第36話 リットの疑念
「あ う、うんごめんなさい、この二人があまりにも強そうだったから驚いちゃって…そうこの二人が例の二人ね」
「ええ 女性がシルファさん。魔法使い…で良いんですか?」
「うん それで良い」
「じゃシルファさんは、魔法使いで。隣の男性が、デュランダルさんで、えっと…戦士…ですか?」
「ああ 何でも良いぜ。好きに呼べよ」
「じゃあ戦士で」
「おう」
「この、お二人が例のアークデーモンをシグレと倒してくれた二人よ。パーティ登録したいから、シグレと一緒に仮登録でリットの依頼に、パーティとして参加で良いよね」
「う うん、そうね、お二人共強そうですけど、ギルドの決まりなので申し訳ないですがよろしくお願いします」
リットが、本当に申し訳ないと、言う感じで二人に言った。
何故だ?シグレアキラの時は、まるで申し訳なさそうな感じは微塵も無かったってのに…さ…差別を感じるぞ!
「うん、分かった」
「おう、問題ねーよ」
シルファとデュランダルも、素直に了承した。
まぁここで揉められても、面倒くさいから俺は、ちょっとホッとした。
(特にデュランダルが文句を言うかもと…だってこいつわがままだから…)
そう思ってると、デュランダルにギロッと睨まれた。
あれ?心読めるんか?体繋がってるし…うーん面倒くさい。
「で では、お二人共こちらの契約書に、フルネームを書いて下さい。それで仮契約は、完了です」
そう言うと、リットは俺も書いた契約書を、二人に手渡した。
あ!そう言えば、二人共、世界観違うし確か文字も違うはず。
デュランダルは、ドラグーン文字で、シルファは確か、MMO設定のエラリュオン大陸語で話すって設定だったか!マズイ!俺が代筆しないと!!
…とか思ってたら、あっさりと二人共、ここの言語で自分の名前を記入してた。
「大丈夫ですよ、ホマレ様。お二人は、ホマレ様と一心同体ですから、シグレアキラ様の翻訳機が、お二人に、そのまま使えておりますので言語に関しては問題ありません。すでにお二人はこの世界の言語で話せているのが証拠です」
レオンが通信して来た。
そう言えば、シルファが前に分身魔法で、出て来た時もウリシュクとミリスと会話問題なく出来てるしね。
なる程。
シグレアキラの経験が二人にもフィードバックしてる感じなのか。
うーん便利だ。
心配して損したな。
「シルファ・ルビシオンさん。エルフで魔法使い…ですね。了解です。それと
デュランダル・ディスティニーさん。人族で戦士…ですね確認しました。これで仮登録は完了です。シグレ君にも言いましたが、今回の依頼をクリアーしてもらえれば、お二人も実力を認めますので、その時は冒険者として登録させていただきます。それとミリスちゃんはゴーレムの専門家って事らしいけど、どうするの?」
リットが、ミリスとウリシュクに問い正した。
「あ 我も武道家として、冒険者登録で、ウリシュクさんとパーティ登録を、お願いします」
「あ うん、そうね。じゃそれで、ミリスも仮登録お願い」
「え!?ミリスちゃん、いくつ?」
「五千ごじゅう…あ いえ14才です!」
今一瞬、本当の年齢言いかけたな、アホめ…
「ほ 本当に?ま まぁウリシュクより小柄だけど、そんな子も居るかな…じゃあミリスちゃんも契約書に、サインしてもらおうかしら」
そう言うと、リットは別の契約書を、もう一枚出して、ミリスに手渡した。
ミリスも問題なく、ここの文字でフルネームを記入する。
共通語は、五千年前から変わらないので問題ありません!と、通信でこっそり俺に、ミリスが教えてくれた。
ミリスと、デュランダルは、本当は人族ではないが、つっこまれると説明が面倒なのと、ここの種族判定では、二人共区分されそうにないので、人間って事にしようと、ウリシュクと相談していたので、そこに関してはスルーされて、ホッとした。
まぁ見た目は、デュランダルも10代後半の人間の青年にしか見えないし、ミリスも只の女の子にしか見えない。
武道家ってのは、初耳だけどね。
格闘が得意なのかな?
ゴーレムの時は、魔法使ってたけど、人間の時は違うのか。
「…あの種族の事で、ちょっと確認したいんだけど…」
するとリットが、そう言って来た。
マズイ!嘘がバレた!?
「シルファさん…あなたエルフって書いてますけど…」
え!?まさかの、シルファへのダメ出し!?
