第26話 ゴーレムの仲間(1)
「…な 何だ!?この地響きは!?そ それにさっきの衝撃波は一体!?」
イングディ達は、アマランの街に向けて帰路に、ついていたが黄泉の沼地の方角から異常な衝撃波を感じて念の為その場所に留まっていた。
黄泉の沼地からは、かなりの距離があるがゴーレムとシグレアキラの戦いの余波は、こんな所まで届いていた。
「分からねぇ…だが多分、何者かの戦闘なのは間違いねぇな」
シーフのウックは、その異常な振動や衝撃波からすぐに状況を導き出した。
「う 嘘でしょ!?あんな遠くの戦いの振動がこんな離れた所にまで届く戦闘ってドラゴンでも居るって言うの!?」
キャロルが顔を青ざめながら、そう叫んだ。
「ド ドラゴンかどうかは、分からないけどさっきの空が光った衝撃波は、間違いなく魔法よ…桁が違うけど魔力を感じたからね…」
魔法使いのチャチャも戦慄して顔が青い
「あ あっちの方角って、まさか炎壊さんとシグレさんの向かった大岩じゃ!?」
ルフレが血の気が引いた表情で叫ぶ
「ま まさか炎壊達が、何かと戦っている!?」
リムジーが大盾を、小刻みに震わせながら緊張気味にそう言った。
「そ そんな!!私達も加勢しませんと!!」
そう言うとルフレは、すぐにでも衝撃のあった場所へ向かおうとする。
だがイングディは、それを制止する。
「いや…向かわん。俺達が行った所で、とても太刀打ち出来る感じではない。それにルフレが治療してくれたとはいえ皆ケガも完治していない。足手まといにしかならないだろう…俺達は、この事も報告しに、いち早くギルドに帰るのが最善だと思う…」
イングディが悟った様に、ルフレに返答した。
「そ そんな!私達は炎壊さんとシグレさんに、命を助けられたんですよ!?少しでも恩を返さないと!!」
ルフレが半泣きで、訴える。
「ルフレ気持ちは分かるけど、さっきの空を焦がした、あの魔法だって私見た事無い魔法よ?恐らく上級魔法か…もしかしたら、それ以上の…あれを炎壊さんが放ったか分からないけど、あのレベルの魔法戦なんかに巻き込まれたら私達なんて一瞬で灰になってしまうわ…残念だけど私もリーダーに賛成よ。私達は一刻も早く、この事をアマランのギルドに伝えて応援を要請するのが責務だと思うわ」
チャチャがルフレを説得する。
「そ そんな…少しでも助力になれば、きっと…」
力無く、ルフレがそう呟いた。
ルフレも前のシグレとウリシュクの戦いに何の助力も出来なかった事を、身にしみて分かっていたのでチャチャの言う事も大いに共感してしまっていた。
「その少しが逆に、あの二人の足手まといになると言うんだ。お前も本当は理解してるだろう?ハッキリ言って俺達は邪魔にしかならない。イングディの言う通りアマランに戻ってギルドに増援を呼ぶのが彼らの助けにもなる最大の方法だ」
ウックもルフレを説得する。
「…はい…わ 分かりました」
納得してはいなかったがルフレにも、力の差は実感していたので反論は出来なかった。
「良し!それじゃ走るぞ!!少しでも早く
アマランに帰るんだ!!」
「おう!!」
「はい!」
「分かった」
「そうね!帰りましょう!」
最後に力無く
「はい…」
と、ルフレの返事を聞きイングディは
「良し!帰還!!」
と、叫び先頭を走り出した。
皆も続いて走れる限りのスピードで後を追う
「シグレさん…」
ルフレは少し振り向いたが、気持ちを切り替えて皆の後に続いた。
「うーんイマイチだな。まぁシグレアキラの今の実力じゃこんなものか」
本来のソウルブレイカーは魂を砕き地を割り星を斬る、と言う設定だ。
これではその威力の足元にも及ばない。
「フ フフフ み 見事、我がミスリルの身体を、こうもあっさりと真っ二つにするとは…」
するとゴーレムの割れた身体から光る石の様なソフトボール位の塊がフワフワと出てきて話しかけて来た。
石から魂を感じる。
恐らくこれがゴーレムの本質と言うか核なのだろう。
「お前の、その石が魂だと思ったから、外して斬ったけど大丈夫か?」
「フ…あの戦闘の中で、この小さな核をあえて外し斬られたと言う事か…なる程、最強の技と言われておりましたが、かなり手加減をされた、ご様子…まいりました」
「うんまぁさ、お前あの技気迫こもってたからさ多分全て出し切った最大の技だったんだろ?ならよ俺もそれに答えないと失礼かと思ってな。でも全力で技撃ったら、お前消し飛んじまうからさ悪いけどセーブして撃たせてもらったよ」
「フフフ何を謝る事が、ありましょうか。全力で撃たれなかったのは、確かに戦士としていささか残念では、ありましたが、それは我の命を思われての所業。シグレ殿の優しさに感服次第でございましょう」
あれ?なんかこいつ口調が敬語に変わってないか?
