第44話 竜の魔窟
「では出発する!心して行くぞ!!何度も言っておるが、この探索には国家の威信がかかっておる!何としても宝剣インフィニティを取り戻す!!出陣!!」
「おう!!」
騎士団が大きな声で、それに答えた。
そして、この集団、20名程の騎士団に数名の魔法使いに僧侶、そしてカイル王子に、
システィリア王女は魔境の森へと足を進めた。
勿論、俺達も後に続く。
普通は雇われてる俺達が一番前に配置されそうだが、王子達のすぐ後ろを任された。
うん、まぁ少しは信用されたのかな?
まぁ魔物が来れば、レオンのレーダーですぐ分かるし、どこでも俺は良いんだけどね。
「本当に魔物が来たら感知できるの?」
ウリシュクが、俺に尋ねる。
「ああ、蛇くらい小さな動物から、探知出来るぜ?近くに危ねえ動物が来ても教えるよ。レオンその時はウリシュクと、ミリスにも知らせてあげてくれ」
「了解しました」
「あ!レオンさん!よろしくお願いします!」
「よろしくです!」
ウリシュクとミリスにも、レオンの通信が入り二人がレオンに挨拶した。
「任せて下さい!安心してウリシュク様も、ミリスも探索に参加してて下さい!」
うん、レオン何か嬉しそうだ。
役に立ててるのが嬉しいのかな?本当に人間らしい対応を、とれる様になって来たな。
「おい、シグレよ何を三人でブツブツ言っておるのだ?」
するとすぐ前を歩いていたカイル王子が俺達に、話しかけて来た。
「ああ、いや魔物の気配がしたら、すぐ知らせる様にって照らし合わせてただけだよ」
「何!?魔物の気配を!?お、お前達そんな事が出来るのか!?」
「フン!王子!それくらい我ら魔法師団員でも出来ますよ!」
また、テムが絡んでくる。
本当に嫌われたな俺達。
「テ、テム!私達じゃ魔力を持った魔物しか感知出来ないのよ!危険な動物や魔力の薄い魔物は無理だから!」
僧侶っぽい格好をしたエリスと言う女性が慌てて、テムにそう言った。
「はん!それは炎壊達だって同じでしょ!私達より感知能力が高いわけないわ!」
そう言うとキッと、俺達を睨みつける。
「まぁ黙って見てなさい。その内感謝する様になるから」
ウリシュクが睨まれても気にせず、テムにそう返した。
「そんな訳ないでしょ!ちょっと私より魔力が高いからって図に乗らないで!!」
「待て、少し黙れ、姉ちゃんの前方15mに何か居るぞ」
俺がテムにそう告げる。
「はぁ!?何を言って…」
するとカイル王子がテムに默まる様、自分の口に指を付けて合図する。
「…確かに、何か物音がしたな」
カイルが前を歩くケンプ隊長に、ジェスチャーで止まれと合図をする。
察したケンプ隊長は、全員に止まる様に無言で合図を送った。
「な、何なのよ?魔力の反応なんて無いわ…」
テムが、そう言いかけた時、全方15m位の
茂みから5体の巨大な人間?の様な化け物が怒りながら出現した。
[何故、隠れてる分かった!?もう少しで棍棒殴り殺せた!!]
[ばかな!何故分がった!?]
[許ぜない、作戦台無じ!!]
と、聞き取りにくい言葉を発して5体が俺達めがけて、突進して来た。
緑色の全身で、血色の悪そうな5m位はある巨人達だ。
全員顔に巨大な目が一つ。
ん?
こいつは、サイクロプスって奴じゃ?
「ひっ!サ、サイクロプスだ!!や、やばいぞ!強いぞ、こいつら!!一体でも数人でかからないと相手にならんぞ!!」
騎士団の誰かが、そう叫ぶ。
うん、やっぱりそうだ。
ファンタジーでも有名な魔物だね。
でも大きいな。
確かリッチの周りに居た4体の大きな骨に、匹敵するね。
ルフレの話だと、あいつらはオーガの
スケルトンらしかったけど。
「全員構えろ!殿下と姫は死んでも守るぞ!王宮近衛騎士団の意地を今こそ見せるのだ!!」
「おおう!!」
ケンプ隊長が、そう叫ぶと周りの騎士達も一斉に剣を構えた。
が、ケンプ隊長が自分の前に、いつの間にか立っていた俺に驚く。
[お前ら俺は、殺しはしたくねーんだ。引くなら見逃すけど殺るんなら、容赦出来ねぇぞ?どうする?]
「何!?シグレアキラ!?そ、それは何語だ!?」
ケンプ隊長は、俺が知らない言葉で話してるのを聞き、とまどっている。
「いや、俺はムダな殺しはしねぇ主義なんだそれがたとえ魔物でもな。だから少し待ってくれ話してるから」
「な、何!?お前魔物と話せるのか!?」
「うむ、初耳だ。そんな事も出来るのか、お前は…」
いつの間にか剣を抜いて、俺の横に来ていたカイル王子が、そう聞いた。
[お前、バカ、言葉喋れるからって見逃さない!]
