37.魔物とは
帰宅後。リスティマはどこからか黒板を持ち出し、俺たちに講義をはじめた。
「そもそも、皆さんは魔物がどこから、どのように発生するのかご存じですか?」
「はい。」
「クレオムさん」
「キャベツ畑で」
「不正解」
「コウノトリが」
「怒りますよ」
どうやら違うらしい。
「そもそも私たちが魔法を使えるのは、地脈から染み出した、魔力が空気中にただよっているからです」
リスティマの講義は続く。
地下には水脈と同じように、魔力の流れというものがある。それを見つけ、自分と接続することが魔法の第一の手順であると。
ただし、魔力の流れは一定ではない。
澄んだ魔力もあるし、濁った魔力もある。
それらの違いが流れの違いを生み出し、その歪みが魔力を滞留させ、魔物という形で表出するのである。
その魔物のなかでも一際強力で、知能も高く、他の魔物を支配する力に長けたものが五百年くらいの周期で生まれ、魔王と呼ばれるのである。
大きな魔力溜まりの場所はそうそう変わらないので、毎回出る場所も同じ。
ほっとくと人類を滅ぼそうとしてくるので倒さなくてはならないが、魔力が詰まった魔核を回収して、魔力源として利用しているため、根絶もできない。
うまくやっていくしかないのが、魔王という存在なのである。
「今年がその五百年くらいの周期だった、という話みたいですね。まあ毎回、最大50年くらい前後することがあるみたいですが」
四天王つってたもんな。四天王がいるということは、魔王も当然いると見ていい。
「ということは今頃討伐隊の一つでも編成されてる頃ですね!大儲けのチャンスですよ!行きます?」
と、リスティマが目をキラキラさせている。銭の亡者だ。聖職者なのに。
「四天王であの強さですよ。あれがあと三人と、魔王までいちゃ、命がいくつあっても足りませんよ」
俺たちは英雄ではない。生きていくのでそれなりに精いっぱいなのである。
「そもそも魔王が復活する時期になるといろんな世界から転生したり転移してくる人たちが来て、魔王を倒しに行きますし、我々が行かなくても問題はないかと……」
ハンゾウの方を見る。
転移してくる……あっ。ハンゾウって転移者か。
「拙者は行くでござる。拙者がここに来たのも、きっとこのためでありましょうから。短い間ではあったが、世話になり申した」
忍者が、抜ける。
パーティにとって、戦力の大半である前衛が抜けるのは非常に痛い。
それにハンゾウが一人で戦って、万一があったら。
まだ短い付き合いではあるが、ハンゾウは明確に俺たちの仲間なのだ。
リスティマとフィグの方を見る。二人とも同じ気持ちのようだ。
「俺たちもお供するよ、ハンゾウ」
「しかし……」
「仲間なんだしさ。足手まといにならないように頑張るから」
「足手まといになど……ありがたいでござるよ。かたじけない」
というわけで、魔王を倒しに行く運びとなった。
討伐隊の募集は明後日かららしい。
魔王かぁ……




