第35話 シルファとデュランダルの召喚
「おお!人間の街も5千年ぶりです!ずいぶんと変わりました!」
ミリスが珍しそうにキョロキョロしている。
5千年前の街ってどんな感じだったんだ?
「…いつも人の誘いとかさ、断ってたの。だって変化していられる時間が、1日くらいだったし…仲良くなっても、人間ってちょっとしたらすぐ、年をとっちゃうしね…だから今は嬉しいよ」
そう言ってはにかんだ笑顔を見せるウリシュク。
そっか冷徹で人嫌いみたいな、ウリシュクの評判は、そう言った所からの誤解から来てるんだよな。
本当は、ウリシュクも友人が欲しかったんだろうな。
でも、変化して人でいられる時間が限られているから、深い間柄にはなれなかったんだな。
ウリシュクはけして人間嫌いじゃないんだ。
本当は寂しかったんだろうな。
ずっと命懸けで復讐の為だけに生きて来て…そりゃ友人が欲しくなるよな。
愚痴の一つも聞いて欲しい時だってあるだろ。
孤独が好きな奴も居るけど、ウリシュクはそうじゃない。
まともに話す事が出来る奴が、少なくて寂しかったんじゃないだろうか…
「大丈夫 これからはさ、どんどん俺から魔力吸っちゃって良いから、ずっと人化して友達バンバン増やそうぜ!」
「フフ ありがと。シグレってやっぱり優しいよね」
「おう!人に優しくしろって母さんに言われてるからな!ウリシュクみたいに良い奴には特に優しいぜ!!」
そう言って俺は、またサムズアップで笑顔をウリシュクに見せる。
「はいはい。あなたが、お人好しなのは、もう充分理解してます」
「何かお前バカにしてるだろ!何だよ!ナイスガイの俺を!!」
「ナイスガイです!シグレさん!ミリスは大好きですよ!!」
そう言ってミリスが腕に抱きついて来る。
「だろ?ウリシュクは分かってないよな?」
「はいはい じゃさっさと行くわよナイスガイとミリス」
「いや待て ナイスガイとか呼ぶなウリウリ、バカにされてるみたいで嫌だぞ?」
「誰がウリウリよ!あなたこそ変な、あだ名で呼ぶな!!」
そんなくだらない、言い合いをしてる内に俺達はギルドに到着した。
ギルド職員は聞いてたのか、すんなりギルドの応接室に通され、お茶とお茶菓子を出され、俺達はリットが帰るまで待機モードになった。
「でもタイミングが難しいわね。リット30分位で、帰るって言ってたけど正確じゃないでしょうし、さすがにリットの目の前でお二人を召喚するのも問題だしね…」
「そうだな…レオン、リットにマーカーしてギルドに到着したら教えてくれねーか?そしたらそこで召喚すれば時間のロスも少なくて済むだろ?」
「了解しました。ではリット様にマーカーを付けました。これでシグレ様の近くに来ればすぐに分かります」
「え!?レオンさん、マ マーカーって何です!?」
ウリシュクがレオンの通信に驚いて、そう尋ねた。
「地形などは3Dマップで表示出来ますが、生体反応は数が多い為、特定の人物をマーキングしておけば、どこに居るかは、簡単に把握出来る様になります。3Dマッピングの応用と思っていただければ、大丈夫です」
「はあ…す 凄い魔法ですね…そんな事まで出来るんですか。そ それも古代魔法の一種ですか?」
「正確には、そうでは無いのですが、そのご理解で大丈夫です」
うん まぁ本当は惑星探査用のシステム何だけどね。
言っても多分、分からないしな。
「な なる程…分かりました。ではリットがギルドに到着したら教えて下さい」
「了解しました」
そんなやり取りが、あった後40分位してから、レオンから通信が入った。
「リット様がギルドに到着いたしました」
「シグレ!」
「おう!じゃ二人共召喚っと」
するとカッと、まばゆい光と共に、二人が現れた。
本来なら、こんな演出は無いのだがウリシュクとミリスに二人を召喚してると信じさせる為にも、しょうがないのでとレオンが光のエフェクトを付けてくれたのだ。
うん まぁそれらしくて良いか。
「!?」
「おお!!」
ウリシュクとミリスが、驚いている。
まぁちょっと派手だったかな。
「へっチンケな部屋だな。俺様には似合わねーぜ」
「うるさい黙っててバカドラゴン、文句言うな」
シルファの分身魔法で、ついにデュランダルまで、こっちに出てこられた。
力は十分の一に、なってるみたいだが、こうして見ると結構こいつ威圧感あるな。
さすがは古代竜。
今は人の姿だけどね。
「よう!ホマ…シグレ!こうして見るとマヌケ面だな!」
そう言うとデュランダルが、俺の頭をワシャワシャと撫で回した。
「やめろ!バカ!子供扱いすんなっての!」
俺が、その手を払いのけて文句を言う。
「そう やめて。本当にあなたは礼儀を知らない。まず二人に挨拶。初対面でしょ?」
そう言ってデュランダルから、シグレアキラを抱き寄せてシルファが文句を言った。
「ケッ!偉そうに馬鹿女が」
「何?やるならやる。少し思い知らせる」
「ほぉ?俺様にかなうと?」
「ひっ!?」
「ええ!?」
二人が対峙すると、何かミシミシと、空気が震えている。
これが魔力ってやつかな?
