第52話 金龍エミリオとの決着
「シルファ頼む」
「うん分かってる」
「召喚」
俺はウリシュク達の手前シルファを召喚してるていで、そう言った。
すると七色のエフェクトを出して派手にシルファが出現した。
うわ…またこの演出!?
「お、お兄様あれば!?」
王女が、エフェクトの演出を見て驚愕している。
「ま、まさかシグレも光魔法を!?」
カイル王子も驚いてしまってるよ、おい…
「な…何!?召喚だと?う!?な…何!?」
エルフの青年マクドルは、シルファから感じる、その圧倒的な魔力に心底驚いているみたいだ。
うん、俺にはちょっとまだ良く分かんないんだよね。
魔力の大きい小さいって。
何となくは感じて来てはいるんだけど。
「フン…君、凄い魔力だね…まだこんな手練れが居たなんて…どうやら僕はここまでみたいだ…フフでもこんな強者と最後に戦えたんだし悪くない生涯だったよ…」
少年は自分のケガの具合とシルファの登場で敗北を悟ったみたいだね。
うん、男らしいね。
みっともなく足掻かないのはカッコいいね。
するとシルファが手をかざした。
「殺るが良いよ龍族を殺せるんだ。今日から君達はドラゴンスレイヤーを名乗るが良いさ。何せ只の龍族じゃない。龍王が配下の最強の将軍の一人を倒せたんだ。誇りに思うが良いよ…」
「ちょっと、うるさい。後、動かない!治しにくいから」
シルファが、ブツブツとカッコいい辞世の句の様な事を話している少年に文句を言った。
「は?お前何を…な!?」
するとシルファの手が金色の光を放ったと思うと次の瞬間には少年の重傷だった傷が完全にふさがっていた。
「な…何だと!?お、お前、僕を治療して…って嘘だろ!?龍族の身体は特別なんだぞ!?普通の治癒魔法は効きっこないんだよ!?」
「いや、効いてるじゃん?お前の魂を見れば分かる。肉体も完治してるぞ?シルファに感謝しとけよな。あ、後さ、お前思ったより強かったから手加減できなくてすまん。ケガさせちゃってさ。でもお前も、やりすぎだ俺が止めなきゃここに居る奴全員死んでたぞ?」
「お…お前、何で僕に謝ってんだ?僕は、お前らを殺そうとしてたのに…な、何でケガまで治して…お、おかしいよ、何なんだよ!お前は!!」
「俺の名は、シグレアキラだ!良っく覚えとけよ少年!!」
「いや、そうじゃなくって名前聞いてんじゃないよ!!何者かって聞いてんの!!」
「え?俺?俺は只の人間だけど?」
「うそつけ!!後、僕は女だ!!少年じゃない!!間違えるな!!」
「ええ!?だってお前ずっと自分の事、僕って言ってただろ!?」
「いいだろ!別に!!僕の勝手だ!!」
「いや、僕っ子だったんかい!!」
「何だよ、それ!?馬鹿にしてる!?」
「バカやってないでシグレ、アハを蘇生する」
「あ、おお悪い今行くよ。あ、お前せっかく治してやったんだからもぉ暴れんの無しな。義理は通せよ、エミ…なんとか!!」
「エミリオだよ馬鹿!!覚えろよ、シグレアキラ!!」
ん?
フルネームで、エミ…何とかが俺を呼んだぞ?
てっきりバカ人間とか呼ばれると思ったんだけど少しは感謝したのかな?
でも何かふくれっ面で俺をずっと見てるから違うかもな。
まぁもぉ殺意は感じないから放置で良さげだけど。
エミリオは放置して俺とシルファは上半身だけになったアハのクレーターの中心に降りて行った。
誰だこんな大穴あけたの…
いや俺か…うん。
ちょっとやりすぎたね、これ。
「魂が瀕死状態…やり過ぎシグレ…もう少しで手遅れだった…」
あ、はい…
シルファにも怒られてしまった…
うーん力加減って難しいね。
アハ強かったから、てっきり大丈夫と思って斬りつけちゃったけど防御が弱かったんだよね。
バランス悪いよな、アハは。
それともアンデッドだったから防御も弱かったんかな?
いや普通アンデッドは不死になるとか不死身に近くなるんじゃないのか?
「フ、フン!役立たずのゴミめ!たとえ勇者と言われる様な者でも所詮は人間種の魂だこのまま消えさるのが運命よ。我のおかげで少しでも現世に存在出来た事を感謝して、この世を去るのだな。アハ・イシュケーンよ」
俺達から、かなり離れた場所からエルフの青年マクドルがアハにそうほざいていた。
声だけ届いて来るから何かの遠隔魔法か?
