第10話 ギルドでからまれる
リット副ギルド長と別れた俺達は入って来た扉を出てさらに違う普通の扉から、またギルドの建物に入って行った。
お金は必要最低限しか持ってないので3年ぶりにギルドに預けているお金をおろしにギルドの会計に頼むと言う事らしい。
さっき入って行った魔力で開ける扉はギルドでも特別で上級冒険者専用の入口らしい。
どうりでギルドの幹部であるリットがすぐ出て来た訳だ。
通常の冒険者では、あの扉を開けれない者も多いらしいが、こっちの扉には何の細工も無く普通に開けれた。
扉を入ると学校の体育館くらい広い部屋に数十人程の冒険者らしき者達が壁のボードに貼られている冒険者への依頼書を見たり受付のギルド職員と交渉してたり冒険者通しの情報交換をしてたりと様々な人間が大きめの、この部屋にごった返していた。
正直熱気が、さっき入った部屋に比べて凄い。
さっきは数名のギルド職員しか居なかったし俺達以外の冒険者らしき人間も居なかった。上級冒険者専用の受付の部屋なんだと言われれば確かに納得だ。
それに比べてこちらの部屋は人の多さもあって熱気と賑やかさが違う。
俺としては、こっちの方が楽しそうで好みかな。
そんな事を考えながら俺達が部屋に入って行くと
「何だ?なんで子供がこんな所に入って来るんだ?」
「おいおい、ここはいつから育児所になったんだ?」
「誰かの弟子か見習いじゃねーのか?まぁそれにしても、あんな年齢の子供がここに来るのは珍しいがな」
「依頼者じゃねーの?」
「にしても普通子供だけで来ねーだろ」
などと俺達は注目を浴びてしまっていた。
そう言えば俺の見た目は14才の男子中学生くらいだしウリシュクも小柄でパッと見中学生…いや下手したら小学校高学年くらいにも見える…二人共確かに大人には見えない。
そんな二人が、ここに入って来るのは、いささか場違いなのかも知れない。
しかしそんな事は、全く気にせずズカズカとウリシュクは受付のある奥へと進んで行く。
俺もそれに続いた。
するとウリシュクが立ち止まった。
ウリシュクの前には足を出して椅子に座っているガタイの良い冒険者らしき人物がニヤニヤと俺達を見つめている。
20代後半か30代位のおっさんで鎧を着込んで帯剣している。
そんな人物が4~5人テーブルを囲んで、たむろしていた。
いわゆるこれは絡まれている感じかな?
うーむなんてテンプレな展開だ。
「なんのつもり?」
無表情でウリシュクが足を投げ出してる男に尋ねた。
「おいおい、それが目上の人間に取って良い態度か?ここは、お前らみてぇなガキが来て良い場所じゃねぇんだ」
「そうだそうだ!帰れクソガキ共!!」
周りに居た冒険者達も賛同して煽って来る。
しょうがねぇなと思い俺が前に出ようとするのをウリシュクが手で止めて
「だとしたらそっちこそ態度を、あらためるべきじゃない?」
「なんだと!?どう見たってお前は子供だろ!!」
すると周りに居た仲間がウリシュクの耳に気がつく。
「まてジェネット!こいつはエルフだ!!」
「何!?」
ざわつく一同。
「分かったら足どけて隅っこにでも隠れてなさい。でないとその失礼な足ごと消し炭にしてあげるわよ?」
「ち!なめんなよ!俺はもう少しで銀級に上がる銅級でも上位の冒険者ジェネット様だぞ!?エルフごときになめられてたまるかってのよ!!」
そう言うとジェネットと言った男は剣に手をかけた。
「あら?やる気?ギルド内での暴力沙汰は禁止されてるけど降りかかる火の粉なら払うのが、この世界の礼儀ですものね」
するとウリシュクは片手をかざして炎を少し発生させる。
ドッジボールくらいの炎の玉だ。
「ま 待てジェネット!こいつ魔法使いだ!!マズイぞ!!」
「馬鹿が!いくら魔法使いだって、この距離なら詠唱が終るより俺の剣のが早いだろ!!そんな物出したんなら後にはもう引けねーだろ!腕の一本位は覚悟してもらうぜガキ!!」
確かに、この距離なら男の斬りつけるスピードの方が早いかも知れない。
俺はウリシュクを、かばう様に前に出る。
「お前からやられてぇか!容赦しねぇぞ!ガキ!!」
男は抜剣して俺に迫る。
しょうがねぇなと思い俺が対処しようとしていると
「やめろ!!馬鹿共!!ギルド内での暴力沙汰は禁止だろ!!どうしてもやるんなら外でやれ外で!!」
ドスの効いた声で初老のギルド職員らしき男が俺達に怒鳴りつけた。
「だ だけどよガイルさん!このガキ共が俺達を!!」
「だけども、へったくれもあるか!!規則が守れねえってんなら、てめえらの冒険者の資格を剥奪しても良いんだぞ!!」
威勢の良かったジェネットと言う冒険者が尻込みしてるのが分かる。
この初老の人かなりの凄みがある。
ヤ○ザかと思ったわ実際。
「久しぶりねガイル。ちょっと見ない間にまた老けた?やっぱり人間って不便よね」
ウリシュクが初老のヤ○ザに話しかけるとガイルと言った男はギョッとしてウリシュクを凝視した。
「お お前は…い いや、あなたはまさか!ウ ウリシュクさんか!!久しぶりだな!!」
ガハハと大声で笑いウリシュクの肩を叩くガイル。
「痛いって!相変わらず馬鹿力ね!」
迷惑そうにウリシュクが、その手を払った。
キョトンとしてる冒険者達にガイルと言った男は答えた。
「お前ら命拾いしたな!この人は炎壊だ!!お前らとは格が違う!!謝れば命までは取られないぞ!この方は慈悲深いからな!さあ!さっさと謝れ!!」
「え 炎壊!?炎壊ってまさか!?」
「う 嘘だろ!?あの炎壊!?このギルドでも…いやこの国でも3人しか居ない金級の上位冒険者の!?」
「炎の魔法は魔物を一撃で消し炭にしちまうって言う噂の!?」
「た 確かに情報じゃエルフって話だけど、こ こんなに幼い見た目なのかよ!?」
ザワザワと当事者以外の周りに居た冒険者達も騒ぎだした。
ウリシュクってもしかして有名人なのか?
