第53話 エミリオとの和解
「フフフ、自分を負かして命まで助けられたのだシグレの仲間である我々に、もはや攻撃はすまい。いや出来ないであろうな。そんな事をすれば、きっと今度こそシグレアキラは容赦しないであろうしな。サイクロプスの時の様に仲間の為ならば躊躇しないであろう。それが奴にも理解出来ておるのであろうよ」
王子がケンプ隊長に、そう言って安心させた。
ケンプもサイクロプスを倒した時の恐ろしいシグレアキラを思い出し納得していた。
「ん?待てシグレと突如現れた、あのエルフがアハ様のご遺体の所で何かしているぞ?炎壊あのエルフも仲間で良いのだな?」
王子がウリシュクに尋ねた。
「はい、あの方は我々の仲間です。安心して…」
そう言いかけた時に、シルファの身体から、魔力の光が溢れアハの身体を包み込んだ。
「蘇生」
と、ボソッと言ったのを耳の良いウリシュクは聞き逃さなかった。
するとアンデッドの身体は光に包まれ消失する。
全員が魂を天に帰したのかと思い安堵したが次の光景を見て全員が驚愕する。
消失したアンデッドの身体が光に包まれた瞬間それはすぐに人の形を形成し、そして美しい青年の姿を造り出した。
「うん、成功。どう?問題無い?」
と、大した事無いよって感じでシルファがアハに尋ねる。
「う…うむ…こ、これは…もしや若かりし頃の俺の肉体か!?こ…この溢れる力は…全盛期の肉体!?あ、ああ問題など何も無いぞ!女神よ!!」
「は?シルファは女神なんかじゃねぇよハーフエルフだハーフエルフ!そりゃ美人だけど、それは褒め過ぎだろ!」
「フフフ、この人は見どころがある。うん。女神って言われるのも悪くない。それでも良い」
ご満悦のシルファだ。
「調子に乗んなっ!」
って俺は軽くシルファの頭をポコッと叩いて突っ込んだ。
「ひどい…女の子の頭を叩くなんて…DV!」
とか言って、シルファからもジト目攻撃をくらった。
て言うかDVなんてどこで覚えたんだ、そんな言葉…
「へぇー!凄いね蘇生魔法使える奴なんて久しぶりに会ったよ!何々このエルフ、ハイエルフ?珍しいね野良のハイエルフが地上に居るなんてさ!」
と、馴れ馴れしくエミリオが俺とシルファに話しかけて来た。
「ば、馬鹿な!ハイエルフが下賤な地上に居る訳が無い!ハイエルフは王国にしか今は存在しないのだ!!」
とか、エルフの青年マクドルが会話に入って来た。
「うるさい、次喋ったら消す、だまれ」
「ヒィィッ!!」
シルファ激怒だ。
うん一度シルファ怒らすと怖いね。
気をつけないとね。
「いや、シルファはハーフエルフだ!!間違えんなよエミなんとか!!」
「エミリオだってば!!覚えろっての!シグレアキラ!!」
「お、お前一体何者なのだ!?私の死霊使いの呪文を解呪し、な、尚かつ最高位の蘇生魔法を、い、いとも簡単に使用するなど、あ、あり得ぬ!!こ、答えい!!」
かなり離れた所から、遠隔魔法?でマクドルの声だけが届く。
「だから只のハーフエルフだっての!!しつこいぞ!!」
俺がそう答えても、マクドルは納得していない様だがシルファに睨まれて黙ってしまった。
「ふぇ〜凄いね!アハ・イシュケーン!完全に復活してんじゃん!!やるねぇお姉さん!こんな完璧な蘇生魔法、龍王様クラスじゃないと出来ないよ!うん決めたシグレにお姉さん家に来なよ!歓迎するからさ!」
「は?何言ってんの、お前?俺達は、このアハの剣を王宮に届けなきゃいけないんだよ!勝負に勝ったら剣は貰えるって事だったろ!約束は守って貰うぜエミリオ!」
「お、やっと僕の名前覚えてくれたね!嬉しいよ!これからよろしくねシグレアキラ!!」
「あ、ああ、まぁよろしくな。で、とりあえず俺達は依頼で、この剣を取りに来たんだよ、だから、お前の家には行けねぇ。後にしろよ、そんな話はよ」
「チェ!そんな事、言われたの初めてだよ君以外の奴が僕の話を断る何てしたら、すぐに肉片にしちゃうのにね!」
「怖い事言うなよな、お前は!」
「いや、本当の事なんだけどね」
「シグレアキラ!!」
するとカイル王子と、ケンプ隊長が俺達の元に走り寄って来た。
「あ、何勝手に僕らの会話に入って来てるの?死にたいの?」
そう言ってエミリオは少し邪悪な表情を浮かべた。
「ヒッ!?」
「くっ!!」
ケンプ隊長とカイル王子は警戒態勢を取る。
俺は呆れてポコッとエミリオの頭を軽く叩く。