しかし本当ムカつくよな、こいつ…
「うるさい、だまらないとお前をこの世から消す」
「ひっ!?」
あ、シルファ本気で怒ってんね。
シルファは僧侶でもあるから、俺以上に命を大事にする心情何だよね。
その相手の前で、この世から消えろとか言っちゃったら死亡フラグも、はなはだしいんですけどね。
今は分身体で力は十分の一になってるみたいだけど、それでもこのシグレアキラでもシルファには敵わないんだよね。
力が測れないとかエミリオとこいつが言ってたけど、どっちが何だよって話だよな。
「な、何なのだ、こいつは!?地上に居るエルフなど人との混血ばかりのはず…なのに何故こいつからは、じ、尋常で無い魔力を感じるのだ!?あ…あり得ないこれではエルフ王に、ひ、匹敵するぞ!?」
マクドルはシルファの異様な魔力に心底怯えていた。
マクドルは、これでも本国では5大賢王と言われ究極のネクロマンサーでも有り、その力はエルフ王からも一目置かれている程なのだ。
なのに、そのマクドルでさえシルファを前にすると、この圧倒的な威圧感であった。
こんな事は同族のハイエルフからも感じた事など無い程絶望的な魔力差を感じてしまっていた。
「あ、あり得ない…ま、まさか、こ奴もハイエルフ…い、いや…もしかしたら、それ以上の!?」
「ハイ、リザレクション」
シルファが、そう唱えるとアハが光に包まれた。
「な…何?…何を…?」
気絶していたと見える、アハが意識を取り戻し光に包まれている自分に気が付いた。
「命を捨てる者には、魂は戻せない。汝、命を取り戻したいか?」
うん、このセリフはMMOで蘇生をする時のシルファの固定セリフだね。
やっぱ言わないとダメとなのね。
まぁ仕様だし、しょうが無いんだな。
しかしシルファらしくない偉そうなセリフだよね。
似合わないね。
「…命を拾える…のか?その様な奇跡を…た、確かに、か…感じる!フ、フフフ、チャンスを…もう一度生きるチャンスをくれると言うのか!?…うむ!!た…頼む!!俺にはやり残した事が…いや、愛する人を救いたいのだ!!その為にも、もう一度!!」
力強い魂の叫びをアハはシルファに叫んだ。
それは嘘、偽りのないアハの心からの願いだ。
本心だとアハの魂が、そう言っている。
それを聞いたシルファはニコリと笑い
「蘇生」
と、一言、言った。
■ケンプ隊長からの視点■
「りゅ、竜を…シグレアキラは、倒したのか!?」
エミリオのペット二匹の火竜は、主人が怒ってるのを察し、おとなしく動きを止め俺との戦いを見守っていた。
二匹も主人の意を察したのか攻撃を中止している。
それを見てミリスも動きを止めて俺達の戦いを見守っていた。
ウリシュクも、あまりの戦いに唖然としている。
「つ…強いとは、思っていたけど、シグレって、あ…あんなに強かったの!?」
もしかしたらアークデーモンとも戦えてたんじゃないのかと今の戦いを見てウリシュクはシグレアキラに対する評価を数段上げた。
「し、信じられぬ、あの様な…ただでさえドラゴンなど伝説の存在だと言うのにシ、シグレは圧倒していたぞ!?炎壊シグレは一体、何者何だ!?ほ、本当に人間なのか!?」
ケンプ隊長が、ウリシュクに詰め寄ったが
「うん、それ以上でもそれ以下でもないわシグレはシグレ。只の人間族の14才の少年よ」
「そ、そんな馬鹿な!あ…あの様な強さを持った人間が居る訳があるまい!!」
まぁもっともだなと、ウリシュクは思ったがウリシュクもシグレアキラからは、それ以上の事は聞いてないので、そう答えるしかなかったがウリシュクも只の人間だと言うのには、今は疑問をいだいていた。
確かにシグレの実力は常軌を逸している。
あんな14才の少年が存在するのが、おかしな話だ。
それ程シグレアキラの力は破格の物だった。
長い人生を送って来たウリシュクでも聞いた事も見た事も無い強者だ。
疑うのも無理もない事だとウリシュクも思っていた。
「フフフ、それだけの天才だと言う事だろ?炎壊の言う通りシグレはシグレだ。命を無下に奪わない良い奴で仲間想いの強者で、そして甘ちゃんだと言う奴だ。見ろ殺せたはずなのに、あの竜の少年のケガを治させたぞ?…何と言う慈悲深い奴だ…殺し合っていた相手を助けるなど正直俺には出来ん事だな…フフフ、器の大きい奴だ!」
竜の少年が、また攻撃をして来ないかケンプ隊長達は恐れていたが少年はずっと、シグレアキラの一挙一投足を観察している様で他の者には目もくれて居なかった。
シグレアキラ以外には興味が無い様に見える。
そんな様子を見てケンプ隊長は取りあえず安心をするのだった。
次回は9月5日(土曜日)に更新です!(^^)




