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ダンジョンの奥に取り残されたうえ、魔法少女になってしまった俺の話 魔法の力でモンスターを撃滅だ!  作者: ああボルテック峠


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転生した者

「ぎゃあああああああ!!!」

盗賊が腕を押さえ、地面に倒れ伏して悶える。

「やれやれ、まさかこんなところで力を振るう羽目になるとはな……」

先程まで盗賊に捕まっていた少年は、手首をコキッ、と鳴らしながら言う。

「さて、次はどいつだ?面倒だからまとめてかかってきてくれると助かるんだが……」

「なめんな!やっちまえ!!!」

盗賊の頭の声に、下っ端たちが剣を構え突撃する。

「やれやれ……劔流拳術・転展螺流(でんでらりゅう)」

少年は体勢を低くし──一陣の風が吹く。

「うわっ!」

俺たちも舞う砂に顔を覆う。

次の瞬間には、盗賊の下っ端たちは倒れ伏していた。

「さて、次は誰だ?」

「く、くそ!撤退だ!」

「逃げるか。劔流拳術・倒略勢(とおりゃんせ)」

逃げようとした盗賊頭の背後に回り込み、鮮やかに背負投を決める。

「があっ!」

「やれやれ、年貢の納め時、ってやつだな。」

とんでもなく強い少年であった。

盗賊たちはひっ捕らえられ、馬車の後ろに繋がれた。

こういう時のために馬車に手錠やらがいくらか常備されているらしい。治安が悪いなぁ。

「皆さん、お怪我はありませんでしたか?」

少年に尋ねられる。

「おかげさまで無事ですよ。ありがとうございます。」

リスティマが笑顔で返答する。

「良かった……あなたが怪我でもしていたらと思うと、気が気ではありませんでしたよ」

少年の頰がかすかに赤いのは、戦いで息が上がっているのか、それとも──

少年。悪いことは言わない。その人はやめておいたほうがいい。

その後は特に何事もなく、聖都に到着し、宿を探す。

「空いていませんね」

以外にも宿探しは難航した。五軒回って全部断られた。

「まあ、聖誕祭の時期ですからね」

と、リスティマが当然のように言う。

「あっ」

フィグが合点のいった顔をする。

聖誕祭。女神の使者であるマルリス様の誕生を祝う祭りである。年に一度、聖都に大量の人が押しかけるため、まず宿は取れないと思ってよい期間である。予約をしておけ、という話である。

「そういえばそうか……リスティマさん、もしかして知ってて教えてくれなかったんですか?」

「いや、こういう時に限らず、普段教会とかに泊まっていたんで大丈夫かなって……」

「なるほど……」

えらい時期に来てしまった。教会は出禁のやつがいるから当然泊まれないし、ましてや俺たちは聖職者ではないし行き倒れでもないので泊まらせてもらう理由すらないのだ。

「野宿ですかね」

「町中で?」

人としてのプライドが傷つく音がした。

「野宿なら得意でござるよ」

「町中で?」

六軒、七軒、八軒。断られ、断られ、九軒目。ようやく宿が見つかった。ただし四人部屋一つである。


「よかったでござるね。部屋が空いていて」

ハンゾウがベッドに寝転びながら言う。

「見晴らしもいいしね。見てみんな。大通がここから見える。」

フィグは窓側で嬉しそうにしている。

「聖都らしく、女神像も置いてありますね。素晴らしい」

リスティマは内装にご満悦だ。

俺の表情だけ暗い。

なぜならば。

4人部屋のベッドが、ダブルベッド二つだからだ。


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