第15話 ウリシュクの形見(2)
「な なる程のぉ。我らドワーフには分かる理屈だな。確かに我らが武器を造る時は、一つ一つに、魂を込めて造るからの。だがそれは、あくまで比喩に過ぎん。本当に石に魂が籠るのは、初耳だぞ…」
ちょっとギルムが引いてますね、これは…
「しかしこれでは、武器が調べられんな。おしいな、ぜひ調べたいんじゃが…」
ギルムが残念そうにつぶやく。
「うーんじゃ、俺がワンドを説得してやるよ。ギルムはウリシュクの友達だから触らせてやれってさ」
そう言って俺は大事そうに、抱きしめているウリシュクからワンドを借りた。
「か 会話出来るの!?」
「ああ俺の造った武器限定だけどな…良し、いいってさ。でも滅多に俺かウリシュク以外の人に、触らせないでくれだってさ」
「う うん!絶対そうするよ!!」
コクコクと力強くウリシュクが、頷く。
「そんじゃ調べて見てくれギルム。ほい」
俺はワンドを、ギルムに手渡す。
ビクビクしながら、指でつついたりして熱さが無いか、確認し大丈夫と分かると、少し興奮気味に色々な道具を使って、ワンドを調べだした。
少ししてギルムが、口を開いた。
「こ…こいつは凄いなんてもんじゃねぇぞ…硬度もミスリル級。並大抵の武器じゃ、このワンドに傷一つ、つ つけられんぞ、それに元々火の魔力が付加されとるっちゅうに、更に魔力を、こ 込められる仕様じゃな…お 恐らくそれの上限が見えん…家の計器では、測りきれん…つまりウリシュクの全力の魔力でもワンドに込められるだろうて、そいつはとんでもない事じゃ、金級のウリシュクの魔力が数倍に、なるっちゅう事だ…お お主、とんでもなく恐ろしい武器を造りおったな…」
ギルムやっぱりかなり引いてる…そんな常識はずれの武器になったのか?でもシグレアキラの専用武器に比べたら、大した事無い性能で、これぐらいなら幾らでも造れるんだけどな…
「お主この短剣は、手を抜いて造ったのか?これはこれでとんでも無い性能だが、そのワンドに比べたら、相当質が落ちるぞ?そのワンドは恐らく国宝級の武器だ。そんでこの短剣は、金級冒険者用に、なるぐらいの特級武器だな」
「ええ…金級冒険者用の短剣て…それ全然価値が低く無いじゃない…」
ウリシュクが呆れて言った。
「誰が、この短剣が価値が低いなんて言った?あくまでそのワンドと、比べたらと言う話じゃ」
「ああ えっとな鉄の質は良かったけど、俺が結構いい加減に造ったから、魂なんて無いぜ、その短剣はさ。誰でも使えるだろうな。だからそんなに、持ち上げなくて良いぜ、それ」
「ふんドワーフは、お世辞は言わん。事実を述べただけだ。…しかし手を抜いて、このレベルの武器を造れるなんて…本当に、お前さん何者なんだ…?」
「ギルムそろそろ良いでしょ?ワンド返して」
「あ うむ、ありがとうな。一日に二度も、この様な武器に出会えるなんて…生きていると面白い事が起こるの!」
終始仏頂面だったギルムが、少しだけ笑顔を見せた。
「でも本当凄いよシグレ、あなたは多分武器屋になれば、一生お金には困らないわよ?」
「はは ガラじゃねーよ」
俺は、笑いつつ、ウリシュクに答えたが、お金に困ったら、一つの手段として、それは使わせてもらおうと、心のメモに、しっかりと記入しておいた。
「そうじゃなアダマンタイトも、お主が、この短剣級を後10本も造ってくれれば、譲っても良いぞ?そのワンド級なら一本で譲るぞ?」
ギルムが真剣な顔で、俺に尋ねた。
「そうよね、わざわざ私の依頼に付合わなくても、大丈夫じゃ無い?」
「え?だって依頼は、こなさねーと俺が冒険者登録出来ねーだろ?それに断ったら、お前の評価落ちちゃうんじゃねーか?依頼は受けるって。アークデーモン探すんだろ?仲間じゃねぇか。付き合うって」
何だか殊勝な事を、ウリシュクが言ったけど、とにかく今は目標も無いし、金もねーけど仲間を助けるのが、このシグレアキラの性格だ。
みくびってはいけない。
少年誌用の主人公は仲間を簡単に見捨てないのだ。
するとウリシュクは、少し赤くなって
「うん…ありがと…」
と言って後ろを向いてしまった。
照れ可愛いな、こやつ。
本当にロリコンキラーである。
「まぁ良い。シグレアキラと言うたか。お前は、この店にいつでも来店して良いぞ?認めてやる。お主は、我らドワーフにとっても特別だ。いつでも来るが良い。歓迎するからの!」
「ああ、また来るよ。とりあえずアダマンタイトを買いに依頼が終わったら、寄るからさ絶対それ売らないでくれよな!」
「分かっとるよ!ドワーフは約束を守る!安心して登録して来い!」
そう言って俺達は、雑貨店ヨリシロを出た。
「それじゃ、ちょっと遅くなったけど宿屋を探しましょうか」
ウリシュクは大事そうにワンドを、かかえている。
「それ邪魔じゃね?使う時まで船に転移してしまっとくか?」
「ううん…いいの、これはこれからずっと、身に着けておきたいのよ。後で収納ケースを買っとくわ。それまでは手で持ちたいの」
「…あのさ、喋りたくねーなら良いんだけどさ、それって母親の形見なんだっけ?」
「…うん殺された母様の使っていた国宝のワンドなのフェアリーダストって言って、凄い武器だったんだから…」
そう言ってウリシュクは悲しい笑顔を俺に向けた。
「本当にありがとうシグレ…命を助けられて母様の形見まで造ってくれて…あなたには借りばかりね…」
「気にすんなって、助けたのも今回のワンドだって、大した事じゃねぇよ、俺達は仲間だろ?いちいち気にすんなっての!」
そう言うと俺は、渾身の笑顔をウリシュクに向けた。
「フフ 何その顔。変な表情w」
渾身の爽やか顔が、スルーされた後、俺達は街でも少し高そうな宿屋で二部屋を借りて、その日は夜を迎えるのだった。
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