第14話 ウリシュクの形見(1)
しかし、俺はそこでハッと気が付く。
アークデーモンとの戦闘の時、このシグレアキラの武器が無かった為、素手で対処せざるおえなかった事を
「そうだギルムさん、この店に鉱石で、ミスリルとかダイヤとかねぇかな?無ければ、今の鉄の塊でも良いんだけど2~3個売ってくれねぇかな?」
「ん?何だ、またそれで短剣でも造るのか?良し!なら高く買い取ってやるぞ?」
「あ いや違うんだ。俺今、武器を持ってなくってさ。今回の依頼の為にも2~3個、剣を造っておこうと思ってさ自分用だ」
「え?シグレ武器無しでアークデーモンと戦ってたの!?」
ウリシュクが驚く。
「ああ、そんでアークデーモンとの戦いでは苦戦したんでな。良い機会だから準備しとこうと思ってさ」
「ア アークデーモンだと!?まさか深淵の森に居るあいつか!?た 倒したのか!?」
ギルムが驚愕している
「まぁその話は、おいおいするからさ。ギルドからも発表があるから後で聞いてね。で シグレは武器が欲しいのね?この店で売ってるのじゃダメなの?」
「…うーん良い武器だと思うんだけど、俺用の武器としては使いづらいかな。魂…いや魔力を込めて、俺は武器を使うからさ、素材から俺用に調整して造った方が、強い武器を造れるからな」
「そうか、あいにくミスリルのキューブは切らしとる。魔石ならあるが?」
そう言って、ギルムはカラフルな色の魔石を5〜6個俺達に、見せた。
「あら凄い!炎の魔石に土の魔石じゃない!どれも一級品ね!さすがはギルム良い品揃いだわ!」
ウリシュクが褒め称えた。
「へぇこれが魔石か。何だっけ?魔力を帯びた珍しい石だっけ?」
俺がウリシュクに尋ねる。
「そうよ、只の石でも理由は分からないけど魔力が籠る場合があるのよ。それが宝石とかに、籠れば値段は釣り上がるわ。私達は、これから魔力を抽出して一度だけ自分の魔力量に関係無く魔法が使えるのよ。魔法使いにとっては、とっても役に立つ代物ね」
確かに、この石からは魔力と言うか何かを感じる気がする。
「こいつで武器は、造れるけど俺用の武器にするなら、元々魔力の籠ってない状態の方が造りやすいかな。魔力が初めから入っちゃってると、俺の魔力を入れにくそうだしな」
「え!?嘘!?これから武器を造れるの!?じゃ、じゃあ私用のワンドを造ったりとか…出来る?」
ウリシュクが俺に詰め寄った。
「あ ああ。でもお前の魔力と、この石の魔力が干渉しねぇか?使いづらくなるだけじゃ…」
「先のアークデーモンとの戦いで、私のワンドが壊されて、困ってたのよ。この店に来たのも、それを探しに来たってのもあるのよ。でもシグレが造ってくれたら凄いのが出来そうだし、試しに造ってみて!」
そう言うとギルムから炎の魔石を取り俺に渡した。
「いや 勝手に良いのか?ギルムさんに、お代も払ってねぇだろ?」
「ギルムで良い。呼び捨てでかまわん」
「え?そ そう?じゃあギルム良いのか?勝手に使っちゃって」
「問題無い。後でウリシュクに請求すれば良いだけの話だ。ウリシュクは金払いが良いし、お得意さんだからな。ある程度ここの物は自由にしても一向に構わん」
信頼されてんな。
3年ぶりに来たって聞いたけど、ウリシュクとは長い付き合いなんだろうな。
お互い長寿らしいしエルフとドワーフは。
あ ウリシュクは妖精だった…まぁ長寿なのは同じか。
「それにお主のアルケミストとしての、その武器精製技術は、とんでもない代物だ。そんな精製をまた見れるだけで、貴重な体験になる。構わんからやってみせろ」
アルケミスト…て言うか、そう言う設定なだけで、ここの世界のアルケミストと誤解されるのも、本物に何だか悪い気がするけど、まぁシグレアキラの、このスキルは説明が難しいし、今はそれで良いか。
「分かった。えーと、それじゃ人の武器ならどういった形にするかとか色々考えて精製しなきゃダメだし、ウリシュクちょっと頭にイメージしてみてくれ。それを読み取って精製するよ」
「え!?何それ!?あなた人のイメージとか見れるの!?」
