第56話 カイエンギルドマスター
俺達とカイル王子達近衛騎士団は合流ポイントで待機していた馬車隊と合流してアマランの街に向かった。
カイル王子達は直接王都に、そのまま2日かけて向かうらしかったが俺達はギルドへの報告があったので後で王都に向かうとカイル王子に言って途中で俺達の馬車だけアマランに向かったのだった。
アマランに着くと馬車を運転してくれてた執事の人達が俺達が戻って来るまで待つとか言ったので、それはウリシュクが丁重に断った。
正直乗り心地悪いしそんな馬車で2日もかけて王都に行くのはごめんだったのだ。
俺達はエアバイクがあるし多分2日もかからないで王都に行けるので問題無いのだ。
と、言う訳で俺とウリシュク、ミリスの3人はアマランの冒険者ギルドに向かった。
その頃、アマランの街に帰投しようとする集団があった。
「今回も門にすら、たどり着けませんでしたな…」
そこは10台ある馬車の中でも一番高価な造りをした馬車に乗った初老だが隙のない所作の男がもう一人のやはり初老だが異様なオーラを放つ人物に話しかけていた。
「もう良い!今回の遠征では明らかに戦力が足らなかったのは明白だったろう!!いかに我らでも、あの守りは破れぬわ!!」
馬車は周りの物より一回り大き目で、そこには10人乗っても、まだ余裕がある程だ。
まず普通の馬車では無い。
普通は5人も乗ったら余裕が無くなる。
しかしそこには6人しか乗っておらず随分とスペースに余裕があった。
6人の内の一人女性の方の戦士が初老の男に文句を言った。
「そう言う貴殿だって門番に大したダメージも与えられて居なかったのではないかな?」
「何?私を愚弄するか?」
「フ、我は事実を述べただけだが?」
「そう言う貴様こそ門番にダメージを与えられていたとは思えんぞ?フン!流派水神一刀流が聞いて呆れるわ!!」
「何?我が流派を愚弄するか?」
「したらどうする?」
すると初老の男性と女性の戦士は魔力を上昇させ一触触発の雰囲気になる。
「よさぬか馬鹿共!我らが揉めても何の解決にもならぬ!!」
馬車の一番大きな椅子に、もたれ掛かって、その男は、そう怒鳴った。
「はは!おっしゃる通りです!!カイエン様!!」
「…はい悪かったですよ、つい…」
いがみ合っていた初老の男性と女戦士は素直に従った。
「お二人の気持ちも分からんでも無いがね…ただ、もう少しカイエン様の、お気持ちも考えて発言すべきかとのぉ一番悔しいのはカイエン様であろうて」
5人の中で一番の老人が2人に、そう言った。
老人は、どう見ても相当の年齢で80は超えて見える顔だが何故か身体はピンとしており若々しさを保っている様に見えた。
「フ、マーリンの言う通りだ。俺もすでに10回以上も挑戦しておるのにな…クク、五大英雄が聞いて呆れるわ…」
「カ、カイエン様は、あの門番を過去に一人倒されておりますよ!それは五大英雄の証です!!何ら恥じる事など微塵も、ありません!!」
5人の中で、一番若そうな20代位の女性の魔法使いっぽい格好をした女性がカイエンと言われた男を擁護した。
「だが、カイエン様でも、もはや門番の相手は出来ぬ。奴は心なしか年々力が上がっておる気がする…化物だ、あれは…」
最後の一人は、人ではない。
2mはある巨体で、肌の色も赤黒いオーガと言われる戦士がカイエンの直ぐ側の椅子に座ってそうつぶやいた。
「ああ…俺が全盛期であれば、もう少し良い勝負が出来たのだがな…フ、老いとは、どうしょうも無いな…いや、それでも今の奴に勝てたかどうか怪しい物だな…確かに化物だなあれは」
「そ、そんな事は!若かりしカイエン様でしたらきっと!!」
「世辞は良いよ。自分の実力と相手の力は正確に把握出来ているからな。奴め全力を出しておらんかった。手を抜かれて我らは全滅する所だった事が、はは…随分ショックでな、ずっとどうしたら良いか考えていた所だ。無口になって心配させてすまぬな皆よ」
「うーむ、それは難題ですな。この6人が今考えうるデュラリオン王国の最強メンバーですしな。それ以外ですと金級の3名ぐらいしかあてがありませんな」
「何?マーリン殿、金級とお知り合いなのか?かの3人が確かに、この戦いに参加してくれれば、あるいは門番を突破出来るかも知れませんな!」
初老の戦士と、揉めていた女戦士のセリュードが老魔術師にそう尋ねた。
「風斬りに、雷神、そして炎壊か…」
セリュードと揉めていた初老の男性ゼルフィンがつぶやいた。
