第48話 伝説の剣豪
「な、何だ!?何者…」
騎士達には、剣を振った動作も見えておらず、剣に近寄った数人の身体は、そのままでは2つに両断されていた所だった。
「シグレ!!」
カイル王子が、一歩遅れて俺の後ろに、やって来ていた。
「ほう、我の一閃を凌ぐか。うむ、どうやら貴様には資格がある様だ」
俺は謎の人物の剣撃を、王子よりも速く受け止めていた。
強いな、こいつ。
今まで会った、どいつよりも、厄介な気がする。
あの、アークデーモン並みかも。
「す、すまんシグレ反応が遅れた。インフィニティは、子供の頃から、その存在を絵で見て知っていたんでな見とれてしまった…危うく大切な近衛を5人失う所であったよ」
その言葉に気づき自分達は剣を向けられた事にも、気づいてなかった事を察し今更ながら剣に近づいた5人の騎士達は、シグレが止めてくれなければ、死んでいた事を理解する。
「シ、シグレ殿すまぬ!こ、この借りは必ず!!」
「と、とりあえず、俺達は邪魔になる!一旦下がろう!!」
「う、うむ!幸運を祈る!シグレ殿にカイル王子!!後は、お、お任せいたす!!」
そう言うと、5人の騎士達は、そそくさと陣営に戻って行った。
うん。
相変わらず使えないね。
って言うか、この人達居ない方が俺達も楽だったんじゃ…
カイル王子だけで良くねえか?探索チーム…
「名を名乗れ小僧。我は、アハ・イシュケーン。命により、この剣は渡すわけにはいかぬ。奪いたくば見事我を倒して見せよ!!」
仮面を被り全身漆黒の鎧をまとった、見るからに邪悪そうな、その男はそう告げた。
でも、どう見ても人じゃないよね?
禍々しいオーラの様なエフェクト満載だし、声もおどろおどろしい感じだ。
リッチに似てるかな。
それ系の魔物なんじゃないか?
「ア、アハ・イシュケーンだと!?」
名を聞いて、カイル王子が叫んだ。
「アハ・イシュケーンとは、国に伝わる伝説の剣豪の名だ!だがアハは、5百年前に戦いの中で絶命したと聞いているぞ!?嘘を言うな何者だ貴様!!」
カイル王子が、アハと名乗った、その人物に詰め寄った。
「我は、アハ・イシュケーン以外の何者でもあらぬ。だが、その様な事は今はどうでも良い。名乗らぬならば、無礼者として葬るのみ」
するとアハ・イシュケーンと名乗った、それは、異様な構えをとった。
「な、何!?そ、その構えは、イシュケーン、一刀流の型、流水!?ば、馬鹿な!何故貴様それを知っている!?」
「問答無用、では無礼者よ冥府に旅立てい!!」
「うっ!?」
そう言うと、アハ・イシュケーンは、凄まじい速度で王子との間合いを一瞬で詰め剣撃を加える。
だが王子は、それを受け流し突きを入れ返した。
しかしそれは、アハと名乗った者に顔面に当たる寸前で最小限の動きで躱された。
「ほう、初見で我が技を躱すとは、思っているより、やる様だな」
マスクで顔が隠れていて見えないが、アハは笑った様に思えた。それは上から見下ろす強者の態度だった。余裕の笑みと言うやつだ。
「お前の技は見えては、いなかった…俺が躱せたのは、その技を知っていたからだ…」
「知っていただと?何を訳の分からぬ事を」
「…では確かめよう!ゆくぞ!!奥義七連撃!!」
そう言うと、カイル王子は、俺との試合で見せた、あの技をアハ・イシュケーンと言う、それに放った。
うん。
さすがわ王子だ。
試合の時より相当スピードがある。
殺気が、こもってる分、本気だね王子も。
しかし、アハは一瞬驚いたそぶりを見せるがこちらもまた、まるで予測していたかの様な動きで、平然と躱した。
「これは…我の技か?何故、使えるのだ?我は弟にしか、この技は見せた事などないと言うのに…」
「ヨルグ・イシュケーン様より、この技は…いえ、アハ様の技は伝えられております…初代デュラリオン王国、国王ヨルグ・デュラリオン・スィード様です…」
「…何!?ヨルグが王だと!?馬鹿な奴はまだ10才だぞ?王になどなる訳が…何!?ヨルグ・デュラリオンだと?それは、我が一族の神名だぞ?先祖代々守られてきた神名だ?何故貴様がそれを知っておるのだ?」
「…どうやら本当に、アハ様の様だ…デュラリオン王家にしかイシュケーン一族の神名は伝わっておりません…それを知っているのは、一族か…又は本人しか、いらっしゃらない…」
「人間よ、其奴はアンデッドだが、私が召喚した本物のアハ・イシュケーンの魂よ。お前の先祖と言う事だな。カイル王子よ」
「!?」
すると、アハと言った者の、すぐ後ろの空間が歪み、一人の男が現れた。
「いにしえからの盟約によって、この剣を狙う者には、死を与える事になっておる。それがヨルグ王との盟約よ。なのに何故、王家はこの剣を執拗に欲するのだ?」
「あ、あれは!空間転移魔法!?嘘!?そんな術士なんて国でも数名居るか居ないかの高等魔法よ!?な、何者!?」
後方で王子の戦闘を見ていた、テムが叫んだ。
「フ、相変わらず人間種は低レベルなのだな転移魔法も自在に使えぬのか?」
そう言うとフードを脱いだ、その男の両耳は尖っていた。
エルフの男性だ!初めて男のエルフ見たよ!