こいつは予想外だ。
シルファは、どう見ても普通のエルフにしか見えない…はず!?
「その尋常で無い…なんて言ったら良いか…私は、ウリシュクと違って魔力なんて、測れないですし、対象の強さとかてんで分からないですけど、その、なんて言うか、ハーフエルフとしての種族特性から感じるんです。あなたは只のハーフエルフじゃないって…も、もしかしてハイエルフじゃないんですか!?」
す、するどいな、さすがエルフだ。
何か感じるだろうか?
どうしよう騒ぎになるのも、面倒なんだけど…
「ううん、只のハーフエルフ。勘違い」
シルファが、やんわりと訂正した。
「そうよ勘違いよ。ハイエルフ何て居る訳無いでしょ?史実にだって、ここ五百年は、発見されてないって言うし。いくら何でも、あり得ないでしょ?」
ウリシュクが、シルファに同意する。
うん、さすがウリシュク。
誤魔化すのが上手い。
「そ そうよね?ハイエルフに会った事なんて無いし、あ あり得ないよね、そりゃそうか…」
リットは、自分に納得させる様に、そう言った。
すまんリット、本当はエルフィンで、この世界ではハイエルフに相当するんだが、
つっこまれると相当面倒だし、ハイエルフは希少な存在って言うから、嘘つきました!ごめん!!
「あのシルファさん個人的な事で、申し訳ないんですが、エルフに会うのって結構このアマランの様な交流都市でも、珍しいんです。他の国から来たそうですが、あなたの国には、エルフは、どの位居ましたか?」
「ちょっと!個人的な事は、聞かないのが、ギルドのルールでしょ!」
「わ 分かってるよウリシュク、でも、このアマランの街でもエルフは数人しか居ないしあなたを入れても生涯で10人位しか、私、同族と会った事無いのよ。父はハーフエルフで、母は人間だったけど父も自分以外のエルフには、あまり会った事無いって言っていたわ。この国では、それが普通だけど他の国では、どうなのかなって昔から疑問だったのよ。エルフって、ここままじゃ絶滅しちゃうんじゃないかなって不安なのよ。あなただってエルフ何だし、そう思わない?」
「そ そうね…でも、だからってシルファさんに、そんな個人的な事、聞くのは、マナー違反でしょ?」
ウリシュクは、妖精だけどね。
ウリシュクもそれは、理解しててちょっと焦ってるな。
「…そうよね うん冒険者の生い立ちや、過去は、詮索しないのが、ギルドのルールだもんね…うん私が悪かったわ」
リットがシルファの生い立ちを聞くのを、諦めてくれた。
危なかった…シルファの設定は、MMOのゲームの設定だから、この世界とは、まるで違うから混乱させるだけだしね。
詮索されないのは、ありがたいね。
「私の種族は、数万人居た国を持ってた。みんなエルフィン人。ここで言うエルフ族。でも国が滅んで散り散りに、みんななった。でも生き残りも結構居るはず。だから絶滅は無い。安心して」
おおい!せっかくリットがスルーしてくれそうだったのに、何言っちゃってんのかな、この娘は!!
「す 数万人!?エ エルフの国があった!?ほ 滅んだって…も、もしかして伝説のエルフの王国からシルファさんは、来たのですか!?」
「バカ!シルファ!!俺達の設定、言っちゃだめだろ!!混乱させるだけだっての!!」
俺は通信で、シルファに文句を言った。
「あ うん、そうだった…ごめん。ついこの子が、かわいそうで…私の世界ではエルフなんて大勢居たから…」
「まぁしゃあない、うまく誤魔化してくれよ」
「う うん、分かった。うまく誤魔化す」
そう言うとシルファは、リットに対して説明をフォローした。
「い 今のは秘密、ちょっと喋りすぎた。シークレットだから他言しないで」
「あ は、はい!ごめんなさい、こちらこそ根掘り葉掘り聞いてしまって…でも私達以外にも、エルフがまだ大勢居るって聞いて少し安心出来ました。ありがとうございます」
「良い。いつか時が来れば話す事も、あるかも。それまではがまんしてて」
「は はい!その時を楽しみにしてますね!」
リットは嬉しそうだ。
長年の悩みに、道筋が立ってホッとしたって
所か…でもごめん、この世界のエルフじゃないしシルファ。
リットの言う通り、この世界のエルフは、絶滅寸前なのかも…まぁ嘘でも希望が持てたのなら、そこは良いのかも知れない…かな?
次回は7月11日(土曜日)に更新です!(^^)




