5.生き残ることを最優先にしなければならない
安全確認ヨシ!
ダンジョンの第二階層。(地下一階)
倒した巨大トカゲの魔核を回収し、奥に進む。
今までのところ、進行は非常に順調だ。
このまま帰れば、数週間は遊んで暮らせるはず。
「このまま、ボス部屋まで行っちゃいましょうか」
「そうだね、ボスを倒して、今夜はご馳走だ!」
ボス部屋。次の階層への階段がある部屋である。
モンスターの内容は固定。階層に普段いるのより、いくらか強いモンスターがいる。
一階のボス、影の騎士(モヤッとした霧状のモンスター)を既に撃破した俺達はノリに乗っていた。
乗っていなければ、気づけただろうか。
巨大トカゲは普段、3層にいるモンスターだということ。
普段より、やたらめったらモンスターが多いこと。
そしてそういう時には、ボス部屋とかでなく通路に、一瞬で死ぬほどの危険が潜んでいることに。
「フィグ、なんか今日モンスター多くないですか?」
15匹目の大トカゲの魔核を回収しながら、疑問を呈する。
「たまーにあるよ、そういうこと」
「うーん……魔力の残りは?」
「八割位は。クレオム君が頑張ってくれてるからね」
「なら……大丈夫……なのかな……」
「大丈夫大丈夫。今二人でもいい感じじゃん? このまま2層も制覇しておこうよ」
油断。そしてフィグにいいところを見せたいという見栄。
それが決断を鈍らせた。
そのまま奥へ、奥へ進み、なんてことない通路。
そいつは居た。
30歩ほど先にいる、鱗に覆われた巨体。
白く濁った目と、折れた角が特徴の、牙を持つトカゲのような顔。
大地を踏みしめる四つ足は、鰐のように力強い。背から生えた翼はボロボロで、もう空を飛ぶことはないのだろう。
老龍である。老いて、龍の力を失いつつある下級の龍。
全盛期の強さは見る影もないとはいえ、龍である。
魔法使い一人、荷物持ち上がりのノービス一人でどうにかなる相手ではない。
幸い、まだこちらには気づいていないようだ。
「帰りましょっか」
「そうだね、帰れたら……」
老龍に背を向けることなく、じりじりと遠ざかる。
32歩、33歩と距離が離れて──
ぴちょん、と天井から水滴が落ちる。
小さな音、普段なら気にもとめない音だが。
何を思ってか、老龍が振り向く。
「ググァ……」
気づかれた。
「グォアアアアア!!!」
老いさらばえたとは思えないほど巨大な咆哮、そして敏捷さ。
老いた龍は土石流のような速度で地を這う。
獲物、つまり俺達めがけて。
「ひゃああああああ!!!」
「フィグさん、下がって!」
俺にできることは?受け止める?不可能だ。
あんまり覚えていない前世の最後と同じく、肉塊になって終わり。
一撃でトドメを刺す?もっと無理だろう。
ならばできることは一つ。
「ピューラ・ピピラ・ペポッター!」
なるしかないのだ。魔法少女の姿に。
何見てヨシって言ったんですか?