「ま、待て貴様!今なんと言った!?アハ・イシュケーンの魂を召喚しただと!?それは真か!?」
「そうだ。私はこの剣に近づく者があれば、それを葬る役目を授かっておるのだ。5百年存在を隠蔽する封印が今は解けかかっておる。恐らく下賤の人間の宝具か何かで剣を感知したと言った所だろう?まったく下賤の人族は、盗っ人猛々しいと聞いていたが、その通りだな…どれ、それか。消えろ!」
すると、ケンプ隊長の持っていたクリスタルが粉々に砕け散った。
「な、何ぃ!?国宝が!こ…粉々に!?」
あまりの事に愕然とするケンプ隊長。
まぁ無理もないよね。
探し物の場所が、分かると言う、チートアイテムを、砕かれちゃったんだしな。
勿体無い…
「お、おのれ!!貴様このクリスタルが国宝と知っての事か!!捕らえて死罪だ!!死罪以外の何物でもない所業よ!!」
システィリア王女が、怒り心頭だ。
「ふむ。私を死罪にと?クククひ弱な人族がこのハイエルフの五大賢者の私を?フフフ何とも人族と言うのは冗談が得意と見えるな」
「ハ、ハイエルフですって!?嘘よ!ハイエルフなんて、ここ数百年史実に現れた事なんて無いのよ!!でたらめよ!!」
テムが、エルフに向かってそう叫んだ。
「あーあマクドル君、嘘つき呼ばわりされちゃってるじゃん。本当の事なのにねー」
「う!?」
すると王子のすぐ横に少年が、いつの間にか立ちニヤニヤと笑いながらそう言った。
「何者!?いや…貴様ら仲間か!?邪魔をするなら容赦はせぬぞ!」
カイル王子が謎のエルフの青年と少年に啖呵を切った。
どう見ても格上っぽいのに、いい度胸だね。
さすが一国の王子。
胆力も相当だね。
「エミリオか!!ええい!人種などに高貴な我の名を伝えるんじゃない!!」
「でもさマクドル君、しょうがないじゃん君の名は、マクドル君なんだしさ、マクドル君」
「連呼するな!!」
「主よ、こ奴は一体何だ?何故我が弟を、知っておるのだ?」
「フン、アハよ貴様を魂で支配しておるのは私だ。主人の言う事を、貴様は聞いていれば良いのだ。殺せ。それが剣を狙う者えの罰だ」
「…御意…」
すると、アハと言うアンデッドは、剣を再び構えた。
「ま、待て!いや、お待ち下さいアハ様!!我はヨルグ王の血族です!!同族である、あなたと剣を交えるなど!!」
「何だと?ばかな俺の一族は、すでに滅んでいる。弟以外に血縁などもはやおらぬわ」
「ヨルグ様が我が国、デュラリオン王国を、建国されてから五百年経っております!!アハ様ご存命の頃とは、今は時代が違うのです!!」
「何…?フン世迷言で俺を謀るか?」
「あはは!やっぱり人種はバカだねー!魂になっても自分が死んでから五百年経ってる事にも気づいてないなんて!プークスクス!!」
「…何!?それは、真か龍の戦士よ?」
「あり!?良く僕が龍族だって見抜けたよね!さすが人族でも勇者と呼ばれたアハだね♡うんうん、見直した♡」
「フ…それ程の龍闘気をはなっておれば、うつけでも気づくわ」
「ええー?そうなの?でも、そこに居る一般ギャラリーの人族君達は、全然気づいてないみたいだよ?」
[りゅ、龍族ですって!?ど…どうりで桁違いの魔力を感じる訳ね、マズイわよシグレ、ミリス、これは撤退しないと厳しいわよ?]
ウリシュクが、今の会話を聞いて慌てて通信を飛ばしてきた。
って言うか、順応力高いなウリシュク。
もぉ通信うまく出来る様になるなんて。
さて、こいつは少し面倒な事になって来ちゃったな。
まぁ戦うしかなさげな感じだけど、どうしたものかなぁ。
次回は8月22日(土曜日)更新です!(^^)