[人間は食事!特に子供とメスが柔らかくてうまい!ここ通る人間久しぶり、絶対殺して喰う!!]
[逃げる?お前本当にバカ、人間が俺達に勝てる訳ない。俺達が餌、見逃して逃げるわけない!お前やっぱり人間喋れても頭悪い!!]
そう言うと5体のサイクロプスは、ゲラゲラと笑い出した。
[後ろに居る、あの子供とメスはオレが喰う!!]
サイクロプスのリーダーっぽい他より一回り大き目のサイプロクスが、後方に居る王女やウリシュク、テムやミリスを見てよだれを、垂らした。
なる程、ダメだ、こいつら、シグレアキラは殺しはしない主義だが仲間を殺して喰うなんて言う奴らを見逃すほど、お人好しじゃないよ。
ほら、言わんこっちゃない、俺の中のシグレアキラの怒りがもう半端ないって!
[じゃあ死ね!!]
そう言うとシグレアキラは、レオンから剣を転送させると一瞬にして、リーダーのサイプロクスの首をはねた。
「おお!!す、凄い!!硬くて有名なサイクロプスの首を、あ、ああも簡単に!?」
騎士達がどよめく。
「はは!交渉決裂と見た!」
するとカイル王子も凄まじい速さで、サイクロプスに斬りかかり一瞬で2体を、真っ二つにした。
「おお!!さすがわ王子!!す、すばらしい!!」
「さすが王国一番の剣士と名高い、お方よ!!」
「ほほう、手伝いは無用だったかな、さすがだシグレ!」
「え!?」
そう言われて騎士達が、シグレアキラの方を振り返ると、残った2体のサイクロプスも、首をはねられ、すでに絶命していた。
「う、嘘だろ!?サイクロプスは、厄災と言われる程の、ま、魔物でもあるんだぞ!?3体も一瞬で!?ば…馬鹿な…」
「な…何と言う事だ!この実力で、未だに無名とは…し、信じられん!!」
騎士達は、サイクロプスと戦わずに済んだ安心感とシグレアキラの強さに驚愕しつつも、戦闘の終了を心から喜んでいた。
カイル王子とシグレアキラが居なければ、やられはせずとも騎士団に、かなりの被害が出ていたのは、間違いがないからだ。
下手をすれば死傷者も出ていた可能性があった。
サイクロプスは、それだけ強い魔物なのだ。
しかもそれが5体も居たのだ。
精鋭ぞろいの王宮近衛騎士団でも、相当手こずる相手なのだ。
それを一瞬で倒してしまった。
安心感と自分達が、何も出来なかった不甲斐なさからの憤りが混じった感情で騎士達は複雑な心境に、なっていた。
が、命が助かった事の方に喜びを感じていた者の方が、大多数だった。
「クソ!逃げれば、見逃してやったのに!俺に命をムダに奪わせやがって…」
シグレアキラは、仲間を喰うなんて言った奴らに容赦はしないが、殺しはしないのが流儀なので、仕方なかったとは言えかなり腹を立てていた。
「フフ、腕は立つのに甘いな、お前は。魔物など、俺達人間を餌くらいにしか思っておらぬだろ?話すだけムダだ」
「ち、うるせーよ、これは俺の主義なんだよ命は基本奪いたくねーんだ。魂は大事なんだよ無下に奪って良いもんじゃねーんだよ!クソッ!!」
「ハハハ、やはり変わってるな、お前は!ますます、お前に興味が湧いたぞ!!」
そう言うと俺の背中を、バンバンと叩いて
「しかしナイスな剣技だ。フフフ剣筋が見えぬとは…先の試合で、お前に今の速さで攻撃されていたら、ひとたまりもなかった訳だな」
そう言うと俺の顔を覗き込んで、ニヤリと笑顔を向けた。
「アホか!人に技をかけたら死んじまうだろ!俺は殺人鬼じゃねぇっつーの!」
「フフフ、いつかお前にも俺に対して剣技を使わせる様になりたいものだな!これは今後の修行にやりがいが出てきたわ!!」
そんな事を言って。カイル王子は何故か嬉しそうだ。
シグレアキラは殺しをしてしまって気分が悪いんだが、まぁ今のはしょうが無いよな。
だってあいつら見逃したらウリシュクや王女達も喰われてたし(まあ俺が居なくても、ウリシュクなら倒せてた、だろうけど)
それに俺達が見逃したら、ここを通る人間が必ず被害に遭ってただろうし、やむを得ないと思う。
が、シグレアキラ的には、気分が悪いのも、こいつの設定だから、しょうがないけど。
「大丈夫?気分でも悪いの?」
イライラした感じで、ウリシュク達の所に戻って来たシグレアキラを見てウリシュクが、心配そうにそう言った。
ミリスも俺のイライラを感じて少し戸惑っていた。
うーむ仲間達に余計な心配をかけてしまったみたいだ。
次回は8月8日(土曜日)更新です!(^^)




