その46
◇◇◇◇◇◇ その46
健一が指差した場所は下社の建て御柱のシーンである。四本目の柱が建った瞬間、会場から威勢の良い掛け声が聞こえてくる。その時、四本柱の対角線の中心部分が一瞬だけ光ったのである。よく見ていないとビデオの調子が悪いのかと勘違いしてしまいそうな小さな発光であった。
次の週、健一は涼子と一緒に下社へき、期待を込めて四本柱の真ん中に立ってみたが特に変わったところは発見できなかった。
相変わらず多数の観光客が境内を行きかい建ったばかりの柱のそばで記念撮影を楽しんでいた。その傍らで仁王立ちになって空を見上げている健一をいぶかしげに眺めている。
「この柱にはなにか秘密があるな。」
健一は確信したが、純一がどこへいったのかは皆目見当がつかなかい。
健一は純一がいなくなってから休みのたびに諏訪の各地の神社を訪れて由来を調べた。諏訪大社が下社と上社の二つに別れている理由は男と女の神様であるというのが通説のであるが、地元の人にもはっきりとしていない。
「そもそも神社が諏訪湖をはさんで二つに別れているというのはおかしいと思わないか。」
健一は下社と上社の関係に解決の糸口を見出そうとしているようである。
「そうよね。夫婦げんかして別居している神様なんて聞いたことがないわ。あっ、もしかして元は四つの神社があったんじゃないの?。」
涼子が突然叫んだ。
「そうか、今は上社に前宮と本宮、下社に春宮と秋宮の関係で四つになっているけど、その昔、別のところにあったのを前宮と春宮に移転したのかもしれないな。」
健一が諏訪の地図を出してくる。
「下社と上社を線で結んでこれを対角線にして正方形を作ると中心は???。」
「諏訪湖の上だね。ここはね、信玄の棺が埋まっているといってこの間大学の教授が調査した所とは少し外れているけど。」
健一は古い文献を探し始めた。太古の昔から神社は存在していたと考えられているが実際は時の権力者の意向で随分統廃合や新設がなされたようである。




