33.燃える町とマイホーム
町が燃えている。
石畳の通りを歩くのは、巨大な魔物たち。
「面妖でござるな」
忍者も十分面妖である。
「さて、こっから避難するべきなのかもしれないんですが、どこに、という問題があります」
「私、家に結界張ってるんで。あそこならしばらく安心かと」
と、リスティマが言う。
「なんでわざわざ火中の栗を拾いに戻るんですか」
「結界があるといっても、高位の魔物相手だと効かないときもあるので……なら押し寄せる雑魚を結界で凌ぎつつ、家に何かしてきそうな奴を迎え撃つほうがいいんじゃないかと」
「うーん、理屈が通っているような、いないような……」
「せっかくのマイホーム、壊されたくないですよね?」
「クレオムくん、行こう」
「拙者もお供するでござるよ」
なぜか全員やる気満々だ。
命は一つしかないというのに。
しかし家が壊されるのも確かに嫌だな。
「わかりました、いきましょう」
行かないほうがいいのはわかるが。
大通りを、敵をなぎ倒しながら(主に忍者が)
進むと、一際巨体な魔物が城の方に向かっていくのが見えた。
紫色の肌、筋骨隆々の身体。背中には羽根が生え、三日月のように頭の横に角が生えている。
「でっか……」
その頭は天を突き、夜かと思うほどに暗く影を落としている。歩く日照権侵害である。
城よりでかいん。だからみんな避難していたのか。
「あれを倒さない限り、家が破壊される危険は否めませんね」
ちょっとよろめいたとこにうちの家があったら、確実にぺしゃんこだ。
「倒しとく?」と、フィグ。
「ブチのめしましょう」と、リスティマ。
「拙者、お供するでござるよ」
バカしかいない。
「……仕方ないですね、いきましょうか」
デカブツと戦うことになった。幸い人もいないし。変身しておくか。
「これの正体でけっこう騒ぎになったんで、誰にも言わないでくださいね。」
忍者に一応口止めをしておく。
「心得た。けして、口を割らないでござる」
「ピューラ・ピピラ・ペポッター!」
変身し、ピンクの髪の魔法少女に。
「──可憐でござるな」
うるさい。
「ペポラ・パルマ・プレシオン!」
巨大な掌の形の光弾が巨大な魔物の頭部に直撃し、よろめかせる。
「やったか!?」
魔物は耐性を立て直し、こちらをぎろり、と睨みつけた。口元にずらりと並んだ牙、濁った黄色の眼球は、半径だけでもおれの背丈ほどにはなるだろう。
どうやら、あんまり効いていなさそうだ。
「助太刀するでござるよ!火炎滅狩手裏剣!!」
巨大な燃え盛る手裏剣が虚空に現れ、回転しながら巨大な魔物の眼窩に突き刺さる。
「グオオオオオオアアアアア!!!」
効いている。さすが忍者。
「ペポラ・スピカ・ププ・ピピカ・マキシマ・パプルレイザー!!!」
濁流のようにほとばしる光線が、魔物の肩を、翼に大穴を穿つ。
「ガアアアアアアアア!!!!」
「もう一発!!」
頭部に命中し、消し飛ばす。
地響きを上げ、巨体が崩れ落ち──煙のように消える。
「やったぞ──」
次の瞬間、帳が下りるように、巨大な魔物が再び姿を現す。
先ほどつけた傷も消えている。
「あーあ、やるねえ。僕のギガースを倒すなんてね」
気取った声が、背後から聞こえた。




