17.なんで戦うことになってるんだよ
翌日。あいかわらず部屋に居座るリスティマと一緒に、フィグのところに行く。
「クレオムさん、合鍵持ってるんですか?不埒な」
「毎朝起こしに行ってますからね。何もないですよ、マジで」
「不埒な」
不埒じゃねーよ。慣れたものなので鍵はスムーズに開く
「フィグ。朝ですよ。」
カーテンを開ける。朝の日差しが眩しい。
「ふあぁ……おはよう、クレオム君」
白い絹のパジャマを着たフィグの髪が寝起きとは思えないほど艷やかで、ちょっとドギマギしてしまう。
「おはようございます。今日はどうします?」
「今日はまたダンジョンに潜ろうよ、できたらいつものところ以外で。あ、リスティマちゃんもおはよう」
「おはようございます、フィグさん。」
「よく寝れた?」
「い絵、寝心地が酷く、なかなか寝付けず……神から賜った試練だと考え、耐えているところですわ」
俺の安眠を妨げておいてよく言う。絶対にベッドは譲らないからな。
「さすがにフィグのところで引き取ってくれませんかね……」
「私はほら、部屋が狭くて。クレオム君、リスティマちゃんに手、出しちゃダメだからね」
「出しませんって」
「出そうとしていたんですか!不埒!不潔!」
「出しませんって」
疲れる。
「とりあえず何か依頼があれば、ダンジョンのついでにこなしておきましょう。蓄えもまだ心許ないですし……」
「そうだね、じゃあ準備を……着替えるからちょっと外出てて」
ということで、俺は部屋の外に出される。
「覗かないでね」
「覗きませんって」
「覗こうとしていたんですか!不埒!不潔!私というものがありながら!」
「覗きませんって」
疲れる。
準備を終えギルドに着くと、受付嬢がなんだか嫌そうな顔をしている。
「おはようございます。なんかありました?」
「はい。クレオムさんあてに、果たし状が……」
「果たし状〜!?」
昨日のあいつの顔が浮かぶ。まさかな。
「差出人は」
「ゼナック・ロムハーツさんとなっております」
頭を抱える。何で戦うことになってるんだよ。
留置所暮らしとか言ってたし、その逆恨みだろうか。
「果たし状……?何をやらかしたんですか、クレオムさん」
リスティマが眉をひそめる。
「昨日会って胸ぐら掴まれたくらいで何も……」
「はっ、もしかして私のため?やめてクレオムくん、ゼナックさん、私のために争わないで!」
「多分違います」
フィグも大変な時にボケないで欲しい。
「で、いつです?」
「今日のお昼過ぎですね」
「俺がギルドに来なかったらどうするつもりだったんでしょうね?」
「さぁ……」
「これ、無視するとなんかあります?」
「知らなかったならまあ知らなかったで特にないんですが、告知後ですとちょっとペナルティが……一応正式な手続きを踏んで提出されたものになりますので……」
「具体的には?」
「免停二ヶ月。その間ダンジョンとかいけなくなりますね」
「クソォ……」
受けざるを得なくなった。
今日はギルドに行くべきではなかった、ということだ。
「で、場所はどちらで?」
「闘技場になります」
最悪すぎる。見世物になるじゃん。
「頑張ってね、クレオムくん」
「いやですよ……」
「あなたに女神の加護がありますように」
「ないからこうなってるんですよ……今日の予定はキャンセルですね、ごめんなさい、2人とも」
「いやいや、こんなに面白いことはあんまりないから、むしろありがとうね。クレオムくん」
「賭けでガッポリ稼がせていただきますから、謝罪は負けたあとでお願い致しますわ」
うん。
いいんだか悪いんだか。




