第19話 僧侶ルフレの懇願(2)
「き 気持ちは、ありがたいけど、あなたいくつ?さっきも言ったけど銅級くらいじゃアンデッドには太刀打ち出来ないのよ?あなた死んでしまうわよ?」
女の子は半泣きで俺にそう言った。
「だからよ誰も助けてくれそうにねぇんだろ?急いでんなら早く行かねぇと仲間もやべぇんじゃねぇのか?さっさと案内しろって!」
急かす様に俺は女の子にそう言った。
「でも…」
女の子は明らかに戸惑っている。
まあ無理も無い。
シグレアキラは好感を持てる奴だが見た目は14才の只の生意気そうなガキだ。
とても頼りがいのある人物には、ちょと見えないだろうな。
「大丈夫よルフレ。この人達ならさっきの人達よりよほど頼りになるから安心して!」
「あ!シンラさん!!」
受付から数名の職員らしき女の人と騒ぎを聞いていた冒険者が集まって来た。
「この人は、あの炎壊よ。今アマランのギルドで一番頼りになる冒険者と言って良いわ!」
シンラと言われた20代前半位の若い職員が胸を張ってウリシュクを指さした。
「ちょ ちょと!私はこの子を助けるなんて一言も言って無いわよ!」
ウリシュクが文句を言う。
「ガハハ!ウリシュクさん、すまねえな!今は急を要するんだ!助けてやってくれねえか?」
すると見知った顔のギルド職員ガイルが話しかけて来た。
「あんたねぇ私はすでにリットから依頼を受けてるのよ?二重依頼はアマランでは禁止じゃ無かったかしら?」
「ガハハ!そりゃ緊急事態なら許可されるんですよ!ましてやウリシュクさんなら護衛の依頼までの二日でアンデッドを一掃してすぐ帰って来れますでしょ?」
「まったく調子良いんだから、ぬるい規約よね…」
ウリシュクが呆れて答えた。
「リットさんには私から言っておきますので大丈夫ですよ!いやむしろウリシュクさんなら、こいつら若手のパーティの命を助けられる唯一の冒険者ですよ、お願いします!助けてやって下さい!」
ガイルが真剣な顔になっておじぎをした。
心底冒険者を心配しているんだろう。
良い人だな、この人。
「私は若かろうがベテランだろうが、依頼を受けたからには、その冒険者が、どうなろうと知った事では無いわ。でもね…」
チラリとウリシュクが、俺を見る。
「この、おせっかいがそれだと一人で行き兼ねないから、仕方無く連いて行くだけよ勘違いしないでねガイルこんな事これっきりだからね!」
面倒くさそうにウリシュクがそう言うと
「フフ やっぱり、あんたはそう言う人ですよね!ありがとうございます!」
満面の笑みでガイルがウリシュクに答えた。
「もう!だから仕方無くよ!勘違いすんな!」
「ガハハ!分かってますって!!」
ガイルは心底嬉しそうだ。
「では、すぐに馬を用意しますんで!!」
そう言ってガイルが職員に指示を出す…が
「いや急いでるんならバイクで行こう」
「バ バイク?そりゃなんだ?」
俺がエアバイクの事を話そうとすると
ウリシュクが止めた。
「ギルド職員に、あれを知られたら色々と面倒だから黙ってて」
ウリシュクが、そう言って俺を止めた。
確かに、この世界ではオーバーテクノロジーの機械を、ホイホイと見せるのも知られるのもマズイかも知れない。
特にギルド職員なんかに見せたら出所を聞かれたり、なんでそんな物を持ってるのか問い詰められそうだ。
「分かった。じゃあ早く街を出ようぜ!ええっとあんた名前は?」
「え?あ はい!私はルフレ!銅級冒険歴三ヶ月の新人冒険者です!よ よろしくお願いします!ま まさか、あなたがあの炎壊のパーティの一員だったなんて知らなくって、ご ごめんなさい、色々失礼な事言って…」
