第50話 アハ・イシュケーン
レオンったら本当、人間味だしすぎだろ…
そりゃそうしろって言ったのは俺だけどさ…
まぁ…良いけどね。
ミリスが納得してるんだったらさ。
「行きますよ!火竜達!!魔導兵器である、この我とはたして互角に戦えますか!?」
…うん。
なんかミリス、ノリノリだし気にいってるなら、い、良いのかな?
ゴーレムは、そう言うと火竜を、ぶん殴り火竜がよろめく。
2匹の火竜は連携してゴーレムに噛み付いたり火のブレスを放ったりしてるけどミスリル製のゴーレムには、あまりダメージが無い様に見える。
ウリシュク達もミリスを援護して氷魔法とか当ててる。
ウリシュクも氷魔法使えたんだな。
炎壊って言うから炎しか使えないのかと思ってたよ。
ドラゴン2匹はミリス達で何とかなりそうだな。
じゃあ王子は…
と、こいつはマズイな。
もう瀕死だ。
俺はすぐにカイル王子に走り寄った。
「すまねぇ大丈夫か?」
「フフフ…遅いぞ?もう少しで、あの世に行く所だった…あ、後は、任せたぜ…」
そう言うとガックリと膝からカイル王子は崩れ落ちた。
「お兄様!!」
王子に援護をしていたシスティリア王女がカイル王子に駆け寄った。
「お、お兄様!お兄様!!か、回復を!早く!!」
王女が僧侶っぽい人達を呼び寄せている。
「大丈夫、気を失っただけだ。死んじゃいねーよ」
俺が王女に声をかけるとキッと睨まれたよ。
うん、好感度MAX嫌われてますがな。
「た、倒しなさい!これは命令です!でないと許しませんからね!!」
王女は捨てゼリフをはくと王子を連れて後方へ下がって行った。
「遅かったな。もう少しで殺してしまう所だったぞ?手加減は性に合わんのだがな子孫を殺してしまうのは寝覚めが悪いのでな」
あらら、このアンデッド手加減してくれてたのか。
まぁ何か殺意を感じなくなってたから、
大丈夫かとは思ってたけどね。
「何だと!?私はお前に殺せと命令したのだぞ!?主人に逆らうか!?」
エルフのマクドルとか言う奴が、ご立腹だ。
「フッ大丈夫だ。こ奴は殺してやる。俺も剣士として全力で戦える強者相手に手は抜けんよ」
そう言うとアハと言ったアンデッドは異様な構えを見せる。
なる程。
日本の居合みたいな構えだな。
油断して近づくと俺でも真っ二つになりそうだ。
「お、お前エミリオを、ま、まさか倒したのか!?」
マクドルが、そう叫んだ。
「ん?ああ、殺してねぇから。多分気絶してるんじゃないかな?」
「ば…馬鹿な!エミリオは、龍王の7将軍の一人だぞ!?そ、それをたかが人間種ごときがあ、ありえん!!」
とか言ってマクドルとか言うエルフはワナワナと身震い(?)を、してる感じだ。
龍王の7将軍?何それ?なんかそんな組織でも、あるのか?
「こ、殺せ!アハ・イシュケーン!!こいつは我らの最大の障壁になる!!今ここで抹殺せねば我が国にとっても災厄になりかねん!!」
「言われなくとも、こ奴には全力で相手をしてやるつもりだ!!」
そうアハが言うな否や、その鋭い剣撃を俺に振るって来た。
おお、こいつは速い。
シグレアキラでも、これはちょっと本気出さないとケガするなこれは。
そう思って俺は結構本気で、その剣撃を受けたり、受け流したりした。
「フ…フフフ、何と言う手練れ…この手ごたいは、いさかたぶりか…いや純粋な剣士で俺と互角に戦えた者など居なかったぞ!!素晴らしいな少年!!では、どんどん本気で行く!!簡単に死んで俺を幻滅させるなよ!!」
ん?何だか、このアンデッド雰囲気が人間に近くなって来てねーかな?