しかしウリシュクとミリスが二人の魔力に怯えているぞ。
「やめろ!二人共!こんな所でケンカするなら帰らすぞ!!」
たまらず俺が二人に注意をした。
「ご ごめんシグレ…もうしない」
「へっ分かった分かった。さっさと登録しろっての」
二人共素直に俺の言う事を聞いた。
何か、俺に対しては二人共やけに素直だ。
何故だ?
シルファはまぁ分かるが、デュランダルは人の言う事を聞くタイプじゃないんだが、まぁ聞いてくれるなら良いんだけどね。
「ほら!二人に自己紹介しろ!こいつがデュランダルだ。粗暴で勝手な奴だが悪い奴じゃないんだ。怖がらせたら悪かったよ」
「誰が粗暴だ!誰が!!」
「いいから挨拶しろっての!」
「ケッ おう!お前がウリシュクにミリスか話は聞いてるよ。まぁこれから、このバカを助けてやってくれよ、ま よろしくな」
「あ、は…はい!デュランダル…さんですよね!あ あのアークデーモンにトドメを刺してくれたと!…なんてお礼を言えば…」
「ミリスです!通信では、お声を聞かせて、いただいたので正確には、初対面ではありませんが…あ、あのもしかして、あなたは龍族ではありませんか?」
「ん?龍族ってのは、ここのドラゴンの事か?」
「は はい!あなたからは、龍族独特の龍闘気を、か…感じますし…しかもとてつもない規模です!これは…マ マスターを、いえ元マスターを超えていますよ!?」
「そっか、そんなに俺の力が似てるのか。まぁ多分そいつらとは違う種の龍族だと思うぜ?俺様は、ドラグーンだからな」
「ド ドラグーン!?き 聞いた事ありませんが…し 新種の龍族の方なんでしょうか?」
「ま そんなとこだろ。細けえ事は気にすんなよゴーレム!」
「は はい!了解です!」
「あ、あのデュランダルさん本当に、ありがとうございました。一言お礼を言いたかったんです」
「ああ、あのクソ悪魔の事か?気にすんな。あんなザコいつでも倒せるだろ。恩に感じる程でもねーだろ」
「ええ!?でもシグレとシルファさんと、あなたで倒してくれたんですよね?シグレも死にかけたって…」
するとクルリと、デュランダルが俺に向き
直って、笑いをこらえながら
「そ そうだよな、こいつは、あのザコに殺されかけて…ププ…うんうん、こいつからしたら、あのザコも強敵ってわけ…だ…ププ」
今にも笑い出しそうに、デュランダルが面白そうに、俺にそう言った。
「お前…ちょっと強いからって調子に乗るなよ…」
イラッとして俺がそう言うと
「ちょっと?ククク…や やめろ…これ以上笑かすな…俺と今のお前じゃ話にならんだろ…ププ…ちょっと?プププ」
あ もぉ本当にキレそう、こいつの召喚戻そうか…
「二人共バカな事、言い合うのはそこまで。副ギルドの人が来る」
シルファが、そう言うと扉をノックする音がして
「入るわよウリシュク」
そう言って、リット副ギルド長が部屋に入って来た。
「!?」
魔力を感知など出来ないし、人の強さなど、まるで分からない、リットだったが、この
部屋に充満する、何やら圧迫感のある雰囲気は、リットでも感じられた。
それはとても敵わない魔物と対峙してる様な恐ろしく生命が、脅かされている様な、命の危機を感じる程の重圧だ。
それはウリシュクでも、シグレアキラでも、ゴーレムの専門家の少女でも無い、見知らぬ二人。
少女と青年から、ひしひしと感じられた。
これは覚えがある、感覚だ。
そうこれは、ギルドマスターと初めて会ったあの日に感じた強者の雰囲気だ。
戦闘の素人のリットでも感じられる威圧感。
間違いなく、この二人は強者だ。
しかもギルドマスター級の…いえ、もしかしたらそれ以上の…
「リット?」
少し金縛り状態だった、リットはウリシュクのその言葉で我に返った。
次回の更新は7月7日(火曜日)です!
よろしくお願いします!(^^)




