第39話 護衛任務の正体
「大丈夫、後の二人は、いつでも呼べるから心配しないで。当初の予定ではシグレと私だけだったんだし、リットにはそれで依頼を受けてたから問題無いでしょ?」
「そうですね確かに後の、お二人は初めからメンバーには登録は、されてはおりませんでしたな。まあ良いでしょう。契約は元々、炎壊様さえいらっしゃれば、問題はございませんので、お供の方が何名であろうと炎壊様さえ、いらっしゃれば大丈夫です。では、行きましょうか」
どうやら俺達は、ウリシュクのお供位の認識みたいだ。
まぁそれが一般的な見解だろうね。
見た目、俺もミリスもちょっと強そうに見えないしね。
「行こうって依頼人は、一緒に乗ってないの?確か護衛は二人って聞いてるけど、馬車には乗ってないでしょ?」
凄えな馬車の中、見てもないのに何人乗ってるか分かるのか
「さすがでございますウリシュク様。確かに馬車には私と馬主以外は、乗っておりません。この馬車は炎壊様のパーティ専用として御用意させていただいた馬車であります。依頼主は訳あって人目には、晒せないので、すでに合流ポイントにて、お待ちでございます」
「合流ポイント?竜の魔窟の手前辺り?随分慎重ね」
「さようでございます。馬車で一時間程で、到着いたしますので、それまではごゆるりとこの馬車でくつろいで頂ければ幸いです」
「…分かったわ、それじゃ二人共馬車に乗るわよ」
と、言うとズカズカと遠慮無くウリシュクは馬車に乗り込んだ。
慣れてんなこいつ。
俺は馬車なんて子供の頃、ポニー牧場で少しだけポニーに引かれて、乗ったっきりだぞ。
何か緊張すんな。
俺とミリスは、ウリシュクの後を追い馬車に乗り込んだ。
中は見た目より広く感じた。
ゆったりした造りでテーブルまである。
確かに五人入っても余裕がある感じだ。
「凄えな高級な感じだよな、こりゃ壊さないように注意しねぇとな」
「そうね。こんな馬車国王に招かれて王城に行った時、以来よ。これは相当やばい依頼主っぽいわね」
「え!?お前、王城に招かれたの!?国王と会ってんだ!?」
「うん。金級になった時にね謁見を申し入れられたの。まぁ金級の証印式みたいな物ね。シグレも金級になれば招かれるわよ」
「ええ…俺は、堅苦しいのは苦手なんだけどな…」
「フフ ちょっとニコニコしてれば、一時間もかからないわよ。只の国王への顔見せだから、気にする事無いわ。シグレとシルファさん、デュランダルさんは、すぐに金級に認定されそうだから覚悟しといた方が良いわよ」
「いやいや、俺ってまだ登録も出来てねぇ駆け出しだぞ?そう簡単に、お前と同格の冒険者になれっこ無いだろ?」
「バカね冒険者は、実力第一主義なのよ?あなた私と互角…いえ多分、私より強いでしょ?」
うーむ確かに、シルファとデュランダルは実力は申し分ないだろうけど、そんな簡単に昇格出来るもんかな?
だってまだ、俺達登録も出来てない状態なのに。
「それでは出発いたします。振動にご注意下さい」
さっきの執事っぽい人が、馬主の横に座りながら、俺達の居る客車の小窓を開けてそう告げると、馬主は走り始めた。
サスペンションが無いのか結構振動がある。
「思ったより揺れんな、この馬車…」
「そう?一流の馬車っぽいから街の乗合馬車に比べると全然乗り心地は良いわよ」
そうか色々経験のある、ウリシュクがそう言うなら、きっとこの馬車は乗り心地良い方なんだろうけど現代社会の車に乗り慣れてる俺としては、かなり乗り心地は悪い。
「確かにシグレさんの、あの乗り物に比べると、この馬車はかなり乗り心地が悪いですしスピードも遅いですよね。なんなら乗り換えますか?」
「ダメよミリス、極力緊急な事でもない限りシグレの乗り物は知られない方が良いわ。面倒な事になるに決まってるし、この依頼者相当の権力者みたいだから特に用心しないと取り上げようとして来るかも知れないしねだから我慢しなさい」
「まぁウリシュクの言う通りだな。俺も乗り心地悪いんだ。我慢しようぜミリス」
「はい!マスタ…いえシグレさんが、そう言うのでしたら我慢します」
「あ そうだレオン、クッション三つ転送出来るか?」
「はい では転送いたしますね」
レオンが答えると俺達の前にザブトン位の丁度良いクッションが転送されて来た。
俺達は、それぞれそれを敷いて馬車の振動から、お尻を守った。
うん、これならかなり振動が和らいでる。
まぁ無いよりは良いかな。
ミリスも、嬉しそうだ。
「はぁ…今なら良いけど人前じゃ安易に、レオンさんから転移を頼まないでよね?さっきも言ったけど、この依頼者、相当の権力者っぽいから目を付けられたら面倒だからね?」
ウリシュクが、少し呆れた口調で俺にそう言った。
「分かってるって俺も面倒なのは、ごめんだからよ」
と、言ってサムズアップ、プラス笑顔を向けた。
「もぉ…本当に分かってるのかしら」
半分呆れた顔で、ウリシュクがそう言ったがちゃっかりとレオンが転送したクッションを引いて座っている。
何だよ、気に入ってるじゃんウリウリも。
このツンデレさんめ!