おどろおどろしい雰囲気は、そのままだけど邪悪な感じが薄れて来てるね。
するとアハの刀身が、2、いや3つにぶれて見えて来た。
錯覚か?…いや、これは、そう言う技っぽいな。
凄いな。
こんな技まで使えるなんて、さっきの
エミリオとか言う奴のがパワーは上だけどこいつの方が、よっぽど怖いよな。
「受けて見るが良い!奥義陽炎を!!」
ん?するとアハの剣だけじゃなく腕まで何本にも見えるね。
こいつは残像じゃ無くシルファの分身に近いね。
全部の腕や剣に実体があるのが分かる。
それが最速で俺に斬りかかって来る。
つまりは俺は何人ものアハと言う達人の剣士と同時に戦っている様な物だね。
うん、凄い技だ。
まさに極みの極意と言った所だね。
でも、シグレアキラは魂を捕えられるんだよね。
いくら分身でも若干速さとパワーは衰えてるね。
なら邪魔な分身の剣や腕は軽くいなして本体の攻撃に注意すれば問題無いな。
「な、何!?」
俺は、分身した剣と腕は軽くいなして本体の持ってる剣に斬り込む。
しかし何とかアハは、それはしのいで見せた。
うん、本当に強いね、こいつ。
シグレアキラも、かなり本気で戦ってるのに、まだ戦えてるなんて、とんでもない剣士が居たもんだ。
ならほんの少し本気で戦っても死にはしないかな。
あ、アンデッドってもぉ死んでるんだっけ?
[シグレ、アンデッドでも、アハと言う人の魂は、蘇生可能。魂を粉々にしてはダメ]
シルファが忠告をして来る。
え?
シルファ確かにMMOのNPCとしての設定じゃプレイヤーの蘇生が主な役目で死んだプレイヤーは必ずNPCであるシルファの元に魂が送られて来て蘇生してたけど…
嘘だろ?この世界でもシルファ蘇生出来んの!?
[うん、だからこの人、殺しちゃダメ]
あ、うん。
分かったよ、蘇生出来るのは知ってたけどこの世界じゃ蘇生って、どのレベルの魔法なのかな?
まぁ国に一人とか、そんなレベルじゃなきゃ目立たないだろうけど、ちょっと不安だが、アハは戦って分かったんだけど魂が何て言ったら良いだろ、こう…純粋で真っ直ぐで思いやりのある奴だと感じるんだよね。
今は多分いやいや、あのエルフに従わされてるっぽい。
[良し!分かった。死なない程度に倒して動けなくなった所でシルファに蘇生してもらうよ]
[うん、それで良い]
シルファからもOKが出たので、さっさと勝って、このアハを蘇生しちゃいますか!
「あんた強いな、こんな強い奴と戦ったの久しぶりだ。驚いたよ」
「フ…それは、そのまま、お前に返す言葉だな。その年で何故そこまでの腕を極められるんだ?」
「うん、まぁ色々あってな。それはともかくお前に一つ聞きたい。生き返りたくねぇか?この世に未練は無いか?」
「何?いきなり何を言う?」
「良いからさ、そこだけ真剣に答えてくれないか?」
「…フ、何を考えてるか分からん奴だな。未練しかないよ。俺は夢半ばで朽ち果てたらしいのでな…いや俺の野望などより…あの人を…いや、取り戻せぬ事だな。フ…もはや、この世に俺の居場所など無い!!今は、この戦いに戦士として全てを賭けるのみ!!俺の全てを受けてみよ!強者よ!!」
すると腕だけではなくアハが10数人に分身した。
「受けてみよ我が最強の奥義陽炎、阿修羅を!!」
何十もの剣が斬撃が10数人のアハから繰り出される。
うん。
こいつは、まともにくらったら俺でもかなりやばいね。
最強の技だってのは偽りなさそうだ。
しかしソウルブレイカーを使うと魂までやっちまうから、ここはリッチの時に使った、あの技で仕留めるのが良さそうだ。
あの技なら只の物理攻撃だからアハの魂にまではダメージが届かないしね。
俺は動体視力と反射神経だけでアハの猛攻を、かい潜り懐に潜り込んだ。
「ば、馬鹿な、全て避ける…」
「ライジングショット!!」
そう叫んだ俺は例の大振りの稲妻がエフェクトに付く只の横殴りの技をアハに放った。
「ぐおおっ!!」
斬撃を、もろにくらったアハの身体は真っ二つになり、そのまま地面に叩きつけられた。
「な、何ぃ!!」
エルフのマクドルは、そのあまりの衝撃に、5m位ふっ飛ばされた。
爆心地の地面はクレーターの様になり、その中心には下半身がどっか行った上半身だけのアハが、うずもれていた…て…マズイなコレ、意外と防御脆かったぞアハ…
し…死んじまって無いだろうな!?
アンデッドだし…大丈夫…だよな?
マズイ殺しちゃダメとシルファに念を押されたって言うのに…
うう…心の中からシルファの強力なジト目を感じるぞ!?
ご、ごめんって!!
次回は8月29日(土曜日)更新です!(^^)