「ほれ!命が、おしかったら謝らんか貴様ら!!」
「ク クソ!なんで俺様が、こんなガキに!!」
初めに絡んで来たジェネットと言う男は納得してなかった様だが
「ば、馬鹿野郎!ガイルさんが言うんだ間違いねーだろ!!」
「お、俺は金級の冒険者と揉めるなんて冗談じゃねえぞ!!」
「す、すんませんでしたガイルさん!じゃ俺達は、これで!!」
絡んで来たジェネットとか言う男は謝って無い気がしたが仲間と思われる5〜6人の男達に連れられ
ジェネットとか言った男はギルドの建物から去って行った。
「それで何用ですか?珍しいですよねウリシュクさんがギルドに来るなんて、あ!すぐにリットさんを呼んで来ますよ!喜びますよウリシュクさんがギルドに来たなんて聞いたら!」
ガハハと大きめの声でガイルと言ったその人は笑った。地声が大きいせいか普通に喋っても目立つ声量だ。
「もう会って依頼を頼まれたとこだってば、それより出金したいから手続きしてガイル」
「なる程!おい!すぐ会計士を呼ぶんだ!ウリシュクさんの出金だ!!」
ガイルは大声で他の職員に指示を出す。
「は はい!分かりました!!」
慌てて職員が動き回った。
ガイルのおかげで余計なトラブルは、どうやら回避出来たみたいだ。
するとツンツンと、ウリシュクが俺をつついて
「馬鹿ね私を庇おうとしたでしょ?」
と呆れ顔で言った。
「いや だってよあいつ剣を抜いたろ?危ねえと思ってさ」
「あれくらいの奴。近寄る前に炭に出来たわ。私の詠唱は高速詠唱だから2秒で魔法発動出来るのよ?相手になんて、ならなかったんだから」
「なる程な。でもよ仲間に剣を向けられたら黙ってられねーだろ?」
俺がそう言うとクスッと笑ってウリシュクが答えた。
「本当に、あなたってお節介なのね。まぁでも一応お礼は言っとくわ。ありがと♡」
そう言うとウリシュクは片目をつぶってウインクして来た。
なんだかとても満足そうな顔をしている。
しかし相変わらずの小悪魔的と言うか破壊力のある仕草だ。
俺がロリコンでなくて本当に良かった。
しかしロリコンで無くてもキュートで可愛らしいなと思う仕草だ。
もっと年齢が高かったらきっとモテモテなんじゃないかな?
受付でウリシュクが手続きをしている間、初老のギルド職員ガイルが俺に話しかけて来た。
「あんたもしかして、エルフなのか?」
「へ?俺?いや俺は普通の人間だけど?」
どう見ても俺、シグレアキラは普通の人間の見た目のはずだ。耳も尖ってないし。
「そ そうなのか?いやハーフエルフなら耳が尖って無い人間に近い見た目の奴も居るからよ。てっきりそう思ったんだがな!」
そう言うとガハハと笑うガイル。いちいち声が大きい。
「ウリシュクさんは、そのよ…人間があまり好きじゃねぇんだよ。俺みたいに長年の付き合いがあれば普通に話してくれるんだけどな。初めて会った時は必要最低限の事しか喋らないし本当に取っつきにくい人だったんだよ」
「え?そうなの?」
俺は初めて会話した時は命を助けたのもあってか、冷たい印象はまるで無かったんだけどな。
俺は興味を引かれて話を聞いた。
「そんなウリシュクさんが、お前みたいな奴を連れて来るなんてちょっと信じられなくってな。てっきり同族のエルフかと思ったんだ。気を悪くしたら悪かったな!」
ガハハと笑ってガイルは俺の肩を叩いた。確かに力入りすぎてる
…ちょっとイタイ…
次回は4月11日(土曜日)0時に更新です!
よろしくお願いします!(^^)
毎週、火曜日と土曜日の0時に更新しております。
覚えてもらえると嬉しいです!(^^)
良ければブクマや星を付けてもらえると、とても嬉しいです!
感想もお気軽に書いてもらえるとやる気が倍増します!
よろしくお願いします!(^^)




