41.止まらない忍者
翌朝。目覚めると砦の自室にいた。
ハンゾウが運んでくれたんだろう。
服も、体も傷一つない。
誰かが治療してくれたのか、それともサメ頭と戦ったことすら夢だったのか──
「ゆうべは大変だったでござるな」
「うわっ!」
枕元にハンゾウがいた。びっくりした。
「運んでくれたんですか?ありがとうございます」
「礼には及ばないでござるよ。倒れたときは心配したでござるが、服も元に戻って、怪我も治って、びっくりでござった」
「治ったんですか、自動で……」
「みたいでござるな」
便利能力があることが判明した。どういう仕組みなんだろうか。
「で、砦の様子はどうなってます?」
「元通りになってるでござるな」
窓から外を見ると、砦は元通りになっていた。昨日瓦礫の山になってたのに。
一日で再建なんてことはないだろうし、多分修復の魔法か何かかかっているのだろう。
「魔物の気配もあるでござるし、正攻法が一番みたいでござるな」
正攻法、つまり何ヶ月もかけて道筋を探し、中にいる魔王を倒すということである。
「俺たちが命張った意味って……」
「正攻法以外が通用しないということが分かったでござるな」
「つまりあんま意味ないってことですね……」
「おおありでござるよ。四天王の一人は倒し、魔核?とやらも回収しておいたでござるし」
「マジですか」
魔核の回収、大手柄である。正規のルートではさすがに売れなさそうだが、加工したり、細かくすれば売れる。
あれだけ強かったのだ。しばらく生活に困らないくらいの大きさはあるだろう。
「あとは──役に立つか分からないでござるが、城が壊されるときに見た内部構造を可能な限り書き記しておいたでござるよ」
と差し出されたのは、魔王城の一階から最上階に至るまでの、ほぼ完璧かつ詳細なフロアマップ。
「大手柄じゃないですか!」
「すでに匿名で司令部に投げ込んどいたでござる。」
数ヶ月がかりの作業が、ハンゾウのおかげでとんでもなく短縮された。
二日後、魔王城の探索任務、及び可能なら魔王の討伐という旨の任務が、俺たち含む数十人の冒険者に言い渡された。居残りのメンバーは砦の防衛らしい。
「腕が鳴るでござるなぁ」
ハンゾウは嬉しそうだ。
フィグとリスティマは、数日ぶりの出撃に少し緊張した面持ちだ。
「必ず、生きて帰りましょうね」
と、リスティマ。
「クレオムくん、いざとなったら私が守るから──」 と、フィグ。
「大丈夫ですよ。勝って、全員無事で帰って、酒盛りでもしましょう」
最悪魔王を倒すのは俺たちでなくても良いのだ。
いい感じの強さの敵を倒し、いい感じに稼いで帰宅しよう。