俺がそれを見て、ニヤニヤしてるのに気づいて、ウリシュクがジト目を向けた。
「何?」
「いんにゃ、何でもね」
そんなやり取りをしたりして、三人で談笑してると、馬車は目的地に着いた様だ。
まぁ大体一時間だ。
正確だね。
「炎壊様、目的地に着きました。ここからは徒歩の移動になります。護衛の方々と打ち合わせをしていただき、進行する形になっております」
執事っぽい人が小窓から俺達にそう告げた。
「…シグレ気づいてる?相当な魔力持ちの反応があるよ?」
「え?マジ?」
「はい、下手をしたらウリシュクさんに匹敵する魔力を感じますねシグレさん」
ミリスまで、そんな事を言う。
いかんせん、俺に、そんな魔力を感じる能力なんて無いので、さっぱり何だが二人がそう言うなら、そうなんだろうね。
便利な力だよな。
馬車が止まり、執事の人がドアを開けてくれた。
俺達は馬車を降り、集団の居る所へ歩み寄っていった。
護衛は二人って聞いてたけど10人は、居るよね。
どう言う事だ?
「なる程、もしかしたらと思ってたけど、そう言う事ね。合点がいったわ」
その中に幼いと言っても、シグレアキラと同い年位の、少年と少女も居る。
他は屈強な騎士っぽい人達と魔法使いっぽい女性が数人。
見た感じ、もしかしてあの少年と少女が護衛対象なのか?
ウリシュクは、何かに気づいている様な事を言っていたが。
「おう!久しいな炎壊!!王城以来だな!今回は俺の依頼を受けてくれて嬉しいぞ!!お前が護衛に加わってくれれば百人力だぜ!!」
護衛の対象っぽい少年がウリシュクに話しかけて来た。
知り合いか?
でも今、王城とか言わなかったか?
「これは殿下、お久しぶりです。大きくなられましたね」
「はは あれから4年は経っているのでな。人間は、お前らエルフと違って成長が早いんだ。たまには王城に寄れよな。本当にお前ら金級は、付き合いが悪すぎるぞ?」
「お戯れを、そんなにひょいひょいと、王城に、一冒険者が出向けませんよ」
「はは!お前ら金級は、国の宝よ!遠慮などするな!いつでも来て、テムに、魔術の指南をしてやってくれよな!あ、そうそう妹のシスティリアも結構な使い手になったんだぞ?ぜひ妹にもご享受願いたいもんだ!」
「金級の授与式以来だな、ウリシュク殿。まさか貴殿が護衛の依頼を受けてくれるとは思わなかった。よろしく頼む」
「えっと確か、あなたは王様の近衛隊長の、ケンプ…だったかしら?」
「ああ、覚えていてくれたとは、光栄だな。今は近衛騎士団、団長及び騎士長になった。
ケンプ・ラリウスだ。よろしく頼む」
ケンプと言った男性は歳は30代半ば位な、おっさんだ。
全身を鋼のフルプレートで武装をしている。
鎧越しでも筋骨隆々そうで体格が良いのが見た感じ良く分かる。
「どう言う事?第二王子が近衛騎士隊長まで引き連れて一体、竜の魔窟なんかに何の用なの」
「はっはー!それはな炎壊!我らは国の宝を取り戻そうって訳なんだ!」
「王子!冒険者ごときに我らの本来の目的を話されてはいけません!!」
女性の魔法使いっぽい人が文句を言う。
「バカめ!テムよ!炎壊は我らの強力な助っ人なんだぞ?これから仲間になる者に、目的も話さず、何とするかよ!!」
「し しかし冒険者などは、命令をして護衛をさせていれば良いんですよ!我らの崇高な目的を話す事などありません!!」
「またそれかテム!お前の冒険者嫌いには、困ったもんだな、だがな炎壊は国に三人しか居ない金級の冒険者なんだぞ?他国にだってそうそう金級になれる程の冒険者はおらぬと聞くぞ?それが我がデュラリオン王国には、三名もおるのだ!こ奴ら金級は国の宝だと、常に言っておるだろう!お前も少しは考えを改めないとダメだな!」
「私は実力を、この目で見た者しか認めません!金級の実力など尾ひれの付いた話ばかりです、どこまで信じられるか分かりませんよ!」
本人を目の前にして、このテムって言う人はまぁ堂々と言うね。
何だか先が思いやられるな、こりゃ
次回は7月21日(火曜日)に更新です!(^^)