「お前核だけで生きていけるの?身体斬っちゃったけど…」
「はい問題ございませぬ。これにエネルギーを補充して、いただければ器など何でも大丈夫でございます」
「ではホマレ様、光生命体に光エネルギーを補充いたしますが、よろしいでしょうか?」
レオンが俺に問い正す。
「うんOK こいつ戦って分かったけど、悪い奴じゃ無さそうだし問題ねぇよ。やってあげてくれレオン」
「感謝いたします!新しいマスターよ!!」
「へ?マスター?」
何かゴーレムが変な事を言っているが
「ではエネルギーを光生命体に補充いたします」
レオンは気にせずゴーレムにエネルギーらしき物を注いだ。
「お おお!!こ これは、何と純度の高き魔力!!こ…これなら!!」
ゴーレムが歓喜の声を上げたと思うと輝き出す。
カッと一段と光り輝いたかと思うと、それは収束して一人の人の姿が出現した。
いや、子供…?
「なんて純度の高い魔力なんでしょう!おかげ様で肉体まで構築出来ました!マスターシグレアキラ様!!」
「ええ!?お前その身体⁉それ人間になってない!?そ それにお前の身体ってミスリルじゃないの!?」
俺は驚いてゴーレムの身体を触ってみる。
柔らかい…人間の肉体に間違い無い。
「ええ!?ゴ ゴーレムの魔核が、に 人間になったわよ!?ど どうなってんのよ!!シグレ!!」
ウリシュクが慌てて駆け寄って来た。
「我は元々、この身体が素体です!戦闘時にあの巨体を召喚して核を移し戦うのが魔導兵装ゴーレムの仕様になってます!今までは魔力が枯渇寸前だったので戦闘体である、あの身体で休眠しておりました!おかげ様で通常の仕様に戻る事が出来ました!」
今までのゴーレムで戦ってた時の野太い声から、この姿になってからは、めっちゃ可愛らしい声に変わってる。
「ええ!?お前人間になれんの!?て 言うか、なったとしても、あの声ならオッサンだろ!!どう言うこっちゃ!!」
「姿など、どうとでも変われます!シグレアキラ様の年齢に合わせた人間族の姿に変えただけです!前は中年の人間の男性の姿でした!」
「恐らく休眠時は、あの形態で身を守るためにも、あの巨体で休眠して居たのでしょうがやはりあの巨体を維持し続けるのはコスパが悪いのでしょう。本来なら戦闘時のみの形態だと思われます。なので普段はエネルギー効率の低い人型の素体で居るのが効率が良いのでしょう」
レオンが俺に説明した。
「な なる程な。確かにあの巨体じゃエネルギーを身体動かすだけでも、かなり使いそうだしな。理にかなってるって事か…」
「私、文献で読んだ事があるよ!古代には人の姿からゴーレムになる特殊なゴーレムも居たって、まさか本当だったのね!!」
ウリシュクが感動して、マジマジとゴーレムの身体を見ている。
次回は6月6日(土曜日)に更新です!
よろしくお願いします(^^)