半泣きでルフレと言った女冒険者は俺に謝った。
そしてウリシュクをマジマジと見つめる。
「あ あなたが国でも有名な金級冒険者のえ 炎壊さん…何ですね!つ 常々お噂は聞いてます!私達魔法使いの憧れです!で でもエルフだとは聞いてましたが、こ こんなに幼いなんて…私とあまり歳は変わらない感じですよね…いえ、もっと年下に見えますけど…ガイルさんやシンラさんが言うんだから間違い無いですよね…でも幼すぎで…」
「うるさいわね!私の見た目なんてどうでも良いでしょ!急いでるんなら走る!さっさと街の外に行くわよ!」
「ウ ウリシュクさん!?馬を使わねえと、あの沼地までは結構な距離がありますぜ?ま まさか走って行くんですか!?」
「うるさいわねガイル!私を誰だと思ってるのよ!高速で移動出来る、つてがあるから馬は用意しなくて良いわ!ほらルフレって言ったかしら?とにかく街の外まで走りなさい!!」
「は はい!ありがとうございます!!」
するとルフレは、典型的な女の子走りで走り出した。
杖を持って大きめのリュックも担いでるのもあって、相当遅い。
街の出入口までは結構あるし、10分はかかってしまうかも知れない遅さだ。
見かねた俺はルフレごとリュックも持ち上げて
「それじゃさっさと行こうか」
「ふぇ!?」
持ち上げられるとは思ってなかったルフレは変な声を出して驚いた。
「シ シグレあんた凄い力ね…」
ルフレを持ち上げてる俺を見てウリシュクも驚いてる。
シグレアキラは設定上、人間離れした力も持っている。
これくらいなら何も問題は無い。
「そんじゃ移動すんぞ!」
「ヒ ヒエエエ!!」
ルフレが悲鳴をあげるが俺は気にせず街の門までダッシュする。
「あ!こら!私を置いていくな!待ちなさいシグレ!!」
ウリシュクが全力で俺の後を追いかける。
結構ウリシュクも足が速い。
俺は全力では無いが、かなりのスピードで走ってる。
それに追いつけるなんて、さすがはこの世界で金級と言われる冒険者だ。
「み 見たか!?あのガキ、ルフレを荷物ごと担いで走り去りやがった!!」
「き きっと物質の重量を操作する系の魔法よ…凄い…そんな魔法使えるなんて、さすがは炎壊のパーティメンバーね…」
それを見ていた冒険者達も騒ぎ始めた。
「す…凄いですね!ルフレをあんなに軽々と…あれもウリシュクさんの魔法でしょうか?」
シンラと言ったギルド職員がガイルに尋ねた。
「ああ多分な…でもウリシュクさん魔法を使ってる素振り見えなかったから…もしかしてあの小僧の魔法なのかも知れんな…フフさすがはウリシュクさんの弟子だな」
「え!?あ あの男の子、炎壊の弟子なんですか!?ど…どうりで…あの感じならウリシュクさんの足手まといには、なりそうに無いですよね!これならルフレ達を助けてくれますよね!」
願う様にシンラはガイルに聞いた。
「ああ大丈夫だアンデッドや死霊ぐらいなら炎の魔法の達人のウリシュクさんの敵じゃねえさ。ルフレ達も運が良いぜ、たまたまウリシュクさんがアマランに居てくれたお陰で命が助かるんだ運が良いのも冒険者の資質だ。あいつらは冒険者に向いてるのかもな!」
そう言ってガイルはギルドの建物に戻って行った。
「本当にそれなら良いんだけど…お願いしますウリシュクさんと男の子!ルフレ達を助けて!!」
シンラはそう言って俺達の走り去った方向を見てお辞儀をした。
次回は、5月12日(火曜日)に更新です!
アークデーモン戦以来の次回は戦闘になります。ご期待ください(^^)
毎週火曜と土曜日の週に2回更新になります。
覚えてもらえると嬉しいです!(^^)




