人によっては気を使う事が出来るんだから、もう少し王族や身分の高い者以外にも、そのやさしさを出して欲しい物なんだけどなあ…
幼い頃から俺も親父達も、あまり構ってあげれなかったせいで、わがまま放題に育ってしまったんだよな。
ここ5年程、修道院に入ってたのもまずかった。
あそこは権力者にイエスマンでしか無い連中ばかりらしいから、そこに5年も居たせいで今のシスティリアが出来上がってしまった訳だ。
俺がシスティリアを見て呆れていると程なくして王都に着いた。
シグレ達と別れて2日かかったが、その間システィリアはアハ様のおかげで、おとなしいし俺は俺で稽古を付けていただいて充実した時間だった。
ケンプ隊長も誇らしげに門兵と話している。
まあ数百年来の国の悲願であったインフィニティが奪還されたのだ。
無理もない。
俺も親父の驚く顔が今から楽しみでもある。
そして伝説の俺達の先祖で英雄アハ・イシュケーン様を、お連れし出来たのだ。
きっと国を上げての大騒ぎになる。
最近はカイエン叔父貴達の遠征で国自体が暗い雰囲気だったのが、きっとこれで良くなるしな。
早く親父と会いたい所だ。
「今回の遠征は半年振りか…」
ここは、王都の中心、王城の一番大きな謁見部屋、そこに国王、イグルス・デュラリオン15世が王座に鎮座していた。
「はい、これ以上伸ばすと奴らが痺れを切らして我が国に恐らく侵攻してしまいますので半年が今までの経験から妥当な時間と思われます」
王のそばには20名程の人間が取り巻いており、その一人の秘書官らしき男が王の問いに答えた。
「今回は成功すると思うか?ケイン?」
王が、すぐ隣で佇む立派な衣装を着た若い男に、そう尋ねた。
「分かりかねますな私は武人では有りませんので。しかし今までの戦績からも、いくらカイエン様と5人の英雄達でも今回は難しいと分析出来ますね」
「だろうな、いくら兄上とてもはやとっくに現役を退いておかしくない年齢だ。いつまで奴らを止めて貰えるのか…次回の遠征には誰ぞ有望な者は、おらなんだか?」
「…残念ながらカイエン様に匹敵する様な英雄は、ここ10年来出て来てはおりません、しいて言うなら…やはりカイル王子が…」
「ならん」
秘書官が王子の名を出すのと被せる様に王は否定した。
それを聞いて、すぐ横に居る第一王子のケインは、ため息をつき
「しかし、もはや奴らが我が国に侵攻して来るのは避けられなくなって来ております。カイエン様でも、ここ数回の遠征は手痛い敗走を繰り返しております。奴らに強さを示せない事は奴らの宣言した[強者を、常に我らと戦わせろ、さもなくば世界を滅ぼすのが我らの、役目]と、500年前に奴らから受けた盟約もあります。私も弟の身は案じておりますが、もはや時間の猶予も無いかと…決断された方が良いかと思います」
と、ケイン第一王子は発言した。
「ケインよ お主は本当に弟の身を案じておるのか?この遠征は500年前から続く、いわば行事の様になってはいるが奴らは強力だ。かつて200年前に1年強者を送りとどまってしまった時、王国がたった一人の守護者に滅ぼされかけたのも知ってはおる。我の代になってからは兄上がおった。兄上は歴史上初めて守護者の一人を打倒し大陸に五大英雄と認められた英雄だ…そう兄上が居るだけで諸国は我が国には手が出せず、ここ数10年戦乱起きてはおらぬ程だ。しかし、よる年齢の波には兄上とて勝てなくなって来ているのも事実だ。今でも金級のバルババルにも試合で互角に戦われた程だ。だが奴らには及ばなくなって来ているのも事実。それは知っておる。だがカイルはまだ14才になったばかりの子供だぞ!?カイルが参加するのは身体が成長し大人になった20才位の時がベストであろう!みすみす今参加しては命を落としかねんだろう!カイルは天才だ、それは俺も認めるよ、だがあまりに幼すぎるのだ!普通ならば学園に通う年齢であろう!何度も言うがカイルの参加は年相応になってからだ!今は早計と言っておる!絶対に認めんぞ!!」
「…しかし次の遠征には恐らく今回のメンバー全員は参加出来ないと聞いております。奴らは強者を求めて居ます。なので参加した戦士を無下に殺さないとも…ご決断をせざるおえない時が来ていると思いますよ王よ」
「それは俺も聞いている。マーリンも魔術師の国際会議に呼ばれていて1年は帰って来れぬしエニグマとセリュードも他国の重要な依頼で半年は国を出ると報告は受けておる…だから金級に召集をかけておるのだ!彼らならきっと遠征にも耐えうる実力者であると分かっておる!とにかくカイルが参加するのは、その全ての選択肢が頓挫した時だけだ!今は早計だ認める訳にはいかんぞ!!無下に殺さないとケイン、お主わ言うたが過去では不甲斐ない戦いを繰り返した為に全滅させられたと記述にあるのも知っておるか!?自分の弟を殺したいのか!?」
王の必死の言葉を聞きケイン王子はまたため息をついた
次回は10月6日(火曜日)に更新です!(^^)




