2.勝戦処理あるある 敗戦処理より大変がち
勝ち戦ってね、その後が大事なの
「ブモオオオオ……グブ……」
ミノタウロスは地面に倒れ伏し、そのまま霧散する。 倒された魔物は霧となり、そこに魔核が残される。それを売るのが、俺たち冒険者の収入の柱の一つであるのだ。
普段の俺なら目を輝かせて魔核を回収するところだが、今はそれどころではない。
誰かに見られたら、終わる。こんなフリフリの服装、普段と雰囲気が違うとはいえさすがに背格好で分かるはず。女装変態野郎という噂が広がり、雇ってくれるパーティがなくなれば生活の危機だ。
とりあえずフィグが気絶していてよかった。
まずは二人で安全なところに。そして着替えを用意して──と焦っていると、ドレスがピンク色の光に包まれ、俺は普段の姿に戻った。
「とりあえず、危機は脱した、か。……帰ろう」
巨大な魔核と、詰められるだけの宝物をリュックに詰め、フィグと共に背負う。
ミノタウロスを単騎で撃破したことは、多分伏せておいたほうがいい。
急に手にしたわけのわからない力など、協会やギルドにバレればどうなるかわからない。それに加えて、フリフリのドレス姿のこともある。流石に変態だと思われるのは避けたい。
変身の条件もわからないし、最悪教会に捕まって異端審問で爪を全部剥がされるなんてことにもなりかねない。黙っておき、バレないようにするのが吉だ。
考え事をしながら、迷宮の奥の転移門へ向かう。フィグは俺よりちょっと高い身長の割には軽い。ちゃんと飯は食べているのだろうか。
この門をくぐれば、ダンジョンの入り口に戻ることができるのだ。
入口の近くにはそれほど強い魔物もいないし、フィグが目覚めるまで野営でもして、その後は適当に誤魔化そう。
外に出ると、夕方になっていた。
入ったときは朝だったがけっこう大きいダンジョンだったしな。
行って帰って、と考えるとこんなもんだろう。
朝までフィグが目覚めなければ、ここで野営だ。
リュックを下ろし、敷物(といっても麻の薄手のものだが)を敷く。
火を起こしながら待っていると、フィグが
「むにゃ……」と声を出し、目を覚ます。
「あれ、ここは……もしかして、天国?」
「違います。おはようございます。」
「あれ、クレオムくん……クレオムくんも死んじゃったの……?ってことはここは……地獄?」
「違います。なんで俺がいると地獄判定なんですか。生き残ったんですよ、俺たち」
「生き……残った?どうして?あの状況から……」
「さあ、ただ目を覚ましたらダンジョンの前にいて、魔核といくばくかの財宝があって……」
「不思議なこともあるものだね……何にせよ、助かって良かった。ありがと、クレオムくん」
「俺は何もしてませんよ、本当に。さて、帰りましょっか」
こうして俺の、フリフリ魔法少女としての初陣は終わった。
しかしそれは、俺の受ける受難の、ほんの始まりにしか過ぎなかったのだ。
一件落着と思ったところがスタートライン。




