22.デカブツをお届け
「ピピラ・プロージョン!」
爆発する魔力の玉が、オメガヘッドを数匹まとめてぶっ飛ばす。
「くそっ、キリがない!」
戦い続けて三十分──いや、一時間?二時間?
時間の感覚はなく、魔力は尽きかけ、敵の数は留まることを知らない。
魔法少女、プリティ・ピューラの力をもってすれば
オメガヘッド一匹ならばそれほど脅威度の高い敵ではないが、それが連携し、群れをなしているならば話は別だ。
倒しても倒してもキリがない。純粋なリソース差。
かといって魔力をケチっていれば奥から来るオメガヘッドの群れに踏み潰され、床のシミになってしまう。
フィグとリスティマも、俺が倒されれば死ぬという判断のもと、援護をしてくれており、ギリギリでオメガヘッドの進軍の勢いを押し留めることができているが、それも永久には続かない。
だれか一人でも魔力切れを起こせば、終わりだ。
「いっそ天井を崩落させて──」
「クレオムさん、道を塞いでも他の道からこちらをめがけて押しかけてくるだけです!」
「やっぱそうか……ピピラ・パルマ・プレジオン!」
巨大な掌の形の光弾が、オメガヘッドをまとめてミンチにする。
このままでは、生存の目はない。だが、ここで死んでやるなんてのは腹に据えかねる。
何か、逆転の一手を。考えろ。焦るな。
だが、考えれば考えるほど、逆転の手などない。
転移結晶でもあれば良かったが、あれはクソほど高く、まだ買えていない。
フィグの顔に疲れが見える。魔力切れが近いのかもしれない。
なんとかして──いや。
思いついた。生き延びるための一手を。
「リスティマ!十秒だけ稼いでください!」
「乗りましょう、その賭け!シャイニング・フレアー!!!」
輝く炎がリスティマの杖からほとばしり、オメガヘッドの進行を留める。
「ペポラ・スピカ・ププ・ピピカ・マキシマ・パプルレイザー!!!!」
極大の光線を放つ呪文が狙うは、天井。
「クレオムさん、天井を崩落させても!」
光線が天井を穿ち、大穴を開ける。
上層の階の天井にも、その上層の階にも。
「お二人とも、失礼します!」
フィグとリスティマを両脇に抱え、跳躍。
一階層、二階層、三階層上に上がることに成功した。
「はぁ…はぁ……とりあえず、生き延びた……?」
まだ地上は見えないが、窮地は脱した。
ぐったりとしたフィグとリスティマにマナポーションを飲ませ、先を急ぐ。
だが、オメガヘッドたちの足音は下層からまだ聞こえてくる。
そしてその足音は、少しずつ、だが確実に迫って来ている。少し寿命を延ばしただけだったか。
「あーらら、情けなーい」
唐突に、声が聞こえた。少女の声が。




