一発でダメなら
「情けねェ!コンナ雑魚に、我らが城ヲ!」
フォルネは腕を振るい、水の弾丸を放つ。
「防盾手裏剣!!」
弾丸はハンゾウが繰り出した防壁を穿つ。
「ぐっ……」
「ハンゾウ!」
「大事なし、でござるよ……」
こちらの攻撃は通じていない。向こうの攻撃は防げない。
詰みと言うやつであろうか。のこのこ出ていってやられましたでは話にならないが──何か、逆転の一手を──
「そろそろ死ネェ!雨ノ荒覇吐切ィ!」
無数の水の弾丸が、文字通り雨のように振り注ぎ──
「ペポラ・パルマー!!」
「防盾手裏剣!!」
重ねた2人の防壁は、易易と貫かられる
「ぐああああああ!!!」
熱い。痛い。意識が、遠のく。
死ぬ──いや、待て。死んでいない。俺は。俺たちは、まだ。
俺たちの盾を貫いた水は、確かに俺たちにダメージを負わせた。だが。それでも。確実に減速している。
一枚分より、二枚分。なら──!
「殿……見えたでござるか、勝機が……」
ハンゾウも満身創痍だ。が、生きている。
「ええ、勝つなら、もし勝てるなら、これしか──!」
「拍子は拙者が合わせるでござる!」
二手に分かれる。俺は右、ハンゾウは左
「マダ、動くかァ!」
水が、穿つ。だが。避けない。障壁も──いらない。
「ぐううっ!」
体に大穴。
だが、防げない距離まで、詰めた。
「暗くてよく分かってなかったけど、お前けっこうかっこいい顔してんじゃん……!」
「ナッ!気でも触れたカ!?」
「あいにくだけど、作戦だよ──!ペポラ・スピカ・ププ・ピピカ・マキシマ・パプルレイザー!!!!」
光線が、網膜を焼く。
「火炎滅狩手裏剣!!!!」
背後から聞こえる声。
打ち出した光線の流れに、燃え盛る巨大な手裏剣が乗る。
「ガアッ!この──グオオオオオオアアアアアーー!!!」
フォルネの巨大な腕が、それを覆う水が、受け止める。だが。受け止めきれてはいない。
光線と火炎に水の鎧が熱され、ポコポコと泡を放ち始める。
やがてその泡は勢いを増し、水の鎧が沸騰する。
「グオオオオオオアアアアアアアアアアアアア!!」
サメの顔が苦悶に歪む。
「うおおおおお!!!!」
叫ぶ。何の意味もないかもしれない、ただの叫び。だが、叫ぶ。
「ガッ……グッ……ウオオオオオオアアアアア!!」
鱗に覆われた腕が焼け、爛れ──受け止めきれなかった光線が、その胴に大穴を穿つ。
「ガッ……ウゥ……見事……ダ……」
フォルネが倒れ伏すのを最後まで見届けることもできず、俺も意識を手放した。