「あいたっ!」
エミリオが驚いて俺を見た。
「殺気出すなよバカ!お前は、そう言う所がダメだぞ?」
「もぅっ!わ、分かったよ君には借りが出来たし言う事は聞くって!!」
少し不満そうだがエミリオは素直に従ってくれた。
うん、何か物分かりが急に良くなったな、こいつ。
「シ、シグレよ、こ、この状況は、一体!?」
ケンプ隊長が、少し後ずさりながら、そう聞いて来た。
「ああ、俺達が、こいつらとの勝負に勝ったからさ、この剣をもらって良いってさ。これで俺とウリシュクの依頼は達成って事で良いよな隊長さんにカイル!」
「な、何!?それは本当か!?い、いやそれも大事だが、そ、そこの方は、まさかアンデッドだったアハ・イシュケーン様ではないのか!?」
王子が、俺とシルファを見てから、復活したアハを凝視している。
「うん、魂がこの人強かったから何とか復活させられた。大した物。普通死んでから、これだけ時間が経ってると失敗する事が多い。それだけこのアハと言う人は魂が強い中々の人物」
「な、何!?それはまさか伝説のそ、蘇生魔法なのか!?う、失われた究極の僧侶の魔法だぞ!?い、いやもしや光魔法での蘇生ではないのか!?今の美しい光は、み、見た事無いぞ!?」
「え?普通のリザレクション。只の蘇生魔法で、別に特種な物でもない」
「ば馬鹿な!蘇生魔法自体失われた伝説の魔法だぞ!?お前は一体何者何だ!?エ、エルフなのは間違い無いのであろうが!!」
「フッ良いではないかシルファ殿が何者であろうと俺の恩人である事には間違い無いのだ。ヨルグの子孫よ」
「ア、アハ様!ふ、復活されるとは…これは国を上げての一大事になられますぞ!!」
カイル王子凄い嬉しそうだ。
血族らしいし気持ちは分かるけどね。
「あ、そうだアハその剣、王子にあげても良いかな?大事なのは分かるけどさ今回の依頼なんだよね」
「なる程。シグレ殿の頼みであれば断れぬな。長年苦楽を共にして来た愛剣ではあるが命の恩人からの頼みであれば喜んで差し出そう」
「ああ、すまねーな。何、後でそれに匹敵する位の剣は用意出来るからさ、すまねぇけど、それまで我慢しててくれよ」
「な、何と我がインフィニティに匹敵する剣を!?フフ、シグレ殿が言うならば間違いあるまい。期待して待とう!」
そう言ってアハは、インフィニティをカイル王子に渡した。
「あ、ありがとうございます!インフィニティは、王家の宝剣なのです先祖が何度も取り戻そうとしたのですが全て失敗しておりまして国家の目標でもあったのです!感謝いたします!!」
そう言って王子はケンプ隊長に言って専用の剣を入れる豪華なケースを持ってこさせ丁寧にインフィニティをしまった。
「それじゃ私は帰るね、また後でね」
シルファが、あくびをしながら手を振って出現時と同じ様な派手なエフェクトの光を放って消えていった。まぁ俺の中に居るだけだから、戻ったも何も無いんだけどね。
「シ、シルファ殿!?シグレ殿、シ、シルファ殿は一体!?」
アハが動揺してるね。
「大丈夫、ちょっと転移しただけだからさ。今日はもう来れないけど明日になればまた会えるよ」
「て、転移だと!?馬鹿な今のエルフは転移したのか!?転移魔法など個人レベルで発動出来る魔法では無いぞ!?シグレアキラ!国の魔術士が何人も集まって何日も魔力を込めてやっと発動出来る魔法だぞ!?あ、ありえん!!」
ケンプ隊長が、抗議したが、そんな事言われても遠くに転移してるって設定なんだよね困ったな説明が面倒くさい。
「はん!人族は本当に魔力が無いよね。転移なんて僕らやハイエルフなら日常的に使える魔法だよ?まぁ少しは魔力、持っていかれるから日に何度も使える魔法じゃないけどさ、あのお姉さんの魔力量なら余裕でしょ?」
「お…お前は、龍族なのか!?我らからしたら一生会う事など無い、おとぎ話に出て来る種族だぞ?まさか本当に実在するとは…」
「ははは、それは笑っちゃうね。ま、信じ様が信じまいが、お前達なんてどうでも良い存在だけど僕が龍化したの見たでしょ?そう言う事だよ」
「う、うむ、この目でしかとな…間違いなさそうだ…だが伝説の龍族が一体何故この様な所に居るのだ?」
王子の言う事も最もだね。
なんかエミリオ、エルフの青年を追って来たみたいな事を言ってたけど、何かもっと深い理由があるのかも…
次回は9月8日(火曜日)に更新です!(^^)