「いや ソウルウエポンを使用してる時だけだ。任意の情報しか読み取れねぇから、安心してくれ。だけどどんな武器にしたいかは強くイメージして欲しい。そうすれば俺が読み取りやすいからさ」
「はぁ!本当に凄いの小僧!人の心まで読み取れるとは…精神魔法系も使えるっちゅう事だな!」
精神魔法?そんなもんもあるんだ、この世界では。
まぁ分類したらこのシグレアキラの能力は、それに近いかもしれないな。
「それと、この石には元々、火の魂…いや魔力が入ってるから、こいつとウリシュクの魔力を同調させるしかねぇけど良いか?」
「ええ、私、炎壊とか異名付けられるくらい炎の魔法は一番の得意魔法なのよ。火の魔力が付加されるなら私の力が、かなりUPするはずよ。願ったり叶ったりね。それで大丈夫よ」
「分かった。ならイメージしてくれ。それを俺が形にする」
「う うん」
そう言うとウリシュクは、目を閉じて集中している。そんな二人をギルムも緊張気味な表情で見つめてる。
「…良し!じゃあ精製するぞ」
「え?もう?」
ウリシュクがキョトンとしている。
スッとウリシュクの思考が、俺に入って来るのを感じた。
ちょと変な形で俺の思っていたイメージのワンドでは無かったが、まぁウリシュクが良いなら、それで良いんだろう。
これはウリシュクの武器なんだし。
俺は捉えたウリシュクのワンドのイメージをソウルウエポンで精製した。
七色の派手目のエフェクトが出て、ウリシュク専用のワンドが完成する。
「おお!!」
ギルムが驚嘆の声を上げた。
「う…嘘…こ これフェアリーダスト!?」
ウリシュクの声が少し震えている。
「え?イメージと違ったりしてないか?これでウリシュクのイメージ通りだと思うんだけど…」
ウリシュクの態度に、少し不安になってワンドを手渡す。
「う ううん!そんな事…そんな事無いよ!す…凄い…これ失われた国宝のワンド…
フェアリーダストよ!!」
ウリシュクの目から涙がこぼれる。
「だ 大丈夫かよ!?」
俺は心配になってウリシュクに尋ねる。
「ありがとうシグレ…これは本物じゃ無いけど母様の形見なの…また会えるなんて…」
そう言うとウリシュクは、愛おしげにワンドを抱きしめた。
「そ そうかイメージ通りなら良かったよ。違ってたらさ、カッコ悪かったじゃん?」
俺は、そんなウリシュクを見て自分の造ったワンドに、こんなに感動してくれた事に、少し照れながら軽口を叩いて照れ隠しをした。
「す 凄いのウリシュク!わ わしにも、そいつを少し触らせてくれんか?」
「あ うん、そうね性能もギルムなら調べられるもんね。お願い」
そう言うとウリシュクは、少し名残惜しそうに、ギルムにワンドを渡す。
ワンドを手に取ったとたんギルムは
「熱っ!!」
と、言ってワンドを離して落としてしまう。
「ちょ ちょっと!大事にしてよ!って…え?熱なんて無いでしょ?」
「あ ああ!無かった…だからこいつは魔石のイメージが、わしに幻覚を見せたんじゃ…み…見ろ、物凄い熱を今感じたのに、触ったわしの右手になんのヤケドも無い!」
そう言ってギルムは右手をウリシュクの目の前でヒラヒラとさせて、確認させる。
「うーん多分ワンドは、ウリシュク専用に精製したから他の人間に触られたく無かったんじゃねぇかな?」
「何だと!?こいつは武器なのに、意思を持ってるとでも言うのか!?小僧!!」
「ああ。物には、魂が宿る時があんだ。そのイメージが強ければ強い程な。俺はそれを武器として、精製出来んだ。ウリシュクのイメージは、相当強かったからな。元々の魔石の性質も良かったし、それがうまく合わさった感じだ。良い武器が出来たよ」
俺は、シグレアキラの設定を説明した。
まぁ漫画の中の設定だったんだけど、さっきのいい加減な短剣じゃ無くて、本当にちゃんとした武器が造り出せて、少し実は俺もビックリしてたのは内緒だ。
次回は4月25日(土曜日)0時に更新です!
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