「フ…師は、その様な事に参加などせぬ。あの方は俗世の事象には興味が無いのでな、それに師が現在どこにおられるかも俺は知らぬぞ?」
オーガの戦士エニグマが珍しく、はにかんだ表情を作ってそう断言した。
「うむ、雷神バルハバル殿は変わり者じゃからのう彼は金や名誉などでは動かんし、ここ10年行方不明じゃ。一番弟子のエニグマが連絡を取れぬのでは、あてには出来んな。おしいのぉ奴の雷槍ならば、うまくすれば、門番と互角に渡り合えそうなのにのぉ」
「フフ、マーリン殿に言われたくないと師ならば反論されておるだろうな。安泰の職王宮の、お抱え魔術マスターとしての地位にあらせられると言うのに、この様な危険な戦いに身を投じるなど変わり者としか思えませぬぞ?」
「なぁにカイエン様とは、お子の時からの付き合いでな。ほっとけんだけじゃ只の老婆心じゃよ。危なっかしっくて見てられんのでな」
「フ、マーリンには敵わぬな。俺はすでに初老の年齢だぞ?いつまでも子供扱いは、さすがに、笑ってしまうよ」
「何をおっしゃいます私の半分しか年を取っておらぬ。私から見ればカイエン様などまだまだ、お子と同じですぞ?」
カイエンは、それを聞いて苦笑いを浮かべた。
魔術師は延齢の魔法を使うと聞いている。
マーリンは見た目は、どう見ても老人だが肉体は30~40代のままたもってるらしい。
確かに一緒に戦った際も老人とは思えぬ連続して高位魔法を放っていた。
全盛期に近い戦い方だとカイエンは感じていた。
若さを保てる所は少しマーリンが羨ましく思ってはいた。
「マーリン殿から見れば誰しも赤子の様なものですよ、あなたを基準にされては、ここに居る全員が若手と言えてしまいますよ」
「それも、そうかの」
どっと、全員が笑い合いギスギスしていた場が少し和んでいた。
さすがマーリンだな、うまく場を和ませてくれる。
カイエンは、マーリンの気遣いに気づいて心の中で礼を述べていた。
「しかし雷神は連絡が取れぬなら風斬りと炎壊はどうなのです?カイエン様はギルドマスターでも、あらせられます。かの2名は参加可能でしょうか?」
ゼルフィンは少しの希望を込めてカイエンに尋ねた。
「そ、そうだ!金級が一人でも参加してくれれば、かなりの助けになる!どうなのですか!カイエン様!!」
セリュードも、希望を込めて、カイエンに尋ねる。
しかし、カイエンは首を振った。
「風斬りはエルフの王国に召集されて以来連絡が取れん。10年などエルフにとっては大した年数では無いのだろうがエルフの王国に問い合わせても、その内連絡するの一点張りだ。当分あてには出来んし王国に文句を言えば外交問題に、なりかねん。弟を困らせたくは、無いしな。奴を含めて今は、あてには出来んな」
それを聞いて、一同は明らかに、がっかりした表情を見せたが
「で、では、炎壊は、どうなんです!?奴も相当の魔法使いと聞きますぞ!私は会った事は、ありませんが、その噂は良く聞きます!奴の炎の魔法ならば、あるいは門番に効果があるのでは!?」
セリュードが一縷の希望をかけてカイエンに尋ねた。
「ほほう、確かに炎壊の魔法は、わしを超えておるしの奴の魔法が我らに加わってくれれば相当の戦力の底上げになるのぉ」
カイエンではなく、マーリンがそれに答えた。
「ああ、ウリシュク殿か冒険者にしては礼儀正しい好感の持てる人物でしたな。協調性が3人の金級の中では一番ありそうですし仲間になってくれれば、確かに心強いですな」
ゼルフィンが炎壊の合流に同意した。
「マ、マーリン殿にゼルフィンは、あの謎の多い炎壊と会った事があるのか!?た、確かエルフの女性と聞いてはいるが神出鬼没な奴で会合も嫌っており王の収集も事ごとく断っていると聞くぞ!?まさか、その本人に会っていたとは!!」
セリュードが驚嘆する。
「そ、そうですよ!魔法使いの中でも憧れの存在何ですよ!私も一度お会いしてみたかったんです!!」
今まで、このメンバーの中では一番若い、
トゥーリーが発言した。
気を使って黙っていたのだが憧れの存在の事を言われ我慢できず発言をしたのだった。
「うむ、金級の叙勲式の時にな。マーリン殿との手合わせも見た。あれは強い。他の2名に劣らず、さすがの腕であったよ」
ゼルフィンが、少し懐かしそうに語っていた。
「た、確か30年程前ですよね?」
セリュードと、トゥーリーは、自分達が生まれてもない昔の話に、興味津々だ。
次回は9月19日(土曜日)の更新です!(^^)